「彼が飛行機の隣の席に座っていても距離があって寂しいって感じ。背中にへばりついて眠るのがいちばん気持ちいい。そういう気持ちになったのは彼が初めてなんです。こんなに夫婦がいいって思わなかったわね。彼はこんな人がいるのかとびっくりするほど善良な人。そういう人に出会ってしまったということなんですよね」
 
こう語るのは、女優で映画監督の桃井かおりさん(66)。桃井さんは、'04年に54歳でハリウッドに挑戦するために渡米。大作『SAYURI』('05年)に登場する“置屋のおかみ役”をオーディションで獲得し、以来、アメリカのみならず、ドイツやメキシコなど世界各国の映画に出演している。最近では、イッセー尾形さんと夫婦役を演じるラトビアと日本の合作映画『ふたりの旅路』が、6月24日に公開されたばかり。
 
私生活では'15年、64歳のときにアメリカで音楽関係の会社を経営する、同い年の日本人男性と電撃入籍して話題になった。熟年婚を始めて2年。現在はロスで夫婦ふたりで暮らしている。そんな暮らしに愛しさを感じてたまらないという。
 
「実は彼とは9歳からの知り合い。親同士も仲よくて。何十年も会っていなかったけどロスで再会しました」
 
長年、独身生活を謳歌してきた桃井さんが、結婚に踏み切ったのはなぜなのか。
 
「その後付き合うようになって『一緒に住んでます』って、彼のお母様に報告に行ったら、『結婚するの?』とか『お墓に入ってくれるの?』とか聞かれてね。最後に、『夫婦ってね、老後がいいのよ』って言われたんです。その一言が、心に染みて。ちょうど、人と人とのつながりを求めていた時期だったからかもしれない。そのとき初めて、そうか籍を入れるのか、って“結婚”を意識し始めたんです」
 
桃井さんは、夫との出会いを“運命”だと感じている。
 
「私、自分ひとりでも食べていけるくらいの財力はあったし、ボーイフレンドもいたから、いままで結婚する必要性を感じたことがなかった。ずっと一緒にいたら疲れるから、さっさと家に帰ってくれる人のほうがラクでいいな、って。別れた人たちとご飯を食べられる女でしたから。前に付き合った人を並べて『いまの彼です』って紹介したこともあった。そんな私がいまのダンナさんと暮らして、自分がこんなにかわいくて無償の愛をささげられる女だってことを発見したんです」
 
公私ともに順風満帆の桃井さんだが、これからひとつかなえたいことがある。
 
「1年で5本映画を撮ったりしていたものだから、もう少しふたりでゆっくりする時間がほしいと思うんです。庭に植えたバラがいま、一面に花を咲かせています。花束にして友達のところに持っていけるくらい咲いたし、レモンの木にも実がなったし、なんかこの生活をもっと味わわないと、と思っちゃう。しばらくはいい仕事が来ても休みたいもんね。愛犬が元気なうちに、トレーラーでも借りてふたりで旅行したいな、とか」