MF小林祐希

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 飛躍の1年となった。自身初の海外挑戦。昨夏、磐田からオランダのヘーレンフェーンに移籍すると、新天地でも定位置を確保し、デビュー戦から30試合連続で先発出場を果たした。ハリルジャパンにも初招集され、6月にA代表デビュー、11月にはA代表初ゴールと出場2試合でしっかりと爪痕を残した。ロシアW杯まであと1年。MF小林祐希は現在地から目標までの距離を逆算し、包み隠さずに野心を語った。

いつでも狙ってますよ、

日の丸のキャプテン

――オランダに新天地を求めた16-17シーズンを振り返って、どのように感じていますか?

「最後のプレーオフは外されちゃったんですが、リーグ戦、カップ戦を含めてコンスタントに試合に出場することができました。その中で、ゴールやアシストの結果をあまり残せなかったことは悔しいですが、チームの中で認められて、自分の居場所を確立できたのは収穫だったと思います」

――この一年間で成長した部分は?

「我慢する力がついたんじゃないですかね。オランダ人ができないようなこと、日本人ならではの気遣いとか、協調性みたいなところで勝負しました。自分の好きなプレーではなく、チームとして何をすべきかということを常に俯瞰で考えた。この一年は『ブレインストレッチ』というトレーニングにも力を入れました。毎日瞑想をしています。脳が判断するよりも先に体が動くようになりたくて。プレーの見え方に変化が出てきたし、試合中にゾーンに入ることができます」

――ユルゲン・ストレッペル監督の信頼を得られたのはなぜだと思いますか?

「監督は『お前は俺の息子だ』と言ってくれます(笑)。デビューして3試合目のカップ戦(9月20日のデ・フラーフスハープ戦)がきっかけだったと思う。相手が2部のクラブで、あまり分析ができていなかったんです。監督の指示で守備の形を変えたんだけど、それが全くかみ合わなかった。すぐにベンチに行って意見を伝えたら、監督も全く同じ指示を出そうとしていたんですよ。システムを変えたあとは機能して、5-1で逆転勝ちしました。そのときに『状況が見えている』と監督が評価してくれて、信頼を得られたんじゃないかな。それが30試合連続出場にもつながったんだと思います」

――食事にこだわっていると聞きました。

「農家さんとコンタクトをとって、一緒に米を育てたり、農作物をつくったりする活動をしています。オランダではほぼ9割が自炊。残りの1割は日本食を食べに行きます。月1回はチームメイトを連れて行ってご馳走する。みんな日本食が大好きなんですよ。『祐希、また行こう』って好評です」

――日の丸のキャプテン。こうした強気な発言はビッグマウスとして注目を集めます。

「素です。つくれないんで。海外ではこれが普通ですよ。『俺がゴールを決めて勝ちます』って、海外の選手はみんな言うじゃないですか。日本と同じ発言をしているけど、オランダでビッグマウスと言われたことは一回もないです」

――ご自身としては現在の本職はどこだと考えていますか?

「本職、どこって言えばいいんだろう(笑)。日本にいた頃はトップ下ですね。トップ下にこだわりはあるけど、ほかのポジションの楽しみかたも覚えてきました。インサイドハーフ、ボランチ、アンカー、どのポジションも面白い。『こういう風にやればいいんだな』と覚えながら、自分の色を出してプレーできました」

日本代表チームを

自分の色に染めたい

――日本代表ではどのポジションでプレーするイメージですか?

「真ん中3つ(トップ下、ボランチ、アンカー)だったらどこでもできるんじゃないですかね。4-2-3-1のトップ下、ボランチと、最近だったら4-3-3のアンカー。トップ下でプレーしたい気持ちはありますが、求められればどのポジションでもやりますよ」

――昨年は初招集されたハリルジャパンでA代表デビュー、出場2試合目でA代表初ゴールを決めました。

「親善試合でしたが、出場した2試合とも自分の満足のいくプレーができました。ある程度は自分の色を出すことができたと思う。今後は日本代表のチーム自体を自分の色に染めていきたい。まずは試合に出て、チームメイトに必要とされることから。歴代のスターたちは日本代表を自分の色に変えてきたじゃないですか。ゆくゆくは自分もそうなりたいなという目標があります」

――ヘーレンフェーンでコンスタントに出場機会を得ていた中で、6月シリーズは代表招集を見送られました。

「『なぜ選ばれないんだ』という疑問はある。選ぶのは監督だから理由は分かりません。選ばれなくてもやるべきことはたくさんあるし、自分のモチベーションが下がることはない。悔しい気持ちはもちろんありますが、それをプラスに変えています」

――去就を含めて、どんなシーズンにするつもりですか?

「何が起きるかは8月31日までは分からない。オランダに残るなら個人として昨シーズンを上回る数字を残すこと、チームの順位を上げることが課題になってくる。もしチームが変わるとしたら、W杯が近いのでそのチームの中でまた定位置を獲得して試合に出続ける。そして、結果を出すこと。代表よりもチームでの活躍を考えるのが優先かな。チャンピオンズリーグに出たら日本代表に呼ばれるでしょ?チームで頑張っていれば自ずと呼ばれますよね」

――ロシアW杯への思い、今後の展望を聞かせてください。

「ロシアW杯に出るためには、たとえば長谷部(誠)さん、(香川)真司くん、(本田)圭佑くんたちと同じレベルのクラブで試合に出場できなかったら、今の序列が変わることはない。次のステージとして、もうワンランク上のクラブでコンスタントに試合に出場できれば代表定着が見えてくると思う。ロシアW杯でプレーする自分の姿はだいぶ前からイメージできています。その先は、誰もがイメージしている目標だと思うけど、W杯を機にさらに超ビッグクラブに行きたい。34歳までW杯に出場したいです」

(取材・文 佐藤亜希子)