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2017年1月に制度の見直しがあり、今注目を集めている確定拠出年金には、個人的に加入する「個人型確定拠出年金」と会社である企業が制度として取り入れている「企業型確定拠出年金」があります。概要はどちらも同じですが、仕組みやルールなど細かい部分は違ってきます。今回は企業型の見落としがちな落とし穴を紹介します。

○転職したらどうなる?

確定拠出年金企業型の仕組みは前回の内容でおわかりになったと思います。

では、確定年金企業型に加入している人が転職した場合にはどうなるでしょうか? 転職した際に、転職先に確定拠出年金企業型が導入されている場合は、年金資産を転職先が契約している資産管理機関に移して、転職後も引き続き、確定拠出年金企業型の拠出対象者として年金資産を増やすことができます。

一方、転職先に確定拠出年金がない、あるいは退職して自営業等になり国民年金加入者となった場合には、確定拠出年金個人型へ加入することができます。個人型は2017年1月に加入対象者が広がり、専業主婦も含めたほぼ全員が加入対象になったことで、転職したときにでも拠出を継続しやすくなりました。

○育児休業に入った場合はどうなる?

続いて、確定拠出年金企業型にある落とし穴をいくつかご紹介しましょう。個人型の場合には個人で拠出するものなので特に影響はありませんが、確定拠出年金企業型の中で、前回説明した「選択制の確定拠出年金」には実は落とし穴があります。

選択制の確定拠出年金とは、将来もらうことになる会社の退職金を前払い退職金として給与に上乗せして今受けとるか、それとも拠出して将来受け取るのかを選択する制度です。拠出して将来受け取ることを選択した場合、拠出した分の給与は減額し、その分税金と社会保険料の負担が軽くなるメリットがあります。その一方で、拠出した分、給与額(標準報酬月額)が減額します。実はこれは「社会保険から受けられる給付額も減る」ということを意味しています。

例えば、育児休業に入った場合にもらえる育児休業給付金では、給与のおおよそ67%(6カ月経過後は50%)がもらえますが、拠出によって減った給与が算定の基準となるため、給付金も減ってしまいます。そのため、育児休業に入る前には拠出額を下げて、基本給を上げておくなどの裏技が必要になります。ただし、拠出額の掛け金を変更できるのは年に1回など会社で定める規定により決められているので、事前に調べておくといいでしょう。

育児休業給付金だけではありません。給与額(標準報酬月額)が算定基準となる、育児休業の前の産休期間にもらえる出産手当金や、働けない期間にもらえる傷病手当金、雇用保険の失業手当、介護休業手当、なども拠出しない場合に比べて減ってしまいます。また、給与が減り支払う厚生年金保険料も下がるため、将来の老後に受け取れる厚生年金支給額も減ってしまうというわけです。

非課税効果や税制優遇による節税メリットと社会保障の受給額減額によるデメリットをよく考えて、拠出額(掛け金)を決めるといいでしょう。

株式会社回遊舎

"金融"を専門とする編集・制作プロダクション。お金に関する記事を企画・取材から執筆、制作まで一手に引き受ける。マネー誌以外にも、育児雑誌や女性誌健康関連記事などのライフスタイル分野も幅広く手掛ける。近著に「貯められない人のための手取り『10分の1』貯金術」「J-REIT金メダル投資術」(株式会社秀和システム 著者酒井富士子)、「NISA120%活用術」(日本経済出版社)、「めちゃくちゃ売れてるマネー誌ZAiが作った世界で一番わかりやすいニッポンの論点10」(株式会社ダイヤモンド社)、「子育てで破産しないためのお金の本」(株式会社廣済堂出版)など。