女性誌『Suits WOMAN』で注目を集めた「貧困女子」。これは普通の毎日を送っていたのに、気がつけば“貧困”と言われる状態になってしまった女性たちのエピソードです。

今回、お話を伺ったのは、現在、病気療養中の里中陽子さん(仮名・39歳)。彼女は神奈川県に住んでいます。

自宅にお邪魔する予定が、“やはりどうしても家は見せられない”ということで、近くのファミレスで会うことにしました。パンパンにむくんだ体と、垂れ下がるような乳房、グレーと白のボーダーのワンピースは、くるぶしまであるロング丈。手にはフランスブランドの家紋柄の長財布を持っていますが、使い込まれていて、糸がほどけています。中にはポイントカードやレシートがパンパンに入っていて、厚みが4cmくらいありそうです。

かつて、バレリーナのように細く、美しかった彼女を知っているので、10年間の間に何があったのかを伺うことにしました。

「10年間で2回離婚したことで、ホントにメンタルをやられたこと。今、市川海老蔵さんと小林麻央さんのことがニュースになっていて、彼らと同じように考えてはいけないと思いますが、海老蔵さんの気持ちがわかる。というのも、夫婦の片方がとても相手を愛しているのに、相手がいなくなってしまうという辛さって、私の2回の離婚がそのパターンで、ホントに死にたくなるんですよ」

陽子さんは好きになった男性を、自分の一部のように愛してしまう。だから、好きになった人と、食事は同じものを食べ、お互いが仕事をしている間は一緒にいたくなってしまうのだと言います。

「ホレっぽいというか、とことんその人を愛してしまうんですよね。彼が望むことを何でもしたいと思うし、欲しいものはすべて買ってあげたくなる。お弁当も毎日作っていたし、私も仕事をしているのに、家はいつもピカピカにしていた。シャツやハンカチだけでなく、シーツまでアイロンをかけて、いつもきれいな家をキープしていたんですよ。それを当然だと思ってくれればいいのに、結婚3か月目くらいから、“重い”と言われ出し、ますます頑張ると相手があまり家に帰って来なくなり、1〜2年で別れを切り出されるというのがパターン」

陽子さんは29歳で最初の結婚をして1年で離婚。37歳の時に2回目の結婚をして半年前に離婚したばかり

「毎日、“死にたい”と思いながら、泣いています。有料チャンネルでやっている韓流ドラマを見ながら1日6時間くらいうずくまっているかな。今、ホルモンバランスが崩れてこんなにパンパンになっちゃったけど、一時期は何も口にできず、飲まず食わずで泣いていて餓死に近い状況になっていたと思う。ハンガーノックって言うんだけれど、極度の低血糖状態になってしまい、手先が痺れて頭が動かなくなるんですよね。その時はさすがにヤバいと思って、親に連絡しました」

基本的にここ3年はまともに働いていないとか。生活費はどうしているんでしょうか。

「貯金と親からのお金。1か月5万円くらいで生活していますよ。スマホ代と有料チャンネル代は確保したいから、削るのは光熱費。その節約のために、シャワーは3日に1回、エアコンを付けず、明かりはテレビのみ。料理をしないから、冷蔵庫のコンセントも抜きっぱなしだし。医療費だけで月1万円以上かかるから、ホントに辛い。マンションが持ち家だし、保険にはいっているので、生活保護が受けられない。今、障害者手帳の申請をしようとしているんだけど、手続きが大変。でも頑張っています」

これから、仕事をする気持ちはあるのでしょうか?

「う〜ん……したい気持ちもあるけれど、ムリっぽい部分もありますね。大学中退だけど一応、大企業の孫会社にいたこともあるから、そのネームバリューで一次審査はパスする。でもその先が……。どの会社に行っても、人間関係になじめないし、セクハラを受けるし、それを断れなくて、一時期は上司にレイプまがいのことをされたこともあったから、オフィスっていう空間が苦手なんですよね。過呼吸になって倒れたこともあって、周囲の好奇の目に晒されながら仕事をすることを考えると、軽くパニックになります」

陽子さんは唇に手を当てて話すクセがあり、それがセクハラを誘発すると自分ではわかっているのにやめられないとか。

上司からレイプまがいのことをされてしまう、それを誘発した過去の出来事とは……〜その2〜に続きます