仙台にポゼッションスタイルが浸透してきた。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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[J1リーグ17節]仙台2-3G大阪/7月1日/ユアテックスタジアム仙台
 
 今季、3-4-2-1という新布陣を採用し、ポゼッションスタイルへ本格的に舵を切った仙台にとって、敗れはしたがG大阪戦は大きな分岐点になるかもしれない。
 
 DAZN発表のスタッツで、仙台はG大阪を相手に55パーセントのポゼッション率を誇った。序盤に押し込まれたことが影響して前半の数字が45パーセントだったことを考えれば、とりわけ後半に仙台がボールを保持して相手を圧倒したことが分かる。
 
 シュート数でも9本(枠内シュート4本)の相手に対して、仙台は14本(枠内シュート9本)を記録し、強敵相手にボールを保持する攻撃的なサッカーで2ゴールをゲット。1点を奪うのが精一杯だったリーグ序盤戦を考えれば、攻撃面での成長が感じられた。
 
 試合後の記者会見、仙台の渡邉晋監督はポゼッションスタイルの成長について、こう語った。
 
「(ボールを)握るだけではないといことが、はっきり皆さんにも分かるぐらい、進歩の跡があると思う。どうしてもリーグが開幕した時は、(ボールを)握ることが精一杯で、ボールもなかなか前進できない。そもそも自分たちがどの立ち位置を取れば、効果的に出来るかということを理解できないまま、ゲームをこなしている時間があった。しかし、今は間違いなく、どのような形でボールを運べばよいか、どこに立ち位置を取ったら効果的に崩せるのかということが、みんな同じような絵を描けている。それはゴールに迫るための、ゴールを奪うためのポゼッションとして出来ている」
 
 指揮官がいう”同じ絵を描くこと”については主将の富田晋伍も「チーム全体としてやることや、イメージを共有させることは練習からやっている」とトレーニングの成果を口にする。
 
 中野嘉大は「前半は状況を見ていたが、後半は(サイドに)張ることで主導権を握れた。焦れずに攻撃することで押し込めてチャンスを作れていて、得点を取れる自信はチームとしてもあった。やっていることは間違ってない」とポジショニングの修正から、相手を上回った手ごたえを述べる。
 
 これらのことからも監督のポゼッション戦術が、選手たちに細かい要素まで刷り込まれていることが窺える。
 
 それは、上記の2選手だけではなく石原直樹も同様だ。試合後、「リードをされていても焦らずにボールを動かして、相手の嫌のところにボールを動かせたことは良かった。それで流れをこっちに引き寄せて、同点に追いついた」とボールの動かし方について話していた。
 
 確実にポゼッションスタイルの神髄がチームに浸透してきている。
 しかし、奪った勝点は「0」。選手たちは最後の失点を悔やみ、結果も求めていきたいと話した。
 
 結果が出なければ、普通はスタイルの変更も頭をかすめる。しかし、渡邉監督にその考えは毛頭ない。「悲観をするつもりはない。失点を減らすために、守ってカウンターやろうという気持ちもさらさらない」
 
 では、スタイルを継続したうえで、勝点を積み上げるために何が足りないのか。渡邉監督はわずかな“差”という言葉を用いて説明する。
 
「ちょっとの差だと思う。技術的なミスだったり、ポジションを取る遅さのミスだったり、判断のミスだったりがひとつふたつ重なるとカウンターを受ける。そのちょっとの差が我々には非常に重くのしかかっていて、そのちょっとの差を埋めていかない限り、勝点を積み上げられない」
 
 シーズン折り返し時点で、勝点21の12位。いまは結果が伴わないジレンマを抱えるが、積み重ねたスタイルを信じ、指揮官は後半戦を見据える。
 
「まだまだ伸びしろがあるし、チャンスを多く作れるし、変な(ボールの)失い方をしなくても済む。いま、やっているものをもっともっと研ぎ澄まして、勝点3をとれるように、ちょっとの差を埋められるように、日々のトレーニングに励みたい。素晴らしい雰囲気を作ってくれたサポーターに何とか勝点3を届けたい。どうかサポーターの皆さんにももうひと踏ん張り信じて頂いて、残り後半の半分、ついてきてほしい」
 
 G大阪との激闘を終えたユアテックスタジアムには、仙台サポーターの拍手が響き渡っていた。選手・監督・サポーターが、ポゼッションスタイルのもと一丸となった仙台の後半戦に期待したい。
 
取材・文:志水麗鑑(サッカーダイジェスト編集部)