養子縁組を望むアジア系イギリス人夫婦(画像は『Sandeepmander 2012年8月5日付Twitter』のスクリーンショット)

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7年に及ぶ辛い不妊治療を経たものの、子宝に恵まれなかったイギリスに暮らすアジア系イギリス人夫婦。彼らが最終的に決断したのは国内で養子を迎えることだった。ところがある養子縁組のエージェントに申請しようとしたところ、「ここには白人の子供しかいない。子供が欲しければインドへ行って養子縁組をしてくれ」と言われたという。「人種差別」と大きなショックを受けた夫婦が、現在このエージェントを訴えていることを英『BBC News』『Mirror』など複数メディアが伝えている。

バークシャー州ウィンザー・メイデンヘッド独立行政区に暮らすイギリス生まれのアジア系イギリス人夫婦、サンディープ・マンダーさん(35歳)とリーナさんは、7年間で16回もIVF(体外受精)治療を受けたが子供を授かることができなかった。

シク教を信仰する夫婦は6か月間考えた末、養子縁組をしたいと決心し、地元にあるエージェント「Adopt Berkshire」に問い合わせた。

エージェントスタッフは、養親の審査のためにマンダーさん夫妻の自宅を訪問した際「問題は見当たらない」と述べたにもかかわらず、「養子縁組をする子供たちは白人なので、白人のイギリス人もしくはヨーロッパ人の養親が優先される。このポリシーは法で認められている。子供を養子にしたければ、インドに行ったらどうか」と伝えたという。

マンダーさん夫妻はエージェントの言葉に大きなショックを受けた。アジアの血が流れているとはいえ夫妻が生まれ育ったのはイギリスで、インドとはなんの繋がりもない。皮膚の色と文化的背景を聞いただけで、養子縁組の申請を却下されたことに悲しみと怒りを覚えた夫妻は、このエージェントに対し訴訟を起こす決意をした。サンディープさんは今の心境をこのように語っている。

「私たちは英国内での養子縁組を望んでいました。しかしエージェントは養親として申し分ないとしておきながら、私たちがインド人やパキスタン人の祖先を持つからという理由で拒否したのです。私たちは結婚して10年目で、5つの寝室を持つ家に暮らしており生活も安定しています。子供に安全で温かい家庭を与える準備はできているのに、これでは話になりません。」

マンダーさん夫妻はこの件に関して法的措置を取るにあたり、地元のMP(国会議員)でもあるテリーザ・メイ首相と「Equality and Human Rights Commission(平等人権委員会、EHRC)」のサポートを得ているという。EHRCの理事長は「多くの子供がマンダーさん夫妻のような家族に受け入れられ、愛されることを待っています。文化的背景だけの違いで申請を却下するのは間違っています」と話す。夫妻はスロー郡の裁判所に申し立てを行っている最中だが海外からの養子縁組も視野に入れており、アメリカに申請をしたところ許可されたという。しかし海を越えた養子縁組の手続きには60,000ポンド(約870万円)という高額な費用がかかるのだ。

『BBC News』の取材に対し、エージェント「Adopt Berkshire」はノーコメントを貫いている。ただウィンザー・メイデンヘッド独立行政区が運営する公式ウェブサイト「Adopt Berkshire」には、「将来の養父母となる人物と、養子となる子供の人種や文化、宗教的背景をマッチさせるよう努力はしているが、全ての縁組が100%同じバックグラウンドになるわけではない」と記されている。

なお『Metro』によると、2016年の3月末の時点で英国内では70,440人の子供たちが施設に入居しており、養子縁組を待っている状態だそうだ。

このニュースを知った人々からは、「悲しすぎる。子供たちにはただ愛と思いやりが必要なだけで肌の色なんて関係ないのに」「孤児の白人が違った文化背景を持つ夫婦に育てられたとしても、一生孤児でいるよりずっと幸せだと思う」「外国で養子縁組するよりも、国内には施設にいる子供がいっぱいいるじゃない。他のエージェントを試してみてはどうなの?」「イギリスで生まれたのはわかるけど、でもやっぱり文化や宗教は子供には強いるべきではないし…自分たちに合った子供を養子にした方がいいんじゃないかな」という声があがっている。

画像は『Sandeepmander 2012年8月5日付Twitter』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)