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走らせて感じる、両者の立ち位置

それでは、2台を走らせよう。

MX-5はエンジンをかけると、かすかな振動がキャビンに伝わる。走り出しのエンジン音は穏やかだが、1500rpm辺りからは駆り立てられるものを感じるようになる。

3000rpmからレッドゾーンが始まる6500rpmではゾクゾクするようなスロットルレスポンスや十分なパワー、ややうるさいがレーシーなサウンドが味わえる。

さらに楽しいのが、ショートストロークの6速MTだ。ためらいなくアグレッシブにシフトしても、うれしくなるほどのメカニカルなアクションは損なわれない。

SLKのAMGスポーツ仕様に標準装備されるスポーツエグゾーストは、低速域での呻りは多少抑えられているが、回せばターボ特有のサウンドが加わった咆哮を轟かせる。

回転が上がるにつれてかなり騒々しくなるが、品のないものではなく、ただしマツダのようにレーシーな性格のそれでもない。2000rpmから力強く突き進み、ターボラグはわずか。しかし、6000rpmに達すると加速はやや鈍る。

2台とも等しく活発に走るが、SLKの7速トルコンATはその妨げになることがある。キックダウンはシャープさが足りず、パドルシフトへの反応は1秒ほど遅れる。

とはいえ変速そのものは速く、スポーツとマニュアルの各モードではエグゾーストノートを響かせる演出も入る。

シャシーの感覚はどうだろう?

気になるMX-5とSLKの「足腰」

シャシーは、どちらもグレードアップされている。AMGスポーツ版のSLKは10mmダウンのスプリングとダンパー、強化スタビライザーを、MX-5RFのスポーツ・ナビはフロントのストラットブレースとビルシュタイン製ダンパーを、それぞれ装備。

SLKには、アダプティブダンパーとどうにも好きになれない速度感応式ステアリングがセットの「ダイナミックハンドリングパッケージ」がオプション設定されるが、今回の個体にそれがついていなかったのは僥倖だ。

おかげで、低速域での突き上げとは無縁だった。

MX-5のロールは大きく、ホイールベースの短さゆえに上下動も収まりにくいが、SLKはその車重をものともせず、ボディの動きが一定で落ち着いている。

SLKのステアリングは重く単調だが、間違いなく正確。フロントのグリップにもリアのトラクションにも優れ、速度も快適さも保ったままコーナーを滑るように駆け抜けていく。

同じコーナーに軽量なMX-5で飛び込むと、まるで飾り気のない走りを見せる。

楽しみのMX-5、完成度のSLK

MX-5のより勇ましく、ドラマティックで、鋭いターンインと雄弁なステアリングに惹き込まれる。

ロールは確実に大きいが、外輪側にボディを傾け、素晴らしく精確なステアリングはさらなる操作を許容し、LSDは素速い脱出をもたらしてくれる。

しかしながら、その冴えた走りも、今回の比較テストでは勝因とならなかった。

オープン時にもクローズ時にも、SLKの洗練度は格が違う。風切り音や走行風の巻き込みの抑え具合は、MX-5では到底及ばない。

クローズ状態でクルージングすると、頭の後あたり、MX-5のデザインにおける見せ所であるトンネルバック形状のルーフ後部が大きな風音を立て、これにエンジン音が上乗せされてどうにも騒々しい。

オープンにすると、ますます耐えがたいものになる。ひっきりなしに襲ってくる上下動もあって、ついついSLKに乗り換えてしまいがちだった。

どちらかを買うならば……

走りのスリルにかけては、MX-5に敵うクルマはわずかだが、それを存分に味わうなら£2,000(29万円)安いソフトトップを選びたい。

クーペとオープンを1台で楽しむという点に重きを置くなら、RFでは十分に満たすことはできない。中古のSLKなら、走りこそややおとなしいが、同じような出費で目的を遂げることができる。