お金に苦労せず、幸せに生きていくことを目指す【脱貧困診断】。今回の相談は、井川佳代子さん(仮名・フリーランス・31歳)からの質問です。

「30歳を機に制作会社を退職、フリーランスになりました。でも、あまり仕事がなく、再就職したいと思っています。今、面接が進んでいる会社は、年棒制で受け取り方は自分で決められます。ボーナス月をつくる場合と、毎月同額をもらうのとでは、どちらがお得というのはありますか?」

額面年収が同じなら、どう受け取っても同じなような気がしますが「手取り」は変わってくるのでしょうか? 森井じゅんさんに教えてもらいましょう。

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 給与の受け取り方で保険料や税金が変わる

職場によっては、年俸制で給与総額はきまっているものの、給与のもらい方を自分で選択するケースがあります。

たとえば、1年間の年俸として400万円で受け取り方は3通りから選べます、といったケースです。毎月、通勤手当が1万5000円支給されるとして試算してみましょう。

1. 毎月、均等額を受け取る場合

400万円 ÷ 12か月 =  33万3333円と通勤手当を毎月受け取る

2.賞与を年2回、それぞれ1か月分を受け取る場合

400万円 ÷ 14か月 =  28万5714円と通勤手当を毎月受け取る+ボーナス月に28万5714円/年2回

3.賞与を年2回、それぞれ2か月分を受け取る場合

400万円 ÷ 16か月 =  25万円と通勤手当を毎月受け取る+ボーナス月に50万円/年2回

税引き前は400万円/年となりますが、保険料率の違いやそれによる税額の違いで、どれくらい毎月の手取りに差がでるのでしょうか?

 前提として、

☆社会保険 厚生年金加入 協会健保加入 雇用保険加入
☆住民税は前年も400万円程度の年収であった場合を仮定。
☆保険料率含め、全て平成29年5月時点、東京のもの
☆生命保険料等の所得控除なし
で試算してみましょう。

手取りベースで総額に1万円以上の差が出る場合も

 試算1のケースの場合の手取り総額は、333万3288円になります。

1月から11月は、毎月33万3333円の総支給額と1万5000円の通勤手当があります。そこから、社会保険総額4万8801円、所得税住民税2万2520円が差し引かれ、27万7012円の手取りになります。

そして、12月は年末調整などの影響により、28万6156円の手取り。

総合すると、 1年を通じての社会保険料は58万5612円、税額26万1100円。よって、手取り総額は333万3288円です。

次に、試算2のケースの場合を見てみましょう。手取り総額は、332万1292円になります。

各月28万5714円の総支給額と1万5000円の通勤手当から、社会保険総額の4万3040円、そして所得税住民税2万1020円が差し引かれ、23万6654円の手取り。

6月と12月は28万5714円のボーナスが支給されますので、それに対する社会保険料・税金が差し引かれます。

さらに12月の年末調整を加味すると、6月と12月の手取りはそれぞれ、47万1481円、48万3271円となります。

 1年を通じての社会保険料は59万8258円、税額26万450円。よって、手取り総額は332万1292円です。

そして、試算3のケース。手取り総額は、332万7960円です。

25万円の総支給額と1万5000円の通勤手当から社会保険総額3万7315円、所得税住民税1万9900円が差し引かれ、手取りは20万7785円。

6月と12月は、ボーナス50万円に対する社会保険料・税金が差し引かれます。
6月と、年末調整の影響がある12月の手取りはそれぞれ、56万6093円、68万4017円となります。

 1年を通じての社会保険料は59万1240円、税額26万800円。手取り総額は332万7960円です。

森井さんがつくってくれた試算表

いかがでしょうか。総支給額400万円、通勤手当は年間18万円と同じですが、受け取り方によって社会保険料が変わり、それにより税額も変わってきます。

 総額の手取りで言えば、このケースでは試算1が一番高く、一番安い試算2と比較すると、1万円以上の違いがあります。

 また、各月の手取りはずいぶん変わってきますね。

試算1と試算3では毎月手取りが7万円程度違います。でも、一般的なボーナス時期に手取りが増えるのも嬉しいですよね。試算3のように、賞与年2回、それぞれ2か月分を受け取る方法を選択した場合、12月には70万円弱の手取りになります。

この3つの試算の中で、どれが一番お得か、というと、人それぞれ、考え方によってになると思います。

手取り額は試算1が高くなりますが、社会保険料のうち、厚生年金は、多く払う事で将来に受け取れる額も増えるもの。手取りが多い方が得、というわけでもないのです。

また、もらい方は、毎月のお金のプランに影響します。まとまってお金をもらえた方が、嬉しかったりもしますよね。それに、お金が入るとあるだけ使ってしまう、ついムダ遣いしてしまう、という人の場合、せっかく手取り額が一番高い試算1を選んだのに、貯金ができない……ということも考えられます。

年俸制でお給料の総額が決まっていて、お金の受け取り方選択肢がある場合には、自分のお金の使い方やプランを考えて決めてみてください。

人は「持っているお金の中で暮らす」クセがつくと、意外とやっていけるもの。毎月の受取額が一番低い試算3で暮らせれば、ボーナスを全額貯金できるかも。これがいちばん賢いのでは⁉



■賢人のまとめ
手取り額が一番高くなるのは、毎月均等にもらう方法。でも、社会保険料のうち、厚生保険料は、支払額によって受け取れる額が変わります。後に戻ってくるお金、と考えると、ボーナスをもらう受け取り方は絶対的に損、ともいえません。また、ボーナスがあるほうが、毎月のお金のプランを組みやすい場合も。自分のお金の使い方やプランを考えて選んでみてください。

■プロフィール

女子マネーの達人 森井じゅん

1980年生まれ。高校を中退後、大検を取得。レイクランド大学ジャパンキャンパスを経てネバダ州立リノ大学に留学。留学中はカジノの経理部で日常経理を担当。

一女を出産し帰国後、シングルマザーとして子育てをしながら公認会計士資格を取得。平成26年に森井会計事務所を開設し、税務申告業務及びコンサル業務を行なっている。