いつの時代も、気になる女性をデートへと誘う時、男性は少しばかり心許ない気持ちになる。

「この前、先輩と来たんだけどさ」

なんて言って、本当は意中の相手とのデートコースの予習をしていたなんて、恥ずかしくて言えるはずがない。

同じく「昔の彼女を連れてきたことがあるお店なんだよ」などとも、口が裂けても言えない。

男性は、デートコースに四六時中頭を悩ませている。

そんな東カレ男子たちに、ささやかな処方箋を贈る。




【今週の東カレ的デートコース】

オススメの関係性:距離を縮めたいが、まだ様子見の段階。1、2回目のデート。
オススメの年代:20代半ば〜40代
エリア:広尾
推定予算:6.5万円(内訳:1軒目4.5万円、2軒目2万円)
推定時間:4時間程度
推奨男性年収:1,500万円以上
推奨デート曜日:木曜金曜


20時、広尾駅集合。タクシーで5分だけ乗る意味。


集合場所。それは女性にとって、その人とデートに行くか否かが決まる重要なポイントであり、彼のテイストや趣味が自分と合うのかを推し量る基準にもなる。

“上野駅集合”よりも、“広尾駅集合”の方が、女性が喜んで来てくれる可能性が高いことは言うまでもない。

-木曜日、20時。仕事終わりに広尾駅で。

行き先は伝えず、ただ待ち合わせ場所だけを言う。それだけで十分。

広尾駅で待っている可憐な彼女を見つけたら、そのまま一緒にタクシーに乗り込もう。この時、彼女は思うはずだ。「一体どこへ行くのだろうか」と。

あえてタクシーを使うことで、彼女の疲れをケアしつつ、「どこに行くのか?」という期待感も演出できる。

だがタクシーに乗ってたったの5分、初乗り410円で降りる。その先は...?


たしかに広尾駅から徒歩は少し遠い。向かった先は?




広尾の中華新店『茶禅華』。静かな住宅街に突如現れる、邸宅を改装した店構え。

階段を上りきらないと一瞬店だとは分からない外観に、彼女の期待値は膨らむ。

モダンシックな店内には中国の骨董品がディスプレイされており、その独特な雰囲気は何故か虜になる。

隣の人がいても、不思議とその距離が気にならないテーブル席で彼女と向き合う時間。

季節を追って変わるコースは1種類しかないため、メニュー選びでもたつく心配もない。きっと、彼女はこう言うだろう。

「こんな場所に、こんな素敵なお店があるなんて知らなかった!」




最初は少量ずつ、食事の後半に進むにつれてボリュームが増える計16品ほどのコースをゆっくり堪能しているあいだに、時間はゆっくりと、優雅に過ぎていく。

料理を更に引き立てるペアリングを心ゆくまで楽しむうちに、彼女の緊張も徐々にほぐれ、警戒心はすっかり和らいでいるだろう。




いよいよ食事も終盤に近づき、彼女もほろ酔いになってきた。お腹も満たされ、お会計を伺う辺りで必ず出てくる台詞がある。

「二軒目、どうする?」

この時、まさか二軒目を決めていないなど、口が裂けても言ってはいけない。

女性は、自分のためにデートプランを練ってくれている男性を好む。特に数回目のデートなのに、二軒目まで決めていないのは、チャンスを失うことを意味する。

気心知れた間柄ならば構わないが、初めてのデートで“今から二軒目探すね”と言った瞬間に、その女性と、次はないと心得よう。



『茶禅華』の店前の通りはタクシーが捕まりにくい。

少し歩き、有栖川公園側まで出てからタクシーを拾うも良し、あるいは店にタクシーを手配してもらうのも良し。

「近場で、もう一杯だけ飲まない?」

タクシーに乗り込み、少し彼女の方を見つめる。まだ、手を握るのは早い。ここでは紳士な態度を保つことを心がけたい。

「天現寺に、いい感じのBARがあるんだ。」


天現寺にあるムード満点なBARで、二人の親密度は高まる...!


『茶禅華』からタクシーで約5分。

明治通り沿いにある、外から中が一切見えないバー『ル・バー』に到着だ。


23時、暗すぎるBARで彼女と二人きり


『ル・バー』の店内はペンライトを使用しないとメニューが見えないほど暗い。

また、それぞれが仕切られた席の配置になっているため、彼女と一対一で向き合うには最高の空間だ。

店内が暗い分、店の奥側に位置する渋谷川のライトアップが、妙に幻想的に見える。それもまた計算のうち。

「暗くて、よく見えないね。」

彼女が恥ずかしそうに微笑む時、そっと彼女との距離を縮めよう。

暗がりの中、テーブルに置いてあるキャンドルの灯り以外、二人を照らす物は何もない。

そっと暗がりで手を繋いでも、二人を邪魔する者はいない。タクシーに二度乗っても手を繋がなかったのは、この瞬間のためである。

「ここ、大きな声で話すと迷惑になるから。」

そう言って、彼女とワントーン落とした声で会話を楽しむ。「え?何?聞こえない。」そう言いながら、彼女の顔が接近してくる可能性もある。

温もりのあるキャンドルの灯りに照らされた彼女の顔を見ながら、酒に酔いしれ、夜は更けていく。


24時少し前の天現寺交差点。次はどこへ向かう?


外に出ると、明治通りを走る車のヘッドライトに一瞬目がくらむ。




店内が暗かった分、外の明かりが眩しく感じる。しかしそれは、彼女も同じ気持ちである。

暗い場所から明るい場所へ行くと、人は気恥ずかしさを感じる。

「駅まで、送っていくよ。」

『ル・バー』から広尾駅までは、徒歩10分。タクシーだと約3分。今度はタクシーに乗らず、歩いてみる。

-もう一度タクシーに乗ったら、手を繋げたのに

彼女は、きっとそう思っている。だからこそ、敢えて歩く。ヒールを履いた彼女は、何も言わずともそっと寄り添ってくるだろう。

ごく自然に、さりげなく。

天現寺の歩道橋を越え、そのまま広尾駅側に歩くもよし。

あるいは、まだ続く長い夜を楽しむため、遅くまでやっているBARが多い恵比寿方面へ向かうのも、また一つのデートプランである。

【備考】

ちなみに、『ル・バー』は奥に渋谷川沿いに面したカーテンで仕切られた個室もあり、個室料がかかるが、カウンター席よりも踏み込んだ関係を築きたい際には有効な打ち手となるだろう。1,2回目の関係で使うには、少し気が早いかもしれないが。

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