禁煙は世界的な動きとして各国で厳しく対策が取られています。日本は先進国のなかでも喫煙者が多く、対策の遅れが指摘されています。東京オリンピックで多くの観光客を迎え入れることを考慮してもなんとかしなければならない問題です。特にタバコの煙は喫煙者が吸う主流煙よりも、まきちらされる副流煙の方に有害物質が多く含まれていることがわかっています。タバコは喫煙者のみならず、周囲の人々の健康までも同様に害してしまうことが一番の問題なのです。

有害物質を多く含む副流煙

百害あって一利なし、と分かっていても止められないのがタバコ。多くの有害物質が含まれ、次第に健康が犯されていくことは周知の事実です。吸っている本人の健康も心配ですが、最近特に問題となっているのは、受動喫煙による健康被害です。タバコの煙は喫煙者が吸う「主流煙」と、火がついている方から出てくる煙の「副流煙」があります。タバコの煙には70種類以上もの発がん性物質が含まれており、これらの有害物質は、フィルターを通って出てくる主流煙よりも、通らずに出る副流煙の方に多く含まれているんです。その量は数倍から数十倍ともいわれています。

受動喫煙による健康被害

タバコはがんや循環器疾患など、様々な病気を引き起こす原因となります。喫煙者でなくても受動喫煙により副流煙を多く吸い込むことで、これらの病気にかかるリスクが高くなります。データーによれば、夫がタバコを家の中で吸っていると、妻が肺がんにかかるリスクが、夫がタバコを吸わない妻に比べて30%高くなるそうです。恐ろしいことに受動喫煙は子供にまで及びます。

両親がタバコを吸う場合、子供の尿に含まれるニコチンの量が、両親が吸わない場合に比べて3倍にもなってしまうのです。子供の尿中ニコチン量が多いと、気管支炎や呼吸器の疾患、中耳炎や虫歯にもなりやすくなり、さらには知能の低下を招くとの報告もあります。親の傲慢さから、タバコが子供の一生を変えてしまうことにもなりかねないのです。

タバコの臭いを感じた時点で有害物質を吸い込んでいる?

先進国で禁煙対策が進められているなか、日本は依然として喫煙者が多く、対策が遅れています。公共の場では分煙されるようになりましたが、ガラス窓で仕切られていても、完全に煙を断ち切ることは難しいのです。人の出入りとともに煙が漏れて、また髪や衣服に付着した有害物質がそのまま拡散されてしまいます。日本医師会によれば、非喫煙者がタバコの臭いを感じた時にはすでに有害物質を吸い込み、被害を受けてしまっているとのこと。

喫煙者が吸うことをやめない限り、受動喫煙による被害はなくならず、今後政府が本腰を入れて禁煙に取り組む必要があるでしょう。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて禁煙対策を進める動きもあります。これをきっかけに国民のタバコに関する意識が変わり、受動喫煙のない社会が実現することを期待しましょう。喫煙や受動喫煙の問題については「卒煙教室」の講師を務める医師の村松弘康先生のインタビューもご覧下さい。


writer:Akina