FW浅野拓磨

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 代名詞の“ジャガーポーズ”が海を渡った。初の海外挑戦となったドイツで1年目のシーズンを戦い終えたFW浅野拓磨。リーグ戦26試合に出場し、シュツットガルトの2部優勝と1部昇格に貢献した。また、海外組の一員としてハリルジャパンに定着し、持ち味を発揮しながら熾烈な定位置争いに挑む。ドイツで迎える2年目のシーズン、そして1年後のロシアW杯へ、決意新たに次の扉を開く。

欲を言えば一番前の

ポジションで試合に出たい

――シュツットガルトで16-17シーズンを戦い終えて、4ゴール4アシストという結果をどのように受け止めていますか?

「出場機会は得られましたが、納得できる試合は少ないですし、満足のいくシーズンではなかったです。この数字には全然納得していません。フィニッシュの精度という部分は、自分が日本でプレーしていた頃からずっと抱えてきた課題です」

――毎試合のようにチームメイトからいい形でボールを受けるシーンがありました。

「前線の(シモン・)テロッデや(カルロス・)マネといい連携が築けました。だからこそもっと結果を出さなきゃいけなかった。監督がよく『浅野の走りを見ろ』とチームメイトに言ってくれるので、みんなが僕の動きを意識してくれている。チームとして、僕の動き出しをひとつのオプションにしてくれています」

――シュツットガルトでは左右ウイングやシャドーの位置でプレーする機会が多かったですが、ポジションにこだわりはありますか?

「欲を言えば一番前のポジションで試合に出たいという気持ちはあります。移籍直後にツートップの一角で出ましたが、慣れていなかった頃でなかなかフィットしなかった。(出場)3試合目からはずっとサイドでした。サイドでいうなら右よりも左のほうがいいイメージはある。でも、言うほど変わらないですね。どの位置でも試合に出られる選手でありたいのでいい経験になりました。ただ、シーズンを通していろんなポジションをやったことで、一番やりたいのはトップだと改めて感じました」

――第28節のカールスーエ戦では初のドッペルパック(1試合2得点)を達成しました。

「カールスーエ戦は2試合とも点を決めましたが、どちらも個人的にその試合までの流れは悪かったんです。調子がよくなかったり、試合に出られなかったりして。それでも、前半戦(第11節)は試合前に監督とふたりで話をして、『やってくれ』と言われた直後に移籍後初ゴールを決めることができた。後半戦(第28節)でも、試合前にテロッデが『またお前の時代がくる』と勇気づけてくれた。点を決めたいと強く思った大事な試合で決めることができて、チームメイトのみんなも一緒になって喜んでくれました」

――ダービー(カールスーエ戦)での活躍ぶりを受けて、現地の反応は?

「最初、ジャガーポーズは『ライオン』とか言われてましたけど、徐々に浸透してきたんじゃないかなと思います。チーム内には広まっていますし、ファンやサポーターも知ってくれていますね。僕自身もその2試合はいい記憶として残っていますが、それ以外の試合は全然よくなかったので…。毎試合、あれくらいの意気込みでプレーして、しっかりと結果を残していきたいです」

――球際の勝負やドリブル突破など、1対1の局面は戦えましたか?

「自信を持てるほどではないですが、当たりが強い海外の選手と戦っていても、弱点だとは感じなかったかな。自分のスピードを活かしていけば十分通用するはずだし、自信を持ってやるだけだと思っています」

――海外の選手と戦うためにトレーニングや食事で変えた部分はありますか?

「海外では1対1の質が高いので必要だろうなと思って、日本にいた頃から当たり負けしない身体づくりの準備をしていました。個人的に筋肉トレーニングを強化して、ドイツに行ってから1kgくらいは増えましたね。体重を増やすというよりは体の質を変えていきたいと思っています。食事は基本的にクラブハウスのご飯と外食で、自炊はたまにします。一回、食あたりになりましたけど(笑)」

ロシアW杯にはもっと

リオ五輪世代の選手が入るべき

――シーズン後はすぐに日本代表の海外組合宿に参加。2部練は厳しそうに見えました。

「休みなくトレーニングで追い込みました。合宿はきつかったですね(笑)。去年のこの時期も、僕は広島に所属していたんですが、なぜか海外組の合宿にひとりだけ呼んでいただいた。去年も追い込んだ経験があったので、今年も心の準備はできていましたし、試合のときはいい状態に持っていくことができました」

――日本代表の6月シリーズは親善試合のシリア戦、W杯アジア最終予選のイラク戦と2試合ともドローに終わりました。

「個人的にはもっと試合に出られるように頑張らないといけない。今は代表に選ばれるだけでも精一杯です。チームとしては納得できない結果でした。2試合とも勝たないといけなかった。W杯アジア最終予選は残り2試合。1試合勝てばW杯本大会出場が決定する状況ですが、勝ち点を計算して戦うんじゃなく、目の前の試合に向けてしっかり準備するだけかなと思います」

――ドイツで迎える2シーズン目の目標を教えてください。

「『浅野がゴールを決めた』というニュースを日本の皆さんに届けたいです。数字としてシーズンの目標を立てるタイプではなくて、ゴールは取れるだけ取るっていうのが僕の考え方。ただ、昨シーズンよりは絶対に結果を残さないといけないし、ゴールもアシストも数字を伸ばしたい。そのためにはコンスタントに試合に出場し続けることが大事になってくる。もっともっとチームに認めてもらえるようなプレーを続けていきたいです」

――来シーズンを戦い終えると、ロシアW杯が待っています。

「日本代表に選ばれることに対して、当落線上にいる意識はあるけど、選ばれたら選ばれたで試合に出なければ意味がないという気持ちを持っています。久保(裕也)くんと話したこともありますが、ロシアW杯には僕たちリオ五輪世代の選手がもっと入っているべきだと思う。そして、僕自身は日本代表に必要とされるような選手にならないといけない。それは夢じゃなく、ひとつの目標として、絶対に達成しなければならないことです」

(取材・文 佐藤亜希子)