SurfaceがPCを変革し続ける理由とは?マイクロソフトが目論むスマホのためのクリエイティブPC時代

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マイクロソフトは2017年6月、人気のタブレットPC「Surface Pro」を一新した。
この流れに先立って、4月にはハイエンド2in1 PC「Surface Book」をスペックアップしたハイパフォーマンスモデル「Surface Book with Performance Base」をラインナップに加えている。

また日本未発売だった28インチタッチパネルを搭載したクリエイティブ向けPC「Surface Studio」を発売。さらに7月には学生をターゲットとしたクラムシェル型PC「Surface Laptop」も発売する。

ついにSurfaceファミリーが日本でも展開されていく段階に入った。

マイクロソフトのPC(パーソナルコンピュータ)戦略とは?
今回の日本での展開から見えてくるものはなんなのだろうか。

マイクロソフトは日本向けに初代「Surface」および「Surface Pro」を2013年に発売した。
当時、高価だったインテルのCPU「Core i」シリーズを搭載したモバイルPC市場に、比較的安い価格帯で高性能タブレットPCを市場に投入した格好だ。

OSの提供元あったマイクロソフトが、自社ブランドでOS提供先メーカーのモデルよりも革新的でコストパフォーマンスの優れたモデルを発売したことは、ユーザーだけでなく、メーカーや市場にも大きな衝撃が走り、注目を浴びることになる。
同年にはCPUやRAMやストレージを強化した「Surface Pro 2」にマイナーチェンジを行い、翌年にはさらに改善した「Surface Pro 3」を発売する。

Surfaceシリーズは、タッチで操作ができるというタブレットPC市場を立ち上げ、牽引してきたといってもよい。

特にSurface Pro 3からは、ラインナップを拡充し、価格設定にも幅を持たせるようになる。
一方で、ボリュームゾーンは比較的高価なハイエンドモデルが中心となる価格設定とした。あわせて、BtoBにも注力し企業への導入実績も着実増やしていく。

このようにSurfaceシリーズの認知の速さは見事で、瞬く間にモバイルPC市場においてその存在価値を高めていった。

しかし、タブレットPCは、使う場所や拡張性などから既存のノートPCのような使い方ができないという面もあり、必ずしも100%ベストなPCではない。

マイクロソフトも、その点は重々承知しており、2015年にはタブレットとラップトップの良さをあわせた「Surface Book」を発売している。
取り外し可能なディスプレイは、タブレットPCとして使える一方で、ノートPCと同じキーボードを持つベースと組み合わせることで、ハイスペックなノートPCとしても利用可能としているのだ。

セールスプロモーションは、フォトグラファーやイラストレーターが利用するクリエイティブなツールとしてのイメージを強く押し出している。Microsoft Officeが使えればいいというビジネスPCにはとどまらないモデルあることをアピールしている。

マイクロソフトは、Surfaceの市場展開と並行して、OS展開も連携させている。
Windows 10リリース1周年を迎える2016年には「Anniversary Update」として、ペンや生体認証、マイクロソフトのゲームコンソール「Xbox One」をWindows 10ファミリー化する大規模Updateを行った。

地味ながら自前のOSにペン機能を取り入れたことで、Surfaceシリーズでダイレクト活かせる便利な機能が一つ増えたことになる。

マイクロソフト以外のPCベンダーでは、タブレットPCや2in1、コンバーチブル型など、タッチパネルやペン操作が可能なPCは、いくつも発売している。
しかし、主力は、デスクトップPCやノートPCなどだ。特に海外のPCベンダーは、アップル製品をライバル、もしくは参考にしていたという背景もあり、アップル製品に似させた製品に注力しているケースも多かった。
また、自作PC市場は、海外で本格的な展開を見せ始めた「eSports」にあわせてゲーミングPCの需要が高まり、CPUやGPUの刷新のタイミングに注力していた。