調篤弔魯繊璽爐寮長を感じているようだ。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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[J2リーグ21節]湘南2-1名古屋/7月1日/BMWス

 勝利するための戦い方の幅を選手が身に付けつつある。者貴裁監督はそう語り、ここまでのチームの歩みを、比喩を交えて口にした。
 
「決して順調に来たわけではなく、逆にまったくダメだったわけでもない。いろんな問題と向き合い、選手と話して解決しながらやってきたなかで、遠くはまだ全然見えないんだけど、後ろを振り返ったらまっすぐに歩いていた。そんなふうに感じます」
 
 ホームに名古屋を迎えた21節もまた、彼らの道のりはピッチに映えた。ポゼッションに長ける相手に対し、前線から圧力をかけ、コンパクトに連動する。かたや押し込まれても慌てずにブロックを敷き、個々の球際を含め、大事な局面を譲らない。
 
 ひとたびマイボールにすれば緩急を織り交ぜ機を窺う。ハイプレスや縦一辺倒ではなく、といって後ろに重くなるでもなく、流れや展開に沿って11人が意識を共有する。「今のサッカーはすべてができなければいけない」。ある時、語られた指揮官の言葉がふとよぎる。すなわち、幅だ。
 
 互いに特徴を傾けながら、湘南の先制機はやがて訪れた。45分、この日初めて掴んだコーナーキックから島村毅が見事に仕留めてみせる。ハーフタイムを経て、後半開始間もない50分には奈良輪雄太のクロスにジネイが打点高くヘッドを合わせ、待望の追加点を奪った。
 
「相手の対策も進み、いろんなサッカーを仕掛けられるなかで、パニックにならずに自分たちの道をはっきりと決める手応えが今年はある」。者監督は言う。
 
「我々はJ1でいつも、良いリズムの時に点が取れず、一発で失点してしまい相手に遊ばれてしまうという壁にぶち当たっていたが、そういうところは少なくなってきた。ゲームに勝つためには、そういう時間帯も自分たちのなかで消化して戦っていかなければいけない。それはここに長くいる選手がたくさんいればできることですけど、新しく来た選手も含めてそういう温度になり、見違えるように成長している。僕がなにかをしたというより、ピッチのなかの共通理解が今年バージョンに深まっているのは間違いないと思います」
 2点のリードを奪った後には、しかしそれまでの落ち着きを失し、選手交代による名古屋の攻撃の活性化もあって、1点差に詰め寄られてしまう。
 
 キャプテンマークを腕に巻くGK秋元陽太は、未来を見据えて自分たちに矢印を向ける。
 
「2点目を入れた後にみんな少し締まりがなくなった。声を掛けてはいたが、案の定失点してしまった。そういうところがまだまだ自分たちの甘さだと思う。上に行ってああいうことをやっていたら絶対負けると思うので、しっかり克服したい」
 
 前節まで1-0で3連勝するなど僅差の勝負をくぐり抜けてきた彼らである。15節・松本戦以来の複数得点自体は前向きに享受しつつ、この日浮かんだリードを広げた後の課題は、これまで同様チームの成長の種となるに違いない。
 
 目を細めるようにして、指揮官は言う。
 
「選手たちは非常にたくましくなったなと思いますし、逆に言ったら楽しみでしかない。無責任な言い方かもしれないけれど、彼らはこれからどんなふうになっていくんだろうと、監督としてそう思える瞬間が多いです」
 
 ゼロからのスタートと位置付けて成長を期する今季、振り返ればまっすぐに延びている道のりが、現在の、そしてこれからの彼らに通じている。
 
取材・文:隈元大吾(フリーライター)