WEEKLY TOUR REPORT
米ツアー・トピックス

 全米オープンの翌週に行なわれたトラベラーズ選手権(6月22日〜25日/コネチカット州・TPCリバーハイランズ)は、初日からの首位を守ったジョーダン・スピース(23歳/アメリカ)が完全優勝。2月のAT&Tペブルビーチナショナルに続いて今季2勝目、ツアー通算10勝目を飾った。

 24歳までのふた桁勝利は、タイガー・ウッズ(41歳/アメリカ)の15勝以来という快挙。世界ランキングは前週6位から3位へ浮上し、今季のフェデックスカップポイントランキングも4位まで上昇した。


トラベラーズ選手権で今季2勝目を飾ったスピース

 これで、あの「強いスピースが戻ってきた」と思いたいところだが、実は最終日終盤にダニエル・バーガー(24歳/アメリカ)に追いつかれて、プレーオフにもつれ込んでの薄氷の勝利だった。

 最終的にはプレーオフ1ホール目の18番、スピースがバンカーからチップインバーディー。ドラマチックな勝利を決めたが、まだまだ「完全復活」とは言えないのかもしれない。

 サンデーバックナインを迎えて、スピースは2位に2打差のリードを奪っていた。ところが、上位争いが熾烈さを増す中で、ショートパットを2度も外すミスが出たのだ。もし世界ランキング1位だった頃のような、好調なパットを維持していれば、プレーオフになることもなく、難なく逃げ切り勝ちを収めることができただろう。

 それだけ、今季のスピースはパッティングに苦しんでいる。ゆえに、スピースは「今日の優勝は、幸運だったと思う」と言って、こう続けた。

「本当のことを言うと、バンカーショットのほうが、1〜2mのパットよりもずっと自信を持って打てたんだ」

 2年前のマスターズ、全米オープンとメジャー連覇を遂げた頃、スピースは本当にパットがよく入った。どこからでも入れてくる、というのがスピースの強みだった。

 実際、昨季と一昨季の平均パット数は27.82で、2年連続でツアー1位だった。それが今季は、平均パット数が28.60、順位は39位まで落ち込んでいる。なるほど、スピースがなかなか勝てないのもわかる。

「今日は、本当にタフな戦いだった。何度も自分を見失いそうになったが、そのたびに(キャディーの)マイケルがポジティブに引き戻してくれた」

 最後に、今季2勝目をそう振り返ったスピース。はたして、この勝利でパッティングの自信も取り戻すことができるのか、今後のプレーぶりを注視していきたい。

 ところで、全米オープンで2位となった松山英樹(25歳)を除いて、世界ランキング上位選手はこのところ低迷が続いている。

 現在1位のダスティン・ジョンソン(33歳/アメリカ)は、松山に4ポイント以上の差をつけて独走しているが、先の全米オープンではあえなく予選落ちを喫した。今季メジャー初戦のマスターズも、前日に宿泊先の階段から落ちて腰をケガして欠場。その後、復帰戦となった5月のウエルスファーゴ選手権では2位に入ったが、6月に入ってからはメモリアルトーナメント、全米オープンと2戦連続して決勝ラウンドに進めずに終わっている。

 2月には出場3試合連続優勝を飾るなど、圧倒的な強さを誇っていたジョンソン。今や、その強さは完全に影を潜めている。

 また、今季は肋骨の疲労骨折の影響もあって、序盤戦は試合出場を控えめにしていたロリー・マキロイ(28歳/北アイルランド)も、全米オープンで予選落ち。直後のトラベラーズ選手権にも出場したが、苦しい戦いを強いられた。2日目、3日目にはグリーン上で大いに苦戦し、3日間で3度もパターを変えるほどの迷走ぶりだった。

 それでも、最終日に「64」をマークしたのはさすが。60位タイでスタートしたが、最終的には17位タイまで急浮上した。この結果が復調へのきっかけとなるのか、今後が注目される。

 3月に母デニングさんがガンの手術を受けるなど、プライベートで苦しい時間を過ごしていたジェイソン・デイ(29歳/オーストラリア)も苦戦が続いている。母の手術が成功したあとも、全米オープン、トラベラーズ選手権と2週連続で予選落ち。なかなか調子が上がらず、年明けには1位だった世界ランキングも現在は5位まで後退してしまった。

 少し不振が続くと、あっという間に順位が落ちてしまう世界ランキング。そういう意味では、現在2位と自己最高位まで浮上した松山英樹にとっては、1位の座に就く大きなチャンスを迎えている。もちろん、自身が不振に陥れば、ジョンソン以外の上位勢のポイントは僅差ゆえ、一気にランキングを落としてしまう可能性もある。

 さて、激戦の世界ランキングだが、いよいよ終盤を迎える今季に向けて、スピースはこう巻き返しを誓った。

「(今季のランキングにおいては)DJ(ジョンソン)、ヒデキ(松山)、JT(ジャスティン・トーマス)が複数勝利を挙げているから、メジャーか、WGC(世界選手権シリーズ)の大会で勝利しないと、なかなか彼らに追いつくことはできない。でも、これから大きな試合が続く。そこが勝負の正念場だ」

 確かに、全英オープン(7月20日〜23日/イングランド)、WGCブリヂストン招待(8月3日〜6日/オハイオ州)、そして今季最後のメジャー全米プロ選手権(8月10日〜13日/ノースカロライナ州)と、7〜8月には大舞台が目白押し。王者争いは、まさにこれからは本番となる。

 上位勢が再び復調して躍動するのか。あるいは、思わぬ新鋭が一気に台頭してくるのか。一段と熾烈さを増す、真夏の熱い戦いから目が離せない。

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