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■どんなクルマ?

ライバルは、CX-5/フォレスター

日産のドル箱SUV、エクストレイルの四角四面だったカタチが、3代目の登場を機に丸くて、だいぶ大きくなってはや4年。フェイスリフトと同時に装備の最新アップデート化が図られた。

四角いからよかったのに、と思っていたら大間違い。3代目も国内市場で人気を博しており、日産の分類であるMクラスではクラスNo.1を維持。マツダCX-5やスバル・フォレスターがいる激選区の覇者にして、ノート、セレナに次ぐ日産3トップの一角をなしている。

今回のフェイスリストの目玉は、最新自動運転、より正確にいえば、「高速道路同一車線自動運転技術」である「プロパイロット」が昨年8月に全面改良を受けたセレナに次いで導入されたことだ。


「プロパイロット」は、設定した車速(約30〜100km/h)を上限に、先行車との車間距離を保ち、車線中央を走行するように制御する(約50km/h以下では先行車がいる場合のみ作動)。テレビのCMで矢沢永吉が「やっちゃえ日産」とつぶやいている先進技術のひとつである。


機能面、ハードウェア面での変更は細部にとどまる。実用燃費に貢献する新装備として、エンジン冷却の要求度が低い場合にグリルを閉じて空気抵抗を減らす「グリルシャッター」が採用されたり、ECOモードのボタンを押した時にアクセルオフ時の回生量を増やしたり、きめ細かい対応をしている。これらにより、ハイブリッドの2WDは20.6km/ℓから20.8km/ℓにカタログ燃費でも向上している。

エクステリアではフロントのVモーション・グリルをより大きくして精悍に、ブーメラン型のシグネチャーライトをLED化して、日産いわく「ハイテクな印象の目つき」になった。
 

■どんな感じ?

最大の焦点は「プロパイロット」だ。早速試してみよう。

操作方法はセレナと同じで、ステアリングホイールのT字型スポークの右部分に設けられた「プロパイロット」のスイッチを押す。これで、スタンバイ状態になる。あとは、その左隣りのセットスイッチをプッシュするだけだ。

「プロパイロット」をスタートしたかどうかはメーターナセルの液晶画面が教えてくれる。先行車との車間と車線を表すグリーンのラインが点灯したら、「プロパイロット」は始まっている。

基本的には先行車を追従する技術である。「プロパイロットは高速道路で自動車専用道路で使用してください。プロパイロットはドライバーの運転操作を支援するためのシステムであり、自動運転システムではありません」とカタログにも書いてある。

よって、テストは圏央道にあがってから行った。すでにセレナで体験済みといえば、体験済みだけれど、先行車とこちらの関係を邪魔するものがなければ、ドライバーはなんの操作をしなくても、カメラとセンサーとコンピューターが車間距離を自動的に保ち、真ん中をキープして走り続けることができる。その際、ステアリングが動く。まさにAIが自動運転しているのである!


ただし、ドライバーがステアリングに両手を添えていなければならないのは、他のメーカーのシステムと同様だ。「やっちゃえ日産」と両手を離し続けていると「プロパイロット」は不機嫌になって作動を解除してしまう。ドライバーの責任などの法的整備よりも自動運転技術が先行している現状では、あくまでドライバーの運転支援にとどめているわけである。


問題は「プロパイロット」が驚異的なスムーズさでもって走行し続けることだ。それをドライバーは注視していなければならない。いろんな意見があるだろうけれど、これはけっこうつらいものがある。先行車がいつ車線変更したり、第三者がなんの悪意もなく先行車とのあいだに入り込んでくるかわからない。
 

疑心暗鬼 それが今の部分自動運転

センサーが先行車を見失うと、「プロパイロット」は少々焦るみたいな動きをする。前述したように、「プロパイロット」は高速道路での使用を前提にしているわけだけれど、そうはいっても、たとえば先行車とたまたま出口が同じだった場合である。圏央道の某出口は登って曲がっている。上りのためこちらの速度は落ちる。ゆえに “加速” する。そこで大きく右に90度カーブしているような場合、フロントのカメラによるマルチセンシングシステムをもってしても先行車を見失ってしまう(カーブに向かって加速!)。

きゃーっ! この先どうなるんだ!? ドライバーがブレーキを踏んだ瞬間、「プロパイロット」は一時解除されるので問題ないといえば問題はない。とはいえ、いつ問題をおこすかわからないドライバーに運転を任せておくわけにはいかない。


AIが暴走せぬか、人類を滅ぼしはしないか、核ミサイルのボタンを押しはしまいか、ターミネーターをつくり出したりはせぬか、と疑心暗鬼な筆者においてはなおさら。

未来の話はさておき、「プロパイロット」でもっとも有効なのは、のろのろ運転を必要とする渋滞時だ。止まっては進み、進んで止まる。お盆渋滞の苦しみは多くの日本国民が知るところだろう。それがなくなる。筆者の場合は疑心暗鬼なのでなくならないけれど、慣れれば緩和される、ということはいえそうだ。


あるいは、走りなれて道路環境がわかっているところでのみ使用する。日産が想定しているように、「タフ・ギア」のエクストレイルで海や山で存分に遊んだ帰りの渋滞時に、「プロパイロット」はありがたい! と思うのかもしれない。

「プロパイロット」は電磁式のパーキングブレーキが奢られる。もし4輪のブレーキだけで停止していたら、なんらかの原因でエンジンが停止した時にブレーキが効かなくなる。パーキングブレーキが機械的にかかっていれば、そういう場合にも安心だ。
 

■「買い」か?

プロパイロット約14万円 セレナとの違い

マイチェンしたエクストレイルに「プロパイロット」を採用した日産の最大の功績は、これをおよそ14万円のオプションとして、300万円以下のクルマに設定したことである。ちなみにセレナはセットオプションの中身が異なり、10万円高い24万円ぐらいになる。

いずれにせよ、メルセデス・ベンツのEクラスに採用された「インテリジェント・ドライブ」と同水準の自動運転技術が、その半額のクルマで手に入るのだ。これこそコンピューターがもたらした技術の平等化、万民化だろう。

新型エクストレイルの7割のオーナーが「プロパイロット」を選んでいるというのもむべなるかな。彼らは「プロパイロット」が加わった「タフ・ギア」を買うことで、より楽しい明日を夢見ているのである。客観的にいって、悲観論者よりはるかに好ましい。

日産の発表によれば、2016年に単一車線、18年に複数車線、東京オリンピックが開かれる20年には交差点を含む市街地での使用を前提とした自動運転技術を市販化する。

やっちゃえ日産。


プロパイロットを装備したエクストレイルはその嚆矢である。このような先進的姿勢に共感し、新しいことにチャレンジして、ワクワクすることが大好きな30代の男性で、自分の趣味を楽しむために機能的なSUVを探しているかた(つまり日産のターゲット)にはこう囁きたい。

買っちゃえ日産。
 

Post from RICOH THETA. - Spherical Image - RICOH THETA

日産エクストレイル 20Xハイブリッド(4WD・2列シート)

■価格 3,098,520円 
■全長×全幅×全高 4690×1820×1730mm 
■燃費 20.0km/ℓ 
■乾燥重量 1640kg 
■動力源 直列4気筒1997cc + モーター 
■エンジン最高出力 147ps/6000rpm 
■エンジン最大トルク 21.1kg-m/4000rpm 
■モーター最高出力 41ps 
■モーター最大トルク 16.3kg-m 
■ギアボックス CVT 

日産エクストレイル 20X(ガソリン4WD・2列シート)

■価格 2,755,080円 
■全長×全幅×全高 4690×1820×1740mm 
■燃費 15.6km/ℓ 
■乾燥重量 1540kg 
■動力源 直列4気筒1997cc 
■最高出力 147ps/6000rpm 
■最大トルク 21.1kg-m/4000rpm 
■ギアボックス CVT