今作の主人公はやる気全然ない女子高生!
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 ある男が“セイウチ人間”へと変えられてしまう衝撃ホラー『Mr.タスク』(2014)に登場したコンビニでアルバイトする女子高生2人を主人公にした新作映画『コンビニ・ウォーズ〜バイトJK VS ミニナチ軍団〜』について、メガホンを取ったケヴィン・スミス監督がその奇想天外なアイデアや作風について語った。

 人間とセイウチの融合をもくろむ老人の狂気により、セイウチへと変えられてしまう男の運命を描いた『Mr.タスク』に続く、カナダ3部作の第2弾『コンビニ・ウォーズ〜バイトJK VS ミニナチ軍団〜』では、授業もバイトもやる気ゼロ、でもヨガは大好きな女子高校生の2人組が、ひょんなことからドイツのソーセージで出来たミニナチス軍団を呼び覚ましてしまい、彼らと死闘を繰り広げるさまが描かれる。ジョニー・デップの娘リリー=ローズ・メロディ・デップと、スミス監督の娘ハーリー・クィン・スミスが女子高生コンビを演じ、ジョニー・デップも『Mr.タスク』出演時と同じ探偵ギー・ラポワンテ役で登場している。

 そんなぶっ飛んだ本作のメガホンを取ったのは、筋金入りの“オタク”としても有名なスミス監督。「前作『Mr.タスク』はとてもシリアスで、残酷な映画だった。キャラクターも英国ホラーの名門ハマー・フィルム・プロダクションが手掛けたテレビドラマ「悪魔の異形」に出てきそうな感じで。だから今度は、僕が観て育った1980年代のアメリカのホラー映画へのオマージュのような作品にしたかった。『パペット・マスター』や、『グレムリン』『グーニーズ』といったね。『Mr.タスク』のようにダークにはならず、女子高生の視点だからもっと軽いトーンで楽しい映画だ。ちょうどティーンエージャーの娘もいたし、彼女をパロディーにできる。時に皮肉ったりもしてね(笑)」。

 そうして前作とは違うトーンになったものの、同じ世界観であることは意識したという。「女子高生たちの敵は元々、たった1フィート(約30cm)しかないヒトラーのクローンというだけだった。でも撮影の直前になって、『Mr.タスク』の世界観なら……って考えたときに、次回作もそうなんだけど、この3部作は“ゴム怪獣もの”なんだ。だから、ゴムっぽさを出さなきゃって。それにドイツ人っぽさも出したかった」と振り返るスミス監督。

 最終的にたどりついたのが、ドイツのソーセージ、ブラートヴルストだった。「僕は彼らの皮膚を樹皮のようにするのを思いついた。そしたら木に見えるだろうと思ったからね。ドイツといえば、“黒い森”のシュヴァルツヴァルトだろう。そしたら、前作からメイクアップを担当しているロバート・カーツマンは、『ドイツといえば、ブラートヴルストでしょ』と言ったんだ。僕も思わず、『イエア〜、ブラートヴルスト。それだ!』ってうなった」。しかし、その役に決まっていたスミス監督の幼なじみで俳優のジェイソン・ミューズにいざ、ソーセージ風メイクアップをしてみると、全く悪者に見えなかったんだとか……。さらには、ジェイソンが被り物は苦手だったこともあり、スミス監督が演じることになったのだそう。クライマックスでは、女子高生2人とソーセージ製ミニナチス軍団のバトルが繰り広げられるが、そのシーンは『死霊のはらわたII』の続編『キャプテン・スーパーマーケット』で、ブルース・キャンベルのキャラクターが小さな自分自身と戦うシーンにインスパイアされているとも明かしていた。

 カルト映画への愛をふんだんに込めつつ、“女の子のためのホラー映画”という極めてニッチなテーマを掲げて完成させた本作。「自分が観たい映画をつくった」と繰り返していたスミス監督の姿が印象的だ。「映画監督には2つの道があると思う。常に次のレベルを目指して、果てに巨匠になる人。でも僕はそういうタイプじゃない。僕は映画監督になるなんて思ってもいなかったし、まして巨匠になれるなんて思ってない。何が人気なのか、どうしたらうまくいくか、みんなが何を観たいと思っているのか、なんてことは考えなくて、ただ自分がなにを観たいのかを考えている。僕はそのスタンスを維持していると思う。大作を手掛けたいとか、マーベル映画を監督したいとかそういう願望はなくて、自分が観たいものをつくりたい、そしてそれがたまにほかの人も観たいものだったりする(笑)。でも本当に、自分自身には正直であるべきだと思う」。超個性的な作品を生み出し続ける背景には、確固たる信念があったようだ。(編集部・石神恵美子)

映画『コンビニ・ウォーズ〜バイトJK VS ミニナチ軍団〜』は7月1日より新宿シネマカリテほか全国順次公開