「世界で最も社員がやる気に溢れる会社の秘密」

写真拡大

「従業員が褒め合う文化」が良いサービスをつくる
従業員が幸せであれば、良いサービスが提供できる。結果、お客様を幸せにできる─そんな ”サービス業の理想像”を地で行くホテルチェーンがある。サンフランシスコをはじめ、全米32の都市で58軒のホテルと71軒のレストランを展開するキンプトンホテルズ&レストランツ(以下、キンプトンホテルズ)だ。

ゲストへのホスピタリティに溢れたカジュアルな接客スタイルを特徴とし、客室でのヨガ教室の実施など、ユニークで、親しみやすいサービスを追求する。2017年度には、高い顧客満足度から同チェーンの27のホテルが「AAAs2017 Four DiamondAwards」を受賞する一方、「Fortune 100 Best Companies to Work For 2017」の、ホスピタリティカンパニー業界のトップに。顧客からも、従業員からも、高く評価されている同社は、好調な業績を上げており、近年は、カリブ海のグレナダやアムステルダムなど、米国外への進出にも積極的だ。

キンプトンホテルズでは、良いサービスの源泉となる「従業員エンゲージメント」をどう高めているのか。CEOマイク・デフリーノは、「” 従業員の体験” の豊かさ」こそが、重要であると話す。「従業員の体験」とは、新たな挑戦の機会、能力の向上に繋がる学びなど、従業員が職場で経験するあらゆる局面を指す。

「ゲストが当ホテルを選ぶのは、気楽で落ち着いた環境を求めているから。そうした雰囲気を、どんなに内装やバーカウンターで演出しても、従業員の働く姿がかけ離れたものであったとすれば、ゲストはその”ギャップ”を敏感に感じ取る。だからこそ、従業員に職場での豊かな体験を提供し、幸せな人生を送ってもらわなければなりません」

従業員のために、ただ福利厚生を充実させれば良いというわけではない。肝は、組織内に豊かなコミュニケーションを生み出す仕組みづくりにある。その核にあるのは、「キンプトンモーメント」と呼ばれる企業文化だ。例えば、ある家族が小児病院に入院する9歳の娘の病室に通うため、ホテルに滞在したとする。従業員は、家族の事情とその女の子がペンギン好きであることを、ゲストとの会話で知り、退院に合わせ、街の水族館からペンギンを手配。こうした”特別な瞬間”こそが、キンプトンモーメントなのである。

キンプトンホテルズの従業員はうまくいったサービスがあれば、社内専用SNS「Yammer」を使って、全社員へ日常的に共有している。一年で最も優れたサービスには、年に1度、全マネジャーが集うセレモニー「アルティメット・キンプトンモーメント」で、大々的に表彰される。「キンプトンモーメント」を媒介にして、部門や勤務地の異なる従業員たちでも、お互いの仕事を賞賛し合うことができる職場環境を整えているのだ。

キンプトンホテルズが顧客と従業員から評価される秘訣─それは独自の企業文化を軸にした、豊かな社内コミュニケーションにあった。