市場規模13兆円、米国ウエディング市場を破壊する女性起業家

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スタートアップの世界でよく使われる単語に破壊や混乱を意味するディスラプション(disruption)がある。スタートアップの多くは既存の市場を壊すことを目指し、業界の古いしきたりを打ち破った企業は称賛される。ウーバーやリフトなどの配車サービスが、旧来のタクシーやレンタカー業界を根本から揺るがしたことは記憶に新しい。

1190億ドル(約13.3兆円)のウエディング市場は、長らく老舗企業によって占められてきた。ミレニアル世代の女性起業家、ケルシー・ドーリーはその現状を変えようとしている。ドーリーがCEOを務めるVow To Be Chicは、史上初となるデザイナーズブランドのブライズメイド用ドレスのレンタルサービスだ。(米国の結婚式では複数のブライズメイド=花嫁介添人がお揃いのドレスを着る習慣がある。各結婚式のテーマに合わせたドレスであるため、大抵の場合、再び着る機会はない)

レンタルサービスのビジネスモデル自体は目新しいものではない。男性用タキシードのレンタルは昔から存在する。その一方で近年、インターネットを使った新種のレンタルサービスが次々に生まれており、高級ブランドのレンタルサービス「Rent the Runway」も様々なパーティドレスを揃えている。ブライズメイドを対象としたサービスだけがなかった。

多くのスタートアップ創業者と同様に、ドーリーの起業のきっかけは、今ある問題を解決したいという願いだった。ミレニアル世代の女性、特に多額の学生ローンを抱えた若年層には、ブライズメイド用ドレスを購入する余裕がない。「私自身、これまでに7回ブライズメイドを務めた経験があります。親友の結婚式に参加することは栄誉ある美しい体験ですが、お金がかかります」とドーリーは言う。

2013年、ドーリーはブライダル業界とレンタル業界で働いた経験をもとにVow To Be Chicのビジネスプランを練り、カリフォルニア大学ロサンゼルス校のビジネススクールが主催するコンペ「Knapp Venture Competition」に応募。見事優勝し、会社を立ち上げた。現在一緒に働いているチームメンバーの大半は、ドーリーと同じミレニアル世代だ。

年長世代はしばしば20代前半をミレニアルと呼びがちだが、実際には27歳以上のミレニアル世代が米国に5000万人以上いる。2015年の国連調査によると、米国の平均結婚年齢は27.9歳。「私たち自身も顧客層です。ミレニアル世代の需要や、ブライダル産業の現状に対する不満を把握しています」とドーリーは語る。

米国のオンライン消費は3ヶ月で11兆円

サービスを提供する側がターゲット層と同世代であるという強みが、Vow To Be Chicの急成長とユーザーの高評価を支えていることは確かだ。たとえばVow To Be Chicはオンラインサービスに特化しているが、これはアメリカ人の近年の消費動向に合わせた結果である。米商務省の報告によると、アメリカ人は2017年の1月から3月までの3ヶ月間だけで1000億ドル(約11.2兆円)近くをオンラインで消費している。

「ブライダル企業の大半は、ミレニアル世代の消費動向に追いつけず、顧客を他のアパレル企業に取られたり、役に立たない的外れなサービスを提供したりしています。女性たちが私たちのビジネスを歓迎してくれ、需要が高まったおかげで、Vow To Be Chicは著名なデザイナーのドレスを扱えるようになりました」

自身の成功だけでなく、同世代の成功を手助けすることにも熱心なドーリーは、起業を目指す人々に次のようにアドバイスする。「情熱を注げる対象を見つけたら、そこに飛び込むこと。もし、自分が何を好きなのかがわからなければ、いろんなインターンや職種や会社を試してみてほしい。そうするうちに好きなもの、苦手なものが見つかるはずです」