深夜にテレビをザッピングしていたら、画面に目が釘づけになった。いかにも昭和なブラウンの色調の喫茶店で、熱く議論を交わす青年の隣には、怪獣がちょこんと座る。

 メトロン星人だ。一九六七年秋に放映された『ウルトラセブン』第八話の「狙われた街」に登場した宇宙人だ。

 喫茶店で怪獣ドラマを語る七人の青年は、マニア誌「怪獣倶楽部」の同人だ。舞台は一九七〇年代。ウルトラ怪獣を観て育った子どもが成長して、大学生になったころだから、七〇年代の半ばか。

 主人公のリョウタ(本郷奏多)は大学生だ。彼には、仲間に隠している秘密がある。女友達、ユリコ(馬場ふみか)の存在だ。メンバーは、最年長に違いない編集長(塚地武雅)から、怪獣エリートと一目おかれる高校生のカツオ(横浜流星)まで怪獣愛一筋で、恋愛は御法度だ。

 喫茶店を抜けだし、ユリコとの待ち合わせ場所に急ぐリョウタ。彼と一緒に手足をパタパタ揺らして走るメトロン星人の姿が、美少女に劣らず愛おしい。川面と土手とユリコとリョウタ、そしてメトロン星人の姿をオレンジ色に染めあげる夕景が、観る者を一瞬にして、ウルトラ世界に拉致してゆく。

 マニアたちの会話には、多くの固有名詞が登場するが、なかでも神のように語られるのが、監督の実相寺昭雄と、脚本家の金城哲夫だ。夕景も昭和レトロな喫茶店も、怪獣を撮るアングルも、すべてが実相寺美学を踏襲している。


懐かしの怪獣たち、右端がメトロン星人 ©時事通信フォト

 実相寺昭雄がいなければ、私もメトロン星人を知ることはなく、『怪獣倶楽部』を観ることもなかった。私はシリーズ最初の『ウルトラQ』は全篇に漂う“奇妙な味”に惹かれ、夢中になって観た。しかし、続く『ウルトラマン』や『セブン』は無視した。熱心なSFマニアだったから、着ぐるみの怪獣やウルトラマンを侮っていたのだ。

 しかし十年少し前、『ウルトラマンマックス』や遺作となった『怪奇大作戦・セカンドファイル』を知り、その映像美に痺れた。とりわけ六九年放映『怪奇大作戦』の一篇、「京都買います」の仏像とヒロインには魂をワシ掴みされた。

 実相寺チルドレンの青春期を描く群像劇は懐かしく爽やかだ。マニアの脳内映像として映るメトロン星人など怪獣のフォルムも、いまなお色褪せない。僅か四回で終了は残念だが、そのマイナー感がいかにもマニアへの贅沢な贈り物のようにも映る。

▼『怪獣倶楽部』
TBS 火 25:28〜25:58

(亀和田 武)