北朝鮮の外貨稼ぎ会社の労働者が密輸船から積荷を降ろしている(画像:デイリーNKソル・ソンア記者、6月11日撮影)

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国際社会の厳しい経済制裁に青息吐息の北朝鮮経済。制裁の影響はさほど大きくないとの指摘もあるが、中朝国境を流れる鴨緑江を舞台にした密輸が、以前にも増して活発に行われるようになっている。

中朝貿易の物量の7割が通過すると言われている、北朝鮮・平安北道(ピョンアンブクト)の新義州(シニジュ)と中国・遼寧省の丹東を結ぶ鴨緑江大橋。橋の上を行き来するのは公式の貿易を行っているトラックだけだ。

しかし、中国当局の規制強化により、北朝鮮に輸出できる品目や量に制限が加えられている。また、税関の業務時間(午前10時〜午後5時)が厳格に守られるようになった。一種の「遵法闘争」とも言うべき状況だ。

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一方で、密輸は昼夜を分かたず行われる。

密輸は能力さえあれば誰にでもできる商売だ。青少年から家庭の主婦に至るまで様々な人が関わっている。売れそうなものを小さな船に積んで、船がなければゴムチューブの浮輪に載せて川を渡るだけだ。

一度に運ばれる商品の重量は、最大でも数百キロを超えることはない。しかし、ちりも積もれば山となる。密輸に関わっている人の数は不明だが、非常に多いことは確かだ。そう考えると、密輸が地域経済に及ぼす影響は計り知れない。鴨緑江の下流は水深が深いため、大型の船の運航が可能で自動車の密輸も行われているほどだ。

デイリーNKの対北朝鮮情報筋によると、最近になって密輸船は、中国側の岸までやってくるようになった。また、貿易会社も密輸業者も、中国の業者に「取引品目を増やしてほしい」と要求するようになった。当然、中国の業者には買い叩かれるが、それでも外貨を稼ぎたいほど切実な状況にあると言えよう。

デイリーNKのソル・ソンア記者は、丹東にやってきた密輸船の様子を、次のように説明した。

「この船は塩辛などの水産物を積載していた。おそらく鴨緑江下流で獲った魚を加工して、中国に売って外貨を稼いでいるものと思われる。乗組員は7〜8人で、20代と思しき女性は、塩辛の入った一斗缶(18リットル)をひょいと持ち上げて中国の業者に手渡す姿が見られたという」

丹東市当局は、少し前から鴨緑江での中国漁船の操業にも規制を加えるようになった。密輸対策なのか、中央政府の幹部が丹東に来ているための措置なのかは不明だが、いずれにせよ極めて異例の措置とされる。

規制に反して出漁した漁船には罰金が科せられており、中国漁船の姿は見られなくなったと現地の情報筋は証言している。これをチャンスと見た北朝鮮の密輸業者は、一斉に中国側にやって来て、海産物の売り込みに余念がないという。