少し気の抜けた炭酸水を口に含んだのは、午前2時を回ったころだ。ピース・又吉直樹(37)は帰り支度を始めた店員の視線に気づき、そっとノートパソコンを閉じた。

 文芸界の歴史を塗り替えたお笑い芸人の芥川賞受賞から2年。5月に発売された第2作『劇場』(新潮社)は、 初版30万部と文芸作品としては驚異的な部数を誇る。5月下旬、深夜のカフェで執筆していたのは、それを上回る次回作かーー。

「又吉は最近、コントの制作に没頭している。相方の渡米もあり、芸人としての原点を見つめ直すようになった。 書斎として借りているアパートやお気に入りのカフェで台本を書き、後輩芸人のしずるやライスなどと実験的なユニットを組んで、コントを披露している」(お笑い関係者)

 新作は待ち遠しい限りだが、2015年の芥川賞授賞式では「今までどおり芸人100(%)」を宣言。いつまでも後輩芸人から慕われる「兄さん」のままだ。

「家に若手芸人を呼んで、よく飲み会をしている。後輩をかわいがっており、昨年までパンサーの向井慧、サルゴリラの児玉智洋と3人でルームシェアをしていた。現在はリフォームした広い部屋に引っ越していて、一人で住んでいる。こだわりの本棚が自慢だとか」(制作会社関係者)

 この日はラジオの生放送を終えると、向井と児玉ら、後輩を引き連れて焼き肉店へ。午前0時半、タクシーで全員を送り届けた後、一人でカフェへとやってきたのだ。

 今春、ニューヨークへと旅立った相方・綾部祐二(39)が早くも一時帰国しているのを尻目に、又吉の筆が止まることはない。この夜、書いていたのが新作小説か、コントなのかは、本人以外知る由もないが、次回作の構想はすでに固まっているという。

「次のテーマは決めているようだが、親しい関係者にも、はっきりと明かしていない。本人の漏らす話を聞いていると、自分の少年時代について長編を書くらしい」(前出・お笑い関係者)

 過去に短編小説では自分の少年期を描いてきた又吉。幼いころは家が貧しく、おもちゃや自転車を買ってもらえなかった。今では好きなだけ食べられるようになった焼き肉も、両親と子供たちで肉を譲り合った。

 一作めで芸人、二作めで恋愛ときて、三作めは家族だ。又吉家をモデルに、思い入れの深い作品となりそうだ。

「『火花』は一昨年のベストセラーになり、『劇場』は順調に増刷した。それでも本人は『もっとたくさんの人に読んでほしい』と意欲満々。いろいろな出版社からエッセイなどを出版してきたが、新作は『火花』と同じく文藝春秋から出すようだ」(出版関係者)

 お笑いを愛し、家族を愛し、なにより人を愛する又吉が書く新作は、しばしお待ちを。

(週刊FLASH 2017年6月20日号)