「100年に一人の逸材」。新日本プロレスのトップ選手にして、空前のプロレスブームを牽引するスター・棚橋弘至選手に、文春オンライン執筆陣と編集部から「100の質問」をぶつけるインタビューを敢行!

 IWGPインターコンチネンタル選手権で約3年2カ月ぶりに同王座への返り咲きを果たした直後、6月の雨がそぼ降る中、インタビューに応じてくれた。

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基本的にどこかは痛いんです

――試合直後で傷も癒えないところだと思いますが、こんな雨の日は古傷が痛みませんか? urbanseaさんからの質問です。

棚橋 天気はあんまり関係ないですね。年間130試合くらいやっているので、基本的にどこかは痛いんです。今日は首か、今日は膝か、今日は腰か……っていう。でも僕は「疲れたことがない」って明言してる手前、弱音は吐かないんですけどね。

――そんな疲れない男・棚橋選手は自分の前世は何だったと思いますか?

棚橋 ターザン。

――山本一郎さんからの質問です。「ストレスが溜まっているときや疲れているとき、休日はどう過ごされていますか? 疲れてないかもしれませんが」とのことなんですが。

棚橋 休日は子供たちと一緒に過ごすようにしています。息子とミニ四駆を作ったり、娘の習い事の送り迎えをしたり。

――9歳の娘さんを持つロシアの主夫・栗田智さんからこんな相談が棚橋さんにきています。「娘に対して父親としてどこまで厳しく接すればいいか悩んでいます。どうすればいいでしょう」。

棚橋 なるほど、主夫の方なんですね。答えになるかわかりませんが、僕の家の場合を話します。うちは夫婦で話し合って役割分担をしっかりするようにしています。僕は家にいないときも多いので、嫁がしっかりしつけて怒る係をしてくれているんです。だから、僕まで厳しくしてしまうと、子供たちの逃げ場がなくなってしまうので、それはやめるように心がけています。どっちかというと「ガス抜き係の父」ですね。

 ただ、優しくしているだけではないんです。たとえば「ママに怒られた」って甘えてくるときもあるんですけど、そこで一緒にママを否定しないようにしています。ママの怒った理由をパパとしても伝える。両親の意見が違ってしまうと、子供が迷ってしまいますから。そこは大切にしています。


 

気分で怒らないようにしようと決めている

――普段怒るイメージがないのですが、それでも一番激しく怒ったときはどんな時ですか?

棚橋 子供が姉弟喧嘩をしたときです。

――仕方なく怒るときに気をつけていることはありますか?

棚橋 気分で怒らないように気をつけています。昔、息子がいたずらで僕がトイレに入っているときに電気を消したんですよ。僕も「おい、てめぇ、コノヤロー」とかギャグっぽく返して喜ばせてたんですけど、あるとき何か考え事をしていた時に電気を消されたことがあったんですよ。それで僕「やめろっ!」とかマジで怒っちゃったことがあって。子供にしてみれば、あの時は怒られなかったのに、なんで今日は怒られたんだろうって思っちゃいますよね。同じことをしたのに、ある時は冗談で済んで、ある時は怒られてしまうと、やっていいことと悪いことの区別がつかなくなっちゃうと思うんです。だから、気分で怒らないようにしようと決めているんです。

現役選手以外で最も対戦したかった相手は誰ですか?

――文春オンライン執筆陣にも棚橋選手のファンは多いのですが、今回一番多かった質問は「現役選手以外で最も対戦したかった相手は誰ですか?」という質問です(松尾諭さんほか)。

棚橋 プロレスファンっぽい質問ですね。そうですね……三沢(光晴)さんともやりましたし、小橋(建太)さんともやりましたし。やっぱり猪木さんですかね。

――アントニオ猪木さんにここはレスラーとして負けないぞと思うところはどこですか? (プロ野球死亡遊戯さん)

棚橋 ビジュアルですかね(即答)。


 

――レスラー以外で戦いたい相手というのはいますか?(松尾諭さん)

棚橋 面白い質問ですね。うーん、ライオンとかですかね。あとは熊。

――熊といえば、藤原喜明さんが以前、熊と戦いました。棚橋選手ならどう戦いますか? (urbanseaさん)

棚橋 熊はやっぱり噛み付きが怖いので、なんとかバックをとりたいなと思います。

――空手八段、柔道五段、テコンドー九段のプーチン大統領とテニスのシャラポワ選手(テニスラケット付き)。異種格闘技マッチをするならどちらと対戦したいですか? (栗田智さん)

棚橋 断然、シャラポワさん。

――自分と戦うなら、どう倒したいですか? (松尾諭さん)

棚橋 面白いなあ。そうですね、棚橋はわりと受け身がうまいんですけど、その受け身で上手い下手が関係ない技ってあるんですよ。ツームストーンパイルドライバーとか、奥歯を噛んで、グッと噛んで耐えるしかない。そういうのを中心に攻めていきますね。

僕、苦手なんですよ、スケジュール管理

――元AV女優で社会学者の鈴木涼美さんも棚橋さんの大ファンだそうです。預かっている質問は「腕っぷし以外で、この男にはかなわないなっていうのはどんな人ですか?」

棚橋 まめにスケジュール管理ができる人。僕、苦手なんですよ。だから今、自宅のトイレにやらないといけないリストを貼りだして忘れないようにしてるんです。

――ちなみに今、新しい技は考えていますか?

棚橋 はい、毎日考えています。


 

――他の選手の技で、使ってみたい技はありますか?

棚橋 リコシェの、その場で飛んでやるシューティングスタープレス。

――自分の技で一番好きな技は何ですか?

棚橋 スリングブレイドです。

――テキサスクローバーホールドがかっこよく見えるポイントは?

棚橋 相手が縦の状態で自分の腰を深く下ろす。

――ハイフライフローの返し技で一番痛かったのは何ですか?

棚橋 カール・アンダーソンのガンスタン。

――試合前に行うルーティンはありますか? もしくはゲン担ぎで行う何かはありますか?

棚橋 リングシューズは必ず左から履きます。

――もし過去に戻って1試合だけやり直せるとしたら、どんな試合ですか? (プチ鹿島さん)

棚橋 2005年、プロレスリング・ノアの東京ドーム大会、力皇戦をやり直したいですね。あの試合はGHCのタイトルマッチだったんですけど、全然盛り上げられずに終わってしまって……。ただ、あの試合があったからこそ、ずっと悔しくて、今に至るモチベーションの一つになっているんですけれども。

オカダ・カズチカの挑発を「逆手」にとったあの瞬間

――棚橋選手のパフォーマンスを語るうえでは「100年に一人の逸材」「愛してま〜す!」など、名フレーズが欠かせないと思います。こうした言葉は自然と出てくるものなのか、それとも練り上げたものなのでしょうか? 名言ハンター・大山くまおさんからの質問です。

棚橋 フレーズは「仮面ライダー」からそのままもらっているものもありますし、普段触れている書籍とか、音楽とか、映画とかからも影響を受けていたりもします。特にインプットしようと思っているわけじゃないんです。いい言葉だなぁと思ったら、「どこかで出ればいいな」くらいの気持ちで無意識下に溜めておくんです。それくらいでストックしておくと、リング上のシチュエーションに合わせて、言葉がガチッと噛み合ってポーンと出てくる。

 2012年の東京ドーム大会で、オカダ(・カズチカ)がリング上で「棚橋さん、お疲れさまでした! これからは逸材にかわってレインメーカーが新日本プロレスを引っ張って行きますんで、お疲れさまでした!」と挑発されたんです。それを聞いてて「お疲れ様でした」っていうのが、僕の中でカチッとはまったんですよ。それで「悪いなオカダ。俺は生まれてから疲れたことがないんだ」っていうので返したんです。オカダは「下剋上」のメッセージを僕に拾ってほしかったんだろうけど、僕にとっては「お疲れ様」が拾いやすかったんですよね。オカダにしたら「そっち拾うか」って話なんでしょうけど(笑)。そこからですね、「疲れたことがない男・棚橋」のイメージがつき始めたのは。

 ですから、リング上のマイクはもう、すべて瞬発力勝負です。


 

――まさにプロレスは言葉の世界でもあると思いますが、棚橋選手が印象深く思っているプロレスラーの言葉は何でしょうか? (大山くまおさん)

棚橋 僕がファンの頃に好きだったのは、武藤(敬司)さんがG1クライマックスで優勝したときに言った「武藤敬司はますます驀進します」。驀進って言葉がカッコいいなあと思って。G1クライマックスで優勝して、これ以上ないところまで昇りつめたのに、さらに「驀進」するという。言葉に力があるし、「武藤敬司どこまで行くんだ」というイメージを抱かせるじゃないですか。

女性に耳元で囁かれたい「ことわざ」は……

――G1のお話が出ましたが、今年のG1にテーマがあるとしたら何でしょうか?

棚橋 旗を折るか、折らないか。

――今年のG1で注目の選手はいますか?

棚橋 自分です。

――G1中は他の試合も見るのでしょうか?

棚橋 はい、見ますよ。

――これまでのG1の中で、お勧めの対戦カードはありますか?

棚橋 2004年のG1クライマックス決勝、棚橋vs.天山広吉、です。

――先ほど、プロレスは言葉だ、というお話を伺いましたが、棚橋選手は「ことわざに詳しい女性と話すとグッとくる」そうですね。そんな女性に耳元で囁かれたいことわざは何ですか?

棚橋 「虎穴に入らずんば虎児を得ず」

――好きな作家はいますか?

棚橋 西加奈子さんが好きです。

――カラオケで歌う歌は何ですか?

棚橋 ゴダイゴの「銀河鉄道999」です。


 

たなはし・ひろし/1976年、岐阜県大垣市生まれ。立命館大学法学部卒業。大学時代はアマチュアレスリング、ウェイトトレーニングに励み、1999年新日本プロレスに入門。同年10月10日、真壁伸也(現・刀義)戦でデビュー。日本人離れした肉体で、団体最高峰のベルト、IWGPヘビー級王座に何度も君臨。第56代IWGPヘビー級王者時代には“歴代最多防衛記録”である“V11”を達成した。181cm、103kg。7/17(祝)@札幌から開催される毎年恒例の全国興行、真夏の最強戦士決定戦「G1 CLIMAX 27」にも出場予定。

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大会最新情報は新日本プロレスオフィシャルサイト(http://www.njpw.co.jp/)まで。

「新日本プロレス×アミューズ THE BEACH HOUSE 真夏のライオンキッチン〜SUMMER G1 AUDITION〜」7月1日〜8月31日まで鎌倉由比ガ浜海水浴場で開催 

ローソンチケット Presents G1 CLIMAX 27  
7月17日 〜 2017年8月13日  ※最新情報はG1 CLIMAX 27 特設サイト

写真=橋本篤/文藝春秋

(「文春オンライン」編集部)