四季折々の行事とともに、私たちを楽しませてくれる「和菓子」。日本の伝統を受け継いできたその味は、見た目の美しさとともに、今や外国の方にも大人気のようです。ということで今回は、TOKYO FMの番組の中で詳しい方々に、これからの季節におすすめの「和菓子」について教えていただきました。
(TOKYO FM「ピートのふしぎなガレージ」6月24日放送より)


意外と知らない世界「和菓子」入門



◆「あんこに関しては完全に○○あん派です!」
〜俳優 原田龍二さん


── 原田さんはどんな和菓子が好きなんですか?

あんこには小豆とこしあんの2種類がありますが、僕は完全にこしあん派です! ……なぜと聞かれても困るのですが(笑)。もともと僕は幼い頃、ずっとお祖父ちゃんやお祖母ちゃんと一緒に暮らしていたので、和菓子をお土産に買ってきてもらう機会がけっこう多かったんです。その影響か、気がついたら和菓子が大好きになっていました。

洋菓子しか知らない人なら、たとえば「いちご大福」から和菓子に触れてみてはいかがでしょうか。いちごに限らず、パイナップルが入っている大福もあります。このあたりは洋菓子に近い雰囲気なので、なじみやすいかもしれません。

京都で撮影があるときは、京都でしか売っていない和菓子がなによりの楽しみです。特に京都の町の一角で普通に売られている「麩まんじゅう」が楽しみですね。これは笹の葉で包まれた緑色をした草餅で、中にこしあんが入っています。和菓子屋さんではそれを冷やして売っているのですが、笹の良い香りがして夏には最高です。

── おいしい和菓子ってどういうものなんでしょう?

僕はあんこに関しては甘さ控えめのほうが好きですね。そのほうがたくさん食べられますから。甘さが強いとどうしても次はしょっぱいものが食べたくなってしまいます。でも甘さが控えめならしっかり甘いものを食べてから、しょっぱいものに移れるんです。さらにその後でまた甘いもので締めたりしています。

しょっぱいものと言えばお煎餅。煎餅の材料はお米なのでお腹もふくれます。僕はご飯がないときはお煎餅を食べているくらいです。日本におけるファストフードの走りと言って良いかもしれません。味付けはやっぱり醤油が一番。昔、近所にお煎餅屋さんがあって、その前を通ると醤油のいい香りがしたのが今でも忘れられません。お煎餅とあんこ、そしてお茶は三位一体のセットです。

実は水谷豊さんや里見浩太朗さんも和菓子が大好きです。でも里見さんはちょっと食べ過ぎですね(笑)。『水戸黄門』で7年ほどご一緒させていただいたんですが、その約2500日の内、2000日くらい和菓子を食べていました。ちなみに水谷さんも里見さんも、そして僕もお酒を飲まないのが共通点です。「だからそのぶん、和菓子で糖分を補っているんだ」と3人でいつも言い訳しています。

◆「季節ごとの和菓子を楽しみましょう」
〜元虎屋文庫研究主幹、東京学芸大学講師 青木直己さん


── 和菓子は季節に密着しているんですか?

私たち日本人の生活には四季の変わり目に行事があります。その行事に密着した和菓子があるんです。たとえば3月3日のひな祭りなら草餅。かつて旧暦だったときの3月3日は現在の4月頃だったので、野原でよもぎを摘んで草餅を作りました。宮中の女房言葉ではその草餅を「草のつみつみ」などと呼んでいたようです。

この時期、6月なら水無月という和菓子です。水無月の上にのっているのはあんではなく、小豆を甘く煮たもの。小豆は『古事記』に登場するくらい古い穀物で、赤い色が邪気を取り除くとされてきました。おめでたいときに小豆の入ったお赤飯を食べるのもそんな縁起から来ています。もちろん単純においしいからという理由もあるでしょうが(笑)。

── 6月16日が「和菓子の日」なのはなぜなんでしょう?

かつて6月16日は「嘉祥(かじょう)の儀式」が各地で行われていました。京都の御所ではひさしの下に公家が一列に並んでお菓子を食べる仕草をしたり、江戸城では500畳もある大広間に2万個のお菓子が用意され諸大名や家臣に振る舞われたんです。そんな日にちなんで、現在は6月16日が和菓子の日になっています。

もともとこの儀式は楊弓(ようきゅう)という小さな弓を使った的当てゲームで、負けた人が嘉定通宝という中国のお金で食べものをおごった風習に由来しています。ですから最初は武士の間で行われていたのが公家や民間人にも普及したもので、井原西鶴の作品にも「6月16日に京都の遊郭で16種のお菓子を食べる」という描写が登場しています。

さらに6月16日は月見の日でもありました。秋のお月見は今もおなじみですが、6月の月見は16歳になった人の成人を祝う儀式で、おまんじゅうに穴を開けて、その穴から月を見るんです。そしてたくさんのお菓子を用意して夜を徹して宴会したのが6月の月見でした。

── これからの季節ならどんな和菓子がありますか?

7月に入ったら葛のお菓子ですね。もっとも現在は葛が高いので、葛餅や葛きりも葛のかわりに馬鈴薯でんぷんで作られていることが多くなっています。葛のお菓子は半透明で涼しげですし、喉越しが良くてスッキリしているので、暑くなって食欲が落ちたときにぴったりです。黄色いあんを半透明の葛で包み、ホタルの光を再現した「初蛍」という和菓子もあります。

◆「TVチャンピオンではこんな工夫をしました」
〜(株)白妙 取締役 会長 高橋弘光さん


── 高橋さんの8回優勝は伝説ですね!

『TVチャンピオン』の全国和菓子選手権は、和菓子でどんなものが作れるか職人の創作力を競う番組で、私も工芸菓子でお寿司やパスタにそっくりな和菓子を作ったりしました。

お寿司のお米は錦玉羹(きんぎょくかん)という寒天で。そのままだと透明なので、ミルクを入れて白く着色します。上に乗せる寿司ネタは主に羊羹で、サーモンならパプリカで赤くしました。ワサビは白あんに餅を入れた練り切りあんですね。お寿司にしか見えないのに味が和菓子なので、食べると脳が混乱しますよ(笑)。

TVチャンピオンで発表した和菓子で今も私のお店で販売しているのが「白牛酪餅(はくぎゅうらくもち)」です。これは赤ちゃんの頬のようなプルプルのお餅で、中には黄身あんが入っています。普通のあんが豆の味だけなのに対して、黄身あんは卵の黄身が練り込まれているので甘さは控えめです。

── 和菓子職人ってどんな技術を勉強するんでしょうか?

最初は「あん玉切り」からでしょうか。あんこを手で絞りながら同じ目方に切る技術ですが、正確にできるようになるのに最低3年は掛かります。切ったあんを大福などに入れたとき、お客様から「そっちじゃなくてこっちの大きいのを下さい」などと言われるようでは困りますから。

あんこ作りは豆を水に浸けてふやかし、加熱して豆を炊き、こしあんの場合は機械で皮を取り除き、絞って砂糖を加え、火にかけて練るという手順です。言葉にすると簡単そうですが、お米を炊飯器ではなくかまどで炊くようなもので、「さわり」という銅の鍋で作るのががなかなか難しいんです。でもそのほうがおいしくなります。

それから和菓子にはいろんな生地があります。おまんじゅうの生地、ういろうの生地、大福のお餅、いろいろあるので作り方を覚える必要がありますね。和菓子はとても種類が多くて、全国に何百何千も種類があるので、区分しきれないくらいです。

── これからの季節におすすめの和菓子はありますか?

これからの季節でしたら「金魚」がおすすめです。これは錦玉羹という寒天の和菓子で、お皿をちょっと揺するとプルプルと震えて金魚が水の中を泳いでいるように見えます。そのほかにも上生菓子の「半夏生(はんげしょう)」や「朝顔」もとても美しいので、機会があったらぜひ食べてみて下さい。

TOKYO FMの「ピートのふしぎなガレージ」は、《サーフィン》《俳句》《ラジコン》《釣り》《バーベキュー》などなど、さまざまな趣味と娯楽の奥深い世界をご紹介している番組。案内役は、街のはずれの洋館に住む宇宙人(!)のエヌ博士。彼のガレージをたまたま訪れた今どきの若者・新一クンと、その飼い猫のピートを時空を超える「便利カー」に乗せて、専門家による最新情報や、歴史に残るシーンを紹介します。

あなたの知的好奇心をくすぐる「ピートのふしぎなガレージ」。7月1日(土)の放送のテーマは「フクロウ」。お聴き逃しなく!

<番組概要>
番組名:「ピートのふしぎなガレージ」
放送エリア:TOKYO FMをはじめとする、JFN全国37局ネット
放送日時:TOKYO FMは毎週土曜17:00〜17:50(JFN各局の放送時間は番組Webサイトでご確認ください)
番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/garage


----------------------------------------------------
この記事の放送回を『radikoタイムフリー』で聴くことができます(1週間限定)。
(スマートフォンは「radiko」アプリ(無料)が必要です。⇒詳しくはコチラ http://www.tfm.co.jp/timefree_pr/)

■番組聴取は【コチラから http://radiko.jp/share/?sid=FMT&t=20170624170000】(無料)
聴取期限 2017年7月2日 AM 4:59 まで

※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用頂けます。
----------------------------------------------------