今、「女装をしてみたい」アラサー男性が増えている【カリスマ男の娘・大島薫】

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 見た目は美女でも心は男――。「カリスマ男の娘」として人気を博し、過去には男性なのに女優としてAVデビューを果たした大島薫。女性の格好をしたまま暮らす“彼”だからこそ覗ける、世の中のヘンテコな部分とは?

 女装をしてみたい男性は意外に多いらしい。

 先日、タマトイズさんと「男の娘用衣装」のプロデュースをすることになったと発表した。

 タマトイズは衣類部門で唯一「男の娘」を商標登録している企業で、これまで男の娘の名前を冠した商品をいくつも発売している。そんなタマトイズさんが、心機一転、新たなレーベルとしてボクを起用したのが、この「Kaoru’s Closet」だ。

 女装に興味のある男性が着たいけれども、着ることができないと思っている服を男性の体型に合わせて、違和感なく着られることを目指してプロデュースをした。くびれのない男性の身体にくびれがあるように見せるよう、基本的に上部分は裾広がりのフレア状にし、肩幅が目立たず肌に視線が分散するオフショルダーも多く取り入れた。

 あくまで衣装で、普段使いのできるものではないが、買ってくれた人が着たときに「俺には女装は似合わないな……」と思わせたくはない。そこで、ボクが12年以上にも及ぶ女装歴から来る経験を駆使して、できる限り男性でもかわいく着れるものを目指したつもりだ。

 そういえば、タマトイズさんとの企画会議で、普段の男の娘の衣装について参考程度に話を聞いたのだが、どうやら女装をしたいという男性は30歳前後に多いらしい。

◆女装に対して男性の抵抗心が薄れている?

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 これは意外だった。

 ボクが女装を始めた12年前、まだ「男の娘」という言葉もなかった時代。女装をする多くの男性は40〜50代くらいの、時間にもお金にも余裕のある男性たちだったからだ。

 これはある種、遊びの女装という行為に対して、男性たちの抵抗が薄れているともとれる。「自分は男なのに女の格好がしたいなんて、頭がおかしいんじゃないか?」などということに悩む男性が、少なくなってきていると思うのだ。

 いまでこそ、インターネットの発達によって、自分の思ったこと、やりたいことを気兼ねなく発信できる場が生まれたが、まだそういったものがなかったころ、ちょっと変わった性癖や、他人と違う趣味を告白するのは、今とは比べものにならないくらい大変なことだった。

 どこかで同じ趣向の人間がいたと知っていれば「自分だけではないんだ」と思えるだろうが、みんなそれを堂々と告白することは、現実の知り合いに相談をするしかなくなってしまう。受け入れられなかったらどうしようという思いから、それをひた隠しにした若者時代を過ごす。

 お金などの余裕を抜きにしても、そういった自意識が薄れ、自身の気持ちと折り合いがつくのが、それくらいの年齢ということもあるのではないだろうか。当時から20代や30代に女装をしたいと思っている人がいなかったとは思えない。

 そういう意味では、自分の願望を実現する一つの壁である「こんな趣味誰にも理解されないんじゃないだろうか」という悩みは、現代においてはあまり大きな壁ではなくなったともいえる。

◆「女性になりたい男性」は、実はかなりいる

 2014年に22〜39歳の社会人男性を対象に行なったアンケート結果に興味深いものがある。「女性になりたいと思ったことがあるか?」という問いに対して「女性になりたいと思ったことがある」と答えた男性の割合は、約半数近くに上ったらしい。

 例えばこれが「女装願望」という話しならどうだろうか? 2015年に20〜30代の男性会社員200人に、「女装をしてみたいと思ったことがあるか?」についてアンケート調査を行ったデータもある。この場合「してみたいと思ったことがある」と答えた男性は24.5%と、先ほど挙げた「女性になりたい男性」の半分という結果になった。

 思うに、ボクはこれが「自分が綺麗になれるわけがない」という思いから来る違いなのではないか。たしかに男性はイヤというほど男性の顔立ち、身体を見てきたわけだが、そんな自分はどうあがいても男でしかないと思っている。女性に憧れがある男性ならなおさらだろう。

 本来であれば女性に生まれたからといって、メイクやファッションなどいろいろなことを覚えなければ初めから綺麗にはなれないはずなのだが、男性の身体である自分を嫌う人には、もうそれが絶対的なものにみえて仕方ない気持ちも十分わかる。

 しかし、男性より肩幅の広い女性を見ても、「男かな?」と思うことは少ないし、ショートカットの女性を見ても、やはり大体の場合は女性に見える。女性性の記号は一つではなく、総合的なものといえる。だから、身長が高いだとか、体格がいいといった理由で、女装をしても綺麗にはなれないとは限らない。

 女性のように愛らしく振る舞い、かわいいという言葉で表現されてみたいと願うのは、意外と普通のことなのかもしれない。だって、ボクら男性はあまりそういった経験がないのだから、憧れるのは仕方ない。やってみて似合わなければやめればいい。そんな軽い気持ちで始めてみるのもいいのではないだろうか。そのほうが、自分の願望を押し殺すよりよっぽど建設的だ。

【大島薫】
作家。文筆家。ゲイビデオモデルを経て、一般アダルトビデオ作品にも出演。2016年に引退した後には執筆活動のほか、映画、テレビ、ネットメディアに多数出演する。著書に『大島薫先生が教えるセックスよりも気持ちイイこと』(マイウェイ出版)。大島薫オフィシャルブログ(http://www.diamondblog.jp/official/kaoru_oshima/)。ツイッターアカウントは@Oshima_Kaoru