来日したトラン・アン・ユン監督

写真拡大

 村上春樹のベストセラー小説を松山ケンイチ、菊地凛子らを迎えて映画化した『ノルウェイの森』から6年半、新作『エタニティ 永遠の花たちへ』(今秋公開)を引っ提げ来日したトラン・アン・ユン監督が、空白期間の活動から次回作までを明かした。

 ベトナムに生まれフランスに移住したトラン・アン・ユン監督の新作『エタニティ 永遠の花たちへ』は、アリス・フェルネの小説を原作に、オドレイ・トトゥ、メラニー・ロラン、ベレニス・ベジョという3人のスター女優を迎え、フランスで撮り上げた“記憶”を巡るドラマ。3人の女性の生涯を通し、「生と死」が受け継がれていく“エタニティ=永遠”のきらめきを圧巻の映像美で描き出す。

 前作から6年半空いた理由を尋ねると、「ひたすら待ってました!」と即答する監督。なぜかというと「実は、『ノルウェイの森』が公開されてから一年後には、この映画のシナリオを書いていたんだ。その時点で制作資金を集められていたらすぐにでも撮っていただろう。だけど実際には3年かかった。そこから具体的な準備をして撮影、ポストプロダクションがあって、合計すると6年にもなった」という。ちなみに、ポストプロダクションでは、10代から晩年までを演じ分けたオドレイを若返らせ、老けさせる特殊効果に8か月費やしたという。

 監督は「待っている間、何をしていたかと言うとね……」と続け、「焼き物を作っていたんだよ」と目を輝かせながら話し出す。ハマったきっかけを問うと、「僕は割と手先が器用なタイプだと思うんだ。で、始めてみて1年経ったら10年選手の人でもできないようなことができてしまうということに気付いた」と焼き物が性に合ったと説明。自宅の小さなテーブルでつくっているそうで、磁器でできたコップの写真を見せながら「もうすぐベトナムに焼き釜を持つ予定で、ベトナムでお店も開きたい。ゆくゆくは、海外も視野に入れて僕のつくった焼き物を売ろうと思っている」と本格的に副業に着手していることを明かした。

 気になる次回作では、マレーシアを舞台に子供を主人公にした物語を準備しているという監督。「生まれてから10歳になるぐらいまでの話にしようと思っていて、ハイハイから立って、走り、歩けるようになるまでの成長の記録」だというが、「工程としては走るのが後ではないか」と尋ねると、「子供というのは走りまわることを先に学び、きちんと歩けるようになるのは最後。僕は愛する女性の横で歩けるようになったときに初めて、『男』(大人)になると考えているんだ」と監督らしいロマンチックな持論を展開した。(取材・文:編集部 石井百合子)