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text:Nic Cackett(ニック・カケット)

 

まれにみるBMWの失敗作

BMW 5シリーズGTは、少なくとも欧州市場では、BMWのめったにない失敗作となった。

経済の停滞や大型SUV離れなどもあったけれど、5シリーズGTはほとんど誰にも見向きされずにその生涯を終えたのである。

ルックスにも問題はあったと思うが、最大の敗因はポジショニングだろう。

7シリーズと同等の全長に後席の広いヘッドルームを備えるものの、ラゲッジルームはそれほど広くない。そんなクルマを必要とするユーザーが、一体どれほどいるというのだろうか。

上級移行、BMWの企みとは?

心機一転して、5シリーズGTから6シリーズGTへ、(名前は)上級移行を図ろうとする気持ちも、5GTの惨敗ぶりを見れば理解できる。

より気分を高揚させる華やかさを備えた6シリーズの威を借りれば、純粋なワゴンでもSUVでもない高価なリフトバックも、顧客を見つけやすくなるだろう。

もしもBMWが6シリーズのラインナップを再構成するつもりなら、ポジショニングはさらに大きな意味を持つ。(噂では、既存の6シリーズが8シリーズになる)

そのため、5シリーズのおまけのような存在だったGTを6シリーズに仲間入りさせて、アイデンティティを確立させようとしたともいえる。

好き嫌いがハッキリ分かれるX6に似たスタイリングをやめ、ハッキリと差別化を図ったのも、そのためだと思われる。

ほんとうに欲しいクルマを

6シリーズGTは、そうした賛否両論別れる要素をデザインから排除したが、いまだにセダンやワゴン、SUVといった明確なカテゴリーを支持しがちなマーケットで成功するという保証はない。

はたして吉と出るか、それとも裏目を見るのか。「ブランド力に頼らない」消費者の評決を、AUTOCARは期待する。