こうした中、マイクロソフトは「Surface Pro 4」を発売し、Surface Proシリーズを着実に進化させた。
さらに28インチの大画面で
・タッチ操作とペン操作
・ダイヤル型の独自デバイス「Surface Dial」に対応
する「Surface Studio」を発売する。
着実に、ほかのPCベンダーに追いつけない領域まで、独自路線を突き進めている。




クリエイター向けのPCと言えば、MacBookや「Mac Pro」などのアップル製品のイメージが強いのだが、「Surface Studio」はMacでできないことができるPCとしてその価値をアピールしている。

ここで、ふと気付く。
これまでのPCは、
・情報を見る
・データを処理する
こうした用途に利用されてきた。

しかし、これらの機能の一部は、今やスマートフォンでも可能となり、置き換わっている。
それがいわゆる「PC離れ」につながっているということだ。

一方で、PCベンダーは従来の顧客向けに、最新のパーツで構成することで製品の刷新を行ってきた。
これでは、スマートフォンに用途を奪われた分、市場規模も縮小してしまう。

マイクロソフトは、従来のPC需要を見据えた上で、今後、需要が高まるデジタルコンテンツのクリエイターをターゲットとしたSurfaceシリーズを展開している。
クリエイティブなPCのイメージをSurfaceに紐付けることは、ブランド価値を向上させるメリットとなり、若い世代からの憧れや、若い世代のユーザー層を獲得することにもつながっている。

イラストやコミックなど、クリエイティブなワークは、今や、紙と鉛筆というアナログではなく、デジタルなPCでも描かれる時代だ。
また、従来は映像の中心だったTVは、若い世代においてはネット中心も置き換わり、自分で動画を作成して配信する時代ともなっている。

こうした世代には、撮影機材やテクニック、そして映像編集が必要となる。

Surfaceのポジションは、丁度、そのステージ、ユーザー層に当てはまる。

そして、こうしてPCなどで作成されたコンテンツの多くは、スマートフォンで消費されるのである。
スマートフォン(利用者)の台頭で、PC(利用者数)が衰退したのは事実だが、大量消費されるコンテンツを作るためのPC需要は逆に高まる。

マイクロソフトのPC戦略では、こうした用途に最適な製品をラインナップしているのだ。
他社製品で同じことをやるためには、周辺機器を含め製品選びに苦労することが目に見えているが、Surfaceなら簡単に答えを導き出すことができる。




さらに新しく投入するSurface Laptopは、学生をターゲットにしたクラムシェル型のノートPCだが、Surfaceの肝である「タッチパネル」と「ペン」がサポートされているのである。
このため、授業で使うPDFファイルにペンでメモ書きするといった使い方も可能なのだ。

また、Surfaceの発表会では、ペンで四角を描き、その中に縦横の線を引くだけで表になるアプリが紹介されている。さらに、その表の中に数字や文字を書き込めるのだ。
もはやPCの使い方は、我々が思うキーボードやマウスでポチポチ行うというものから大きく変わろうとしているのだ。

我々は、これまでのPC作業の概念を捨てる必要があるのではないだろうか。

Surface Laptopが日本の学生向けとしてどれだけ定着するのかは未知数だ。
しかし、「ペン」と「タッチパネル」を使いこなす”Surface Laptop世代”は、間違いなく新しいPCの世界を生み出していくだろう。

是非、マイクロソフトがWindows 10とともに目論む、Surface 世代のPC世界というのも見てみたいものである。


執筆 mi2_303