数々の映画や文学に影響を与え、これまでにもたびたび舞台化や映像化されてきた英国人作家、ジョージ・オーウェルによる1949年発表の小説『1984年』。ドナルド・トランプが大統領に就任した直後にもアメリカでベストセラーになった、いわくつきの物語がつい最近、ブロードウェイで上演スタートした。オリヴィア・ワイルドとトム・スターリッジの共演も話題だが、どうやら一般的な舞台に慣れている人には、やや内容が強烈すぎるようだ。

 

本作の舞台は1950年代に起こった核戦争後、「ビッグ・ブラザー」というリーダーに思想や言語が抑圧・監視されている1984年の世界。強いストロボの光や突然の暗転、爆音などの特殊効果に加え、残酷な拷問シーンなどが用意されている。そのため、プレビューの途中で一部の観客が倒れたり、気分が悪くなったり、観客がキャストや他の観客に向かって叫んで連れ出されたりしたと、「ハリウッド・リポーター」は報じている。

 

ニューヨーク・タイムズ」の批評家によれば、強烈な尋問のシーンは「拷問ポルノぎりぎりの生々しさ」とのこと。観劇するのに年齢制限がおかれたのもどうやら当然なよう。オリヴィアは演技中に尾てい骨を骨折し、肋骨を脱臼し、唇を切っており、共演のトムは鼻を骨折していることをツイッターで明かしている。

「(観客の反応には)驚いていないわ。この舞台を通して得る経験は実にユニークだし、果敢だし、没頭してしまうの。理屈抜きで感情移入しちゃうし、それってつまり、観客を物理的にも感情的にも不快にさせてしまうということよ」とオリヴィア。

監督のひとり、ダンカン・マクミランはこう続ける。「僕たちはわざと攻撃的になろうとしたり、搾取的にみんなにショックを与えようとしているわけじゃない。この舞台上でも小説の中でも、何も起こっていないが、世界のどこかでは今も、人々は裁判なしで拘束され、拷問され処刑されている。僕たちはその過激な部分を削除して人々を安心させることもできるし、解説なしで語らせることもできる」

また、もうひとりの監督ロバート・アイクは「残って観劇を続けることも、劇場を去ることもできる――誰かが拷問されるシーンを見るのに、まったくもって当然の反応だよ。でも、もしこの舞台が観客にとってその日いちばんショッキングなものになるのだとしたら、その人はちゃんとニュースを読んでいないことになるね。不快な印象を与えるフィクションなんかよりも、実際に起きている事件のほうがもっとひどいよ」とつけ加える。

NYのハドソン・シアターで10月8日まで上演中の本作は、評判も上々。公演中は、場内に警備員が配置されているのだそう。NY旅行を予定しているなら、思い切って観に行ってみてはいかが?

Photos: Getty Image Text: Naomi Gordon From: Esquire UK