手塚治虫生誕90周年を記念し、手塚初期の代表作といえるSF漫画作品「W3(ワンダースリー)」が50年の時を経て初めてリメイクされた。

ただのリメイクではない。ノンバーバル・パフォーマンスの騎手ウォーリー木下が構成・演出を手掛け、全編セリフは無く、漫画から派生したいくつもの表現手法(たとえば吹き出しとかオノマトペ、記号、コマ割など)を舞台に取り入れることで、漫画表現と舞台表現のハイブリッドパフォーマンスを誕生させた。

40代以上のマンガファンなら一度は読まれたと思うが、戦争ばかりしている野蛮な星「地球」を救うか、反陽子爆弾で消してしまうかの評決に先立ち、ウサギ、カモ、馬の姿に変身させた3人の調査員(W3)を地球に派遣、彼らは乱暴だけど純真な少年・星真一と知り合い、最初は野蛮な星としか考えていなかった地球について、その考えを変えていく。という物語。これをセリフ無しで演じることは挑戦であったと思う。

しかし、5人のパフォーマーは、バレエ・マイム・アクロバットの分野で世界でトップレベルのパフォーマーや、2.5次元ミュージカルで活躍する俳優など個性豊かな芸術性の高いメンバーが出演。さまざまな役を入れ替わり立ち替わり演じ、時には黒子役も、時には映像オペレーションも、時には観客を舞台上にあげたりなど、息も着かせぬ速い展開で1時間のショーを見せる。マイムで状況を観客のイメージが膨らむように演じたかと思うと、卓越した技術のコンテンポラリーダンスでしなやかな動きで魅せたりと、手塚の世界観を壊さず、見る側に次々とインスピレーションを与えて行く。セットも大きくは変わらず、ほぼひとつの部屋で展開。ブリコラージュを採用しその中にある日用品で宇宙をつくるなど、様々なパフォーマンスを行うのも観るものを釘付けにする。3分に一度、驚きがあるAmazing Perfomanceという触れ込みに違いはない。あっという間の時間が過ごせるはずだ。

漫画×ノンバーバル・パフォーマンスという、まだ誰も観たことのない舞台を是非体験していただきたい。

手塚治虫 生誕90周年記念 Amazing Performance W3(ワンダースリー)は、DDD青山クロスシアターで、7月1日(土)から9日(日)まで全20公演上演される。また、11月3日(金・祝)から12月22日(金)、2018年2月から3月4日(日)195公演のロングラン上演も予定されている。