働き女子に人気のキャラクターのひとつに、ムーミンがいます。かつて放送されたアニメーションが私たちの記憶に深くインプットされている、というのも支持される一因ですが、実はアニメよりも原作の絵画がとてもアーティスティックでオシャレ、というのもあるかもしれません。アニメは単純な太い線で描かれていますが、原作は、幾重にも書き込まれた濃密なものです。そして、絵本のイラストは斬新な色使いで、多幸感に溢れています。

そんなムーミンの原画や世界観が楽しめる、ムーミン美術館が6月17日にフィンランド・タンペレ市にリニューアルオープンしました。もともとタンペレにはムーミン谷博物館があり、作者のトーベ・ヤンソンさんの原画約2000点が寄贈され、パートナーのトゥーリッキ・ピエティラさんが手掛けたジオラマが展示されていました。とても素朴な博物館だったのですが、このたび場所をタンペレホールに移し、よりパワーアップした美術館へと変化したのです。

元々コンサートホールや会議が開催されるタンペレホールの一角にムーミン美術館がリニューアルオープン。

12の原作ストーリーの世界を表現

ムーミンの原作は、9つのストーリーがあります。発表された年代順に、それぞれのストーリーの世界が繰り広げられていきます。この美術館では9つのストーリーに、絵本3冊を加えた計12作品の世界が展開されています。

各ストーリーの表紙のイラストが大きく飾られ、必ずその中のシーンを描いたジオラマが展示されている。

タッチパネルを触ると、言語が選べる。

作品の側に設置されている音声ガイドのタッチパネルには、英語、フィンランド語、スウェーデン語、フランス語、ロシア語に加え日本語も!日本は世界でも有数のムーミンファンの多い国なのだそうで、これまでの博物館時代にも日本語表記があったのです。

ちなみにムーミンの9つのストーリーは『小さなトロールと大きな洪水』、『ムーミン谷の彗星』、『たのしいムーミン一家』、『ムーミンパパの思い出』、『ムーミン谷の夏まつり』、『ムーミン谷の冬』、『ムーミン谷の仲間たち』、『ムーミンパパ海へいく』、『ムーミン谷の十一月』 があります。絵本は『それからどうなるの?』『さびしがりやのクニット』『ムーミン谷へのふしぎな旅』の3作品が、取り上げられています。館内には、それぞれのストーリーに合わせた、インタラクティブな展示も用意されています。たとえば『楽しいムーミン一家』のゾーンでは、飛行おにのシルクハットが!

飛行おにの帽子。中に入ると……!?

きゃー、角が生えちゃった!

原画、ジオラマだけではなく、それぞれの物語の世界に合った楽しい展示を用意しているのです。ここはパワーアップした部分です。

1階から地下に下りる階段からは、彗星をイメージしたフィンランド人作家によるアート作品が展示されている。

初期から後期まで、ムーミンの顔やシルエットがどう変化したかも一目瞭然。初期はそんなに丸くない。

『ムーミンパパの思い出』の表紙。この絵はスクラッチ技法という黒い紙を削って描くテクニックを使っている。

最大の見どころは、最後の方に展示されているムーミン屋敷のジオラマ。作者のトーベさんとパートナーのトゥーリッキさん、医師の友人ペンッティさんの3人が作ったもので、2m半の高さの5階建てです。3人の想像力に任せた結果、お話の中とは異なる表現もありますが、とても細かく作りこまれています。

ムーミン屋敷のジオラマ。

ムーミンパパの部屋は船をイメージしていますし、ママの部屋には聖母子像の絵画が飾られていたり、サマーコテージのようなキッチン、電気室の扉にはニョロニョロが描かれていたりするんですよ!この屋敷を見つめていると、北欧の生活様式や文化も感じ取ることができます。ここが一番の見どころ、というのはムーミン屋敷は誰でもウエルカムな場所ですから、美術館を訪れた人々もここに住む夢を見られるからかもしれませんね。

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子供も大人も楽しめるインタラクティブな仕掛け

パワーアップしたムーミン美術館には、最新テクノロジーを駆使して様々な仕掛けが準備されています。触るとビリビリっとした感触になるニョロニョロ、動くミイのイラスト、『ムーミン谷の冬』のゾーンでは雪が降っているような光の演出が施されています。

この絵に触れるとビリッと来ちゃうよ!

目の不自由な人が触ってムーミンを認識できるスポット。

まるで雪が降り積もるようなプロジェクション。

展示会場の外では、このようなフォトスペースも。ちなみにスタッフはグリーンの制服を着ています。

こういった細やかな世界観の表現が、よりこの美術館の深みを出しています。単に作品を並べるだけではなく、楽しんでほしい、理解してもらえたら、というオーガナイザー側の気持ちが伝わってきます。

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グッズもフードもイイ!ファンじゃなくてもお金を出しちゃう!

ミュージアムと言ったら、グッズとフードも気になるところ。ちゃんとあります、オリジナルグッズが!この美術館のメインビジュアルに使われているイラストはトーベさんが1968年にフランス版の絵本の表紙として描いたものです。そのイラストをモチーフにしたグッズが、ショップの一番目立つところに置いてありますよ。

図録(英語版・フィンランド語版)28ユーロ、チョコレート(2種類:ライムミルクとココナッツミルク味)各4.5ユーロ、マグカップ29.90ユーロ、マグネット9ユーロ。

ショッピングバッグも同じイラストを使用。内側にはニョロニョロの目がキラーン!

美術館と同じくタンペレホールにあるカフェレストラン『TUHTO』では、ムーミンメニュー(39ユーロ)が楽しめます。メニューはサーモンスープ、ポークステーキ、パンケーキの組み合わせ。子供向けメニューにはハンバーガーやお魚なども。

ムーミンの鍋から注がれるスープ。

ポークステーキの隣のマッシュルームパイはムーミン型。

パンケーキには、なぜかスナフキンの型が付いてきます。これはお持ち帰りできます!そして特にその場で使う必要はありません。

ちなみに、ムーミン美術館がオープンしたことで、近隣のレストランやホテルでもムーミンメニューを展開しているようです。美術館から歩いて5分のレストラン『Myllärit』でもムーミンインスパイアメニュー(33.50ユーロ)を展開しています。

『楽しいムーミン一家』の表紙の絵からインスピレーションを受けたデザート。ホワイトチョコレートパンナコッタにクランベリーとチョコレートを。

Myllärit
住所:Åkerlundinkatu4・33100 Tampere FINLAND
www.myllarit.fi

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大人になったからこそ感じることができるメランコリー

もともとムーミンの作者トーベ・ヤンソンさんは、まだ封建的な慣習が残る時代に自由に生きることを選択した女性。既成概念に縛られず自由に行動できること、でも自由には責任がつきまとうこと、孤独、壁、行き詰まりからの脱出、希望、など様々なメッセージをその作品に投影しています。

9つのストーリーは、初期は冒険、夏、友情がモチーフになっていますが、後期に進むにつれ、まるで人生の秋、冬を迎えるかのような何とも言えないメランコリックな要素が入ってきます。何たって『ムーミン谷の十一月』では、ムーミン一家は登場せず、仲間たちが彼らの思い出を語る構成ですから。しかし、フィンランドの明るい夏と暗く寒い冬は、そのように人生の明るい部分と暗い部分の両方を思う存分享受するかのごとく振り切っています。そういった自然環境や文化、なぜこのようなストーリーになったのか、など思い巡らすことができるのも、現地の美術館ならでは。

「かわいい」だけじゃない「深さ」まで、その世界観をしっかり感じることのできる、ムーミン美術館の誕生です。

ムーミン関連のレアグッズやフィギュアなどの展示スペースもあります。

以前のムーミン谷博物館から、ムーミン像も一緒にお引越ししていました!ちょっと嬉しい。

ムーミン美術館
住所:Yliopistonkatu55,331000 Tampere FINLAND
営業時間:火〜金9:00〜19:00 土日11:00〜18:00(12月31日は16:00まで)
休館日:月曜日(12月6日、23〜26日は休み)
料金:大人12ユーロ、子供(3〜17歳)6ユーロ、3歳以下は無料、ファミリーチケット(大人2人+子供2〜4人)30ユーロ、ガイドツアー平日70ユーロ、週末80ユーロ(1グループ20名程度)
URL:https://muumimuseo.fi/ja/

今年はフィンランド独立100周年で、週末にイベントが開催されたりと1年お祝いムードでいっぱいです。フィンランドの自然や文化に触れつつ、パワーアップしたムーミン美術館の世界にひたる旅は今年一番のオススメですよ!フィンエアーとVisit Finlandのストップオーバー・フィンランドを使えば、ヨーロッパの他の国に立ち寄るついでにフィンランドに最大5日間滞在することができます。あなたも、フィンランドに旅してみませんか?

フィンエアーの詳細はコチラ。

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