(名古屋「大甚 本店」)

 どうも、SCOOBIE DO・オカモト“MOBY”タクヤです。夕方、早い時間から地方の酒場で呑むって、この上ない幸せですよね。

 バンドマンにとってそのチャンスが訪れるのが、どこかの街に前日から宿泊する、いわゆる「前乗り」日。午前中に、ある街のホテルをチェックアウトして機材車に乗り込み、夕方までに次の街へ到着、そのまま翌日の集合時間まで解散……。はい来ました!このタイミングであります。

■前回記事 【連載】大衆酒場大学・1コマ目 “大衆酒場”の原点、早稲田「やきとり一休」 【連載】大衆酒場大学・2コマ目 開店前から常連が鎮座、高知「葉牡丹」

 たとえば大阪で土曜にライヴとなると、週末は東京を出発すると東名高速の大和トンネルあたりまでは必ず渋滞するから時間が読めないため、余程のことがない限り金曜に前乗りになります。京都以西、また盛岡以北、金沢などは前乗りです。

 これがたとえば名古屋、あるいは仙台あたりだと、当日入りでも移動可能なので前乗りは滅多にありません。しかも夕方から呑むなんて機会は滅多にない。ですが、この5月下旬、木曜に大阪でライヴ、中一日はさんで土曜に名古屋でライヴというスケジュールが……。「おお! これは“名古屋前乗り”の大チャンス!当然その機会を逃すまい!」というわけで行ってきました、名古屋の酒場に。今回は名古屋を代表する酒場をご紹介します。

 みそは問答無用に赤みそで、ひつまぶし、あんかけスパゲティ、きしめん、みそ煮込みうどん、みそカツ丼、台湾ラーメンに薬膳ラーメンなどのご当地ラーメン、更には小倉トーストやエビフライサンド、それに喫茶店のモーニング……。俗に「名古屋メシ」とも呼ばれるガラパゴス的な独自の食文化。東でも西でもない、ある種「混ざった」感じでありながら、一方では「閉じた」気質が、他の街の追随を許さない独自の食文化と発展したのでしょうか。

 僕はかれこれ20年近く名古屋に通っていますが、その度に何かしらを味わい、それがボディブローの様に身体に染み渡り、すっかり名古屋メシの虜になっています。それと同様に、もちろん酒場も名古屋独自のお店が数多くあります。今回はその中でも代表的存在である 「大甚 本店」 をご紹介しましょう。

「大甚 本店」へ行ってみた

 名古屋の繁華街である栄に近い伏見駅を出て徒歩数秒。創業明治40年(1907年)といいますから、名古屋では勿論のこと、“居酒屋”というジャンルに於いても日本屈指の老舗であります。黒い外観、「酒」と書かれた暖簾。そしてお店の注文形式は、何と俗に言う「学食」スタイル! 現在のお店を仕切る三代目(シャネルの眼鏡をかけアンダーアーマーの動きやすいシャツを身に纏うお洒落な旦那さん)が、とある大学の学食を参考にしたそうで、小皿に盛られた惣菜や、その日の肴がずらっと並べられていて、てめえで好きなものを取って食べるのであります。

 さてどれにしようかな、と考えていたら店員さんが「どうぞ!」といってお盆を渡してくれます。これは有り難い、とついつい一品二品多く選んでしまいがち。その横には板前さんが待機し、ガラスケースの魚を頼むと刺身や焼き魚、煮魚にしてくれます。

 冬には鍋や土瓶蒸しなどもあります。それが全て味覚的にも、そしてお財布にも良心的。酒はとりあえず瓶ビールから入って、その後はこの店の名物でもある「大甚 本店」専用に特別に作られている広島の銘酒「賀茂鶴」四斗樽。ボクはいつもぬる燗を頼み、常連の皆さんが各々楽しんでる中で、ひとり「うわー、自分、大甚 本店で呑んでる!」という満足感に浸るのがルーティンであります。飴色の内装、柔らかい店内の照明の下、あなたもきっと満たされることでしょう!

 「大甚 本店」を知らずして居酒屋を語る無かれ!

(文/SCOOBIE DO・オカモト“MOBY”タクヤ)