中国共産党の専制支配を批判するなどして有罪判決を受け、投獄中にノーベル平和賞を受賞した反体制作家の劉暁波氏に国際的な関心が集まっている。末期の肝臓がんと診断された劉氏には米国や台湾が治療を申し出ている。写真は劉暁波氏の関連書籍。

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2017年6月30日、中国で共産党の一党支配を批判するなどして有罪判決を受け、投獄中にノーベル平和賞を受賞した反体制作家の劉暁波氏に国際的な関心が集まっている。劉氏は末期の肝臓がんと診断され、5月末に刑務所外の病院に移送された。米国大使は治療のため受け入れる用意があると言明。台湾も治療を申し出た。

劉氏は1989年に滞在していた米国から帰国して民主化運動に参加。同年6月の天安門事件で「反乱の扇動者」と見なされ投獄された。多くの活動家が国外に亡命する中、釈放後も国内にとどまって活動を継続。2008年に共産党一党独裁の見直しや三権分立を求めた「08憲章」の主な起草者となり、09年12月に国家政権転覆扇動罪で懲役11年の判決を言い渡された。

民主化と基本的人権の確立を目指す劉氏の非暴力闘争は国外で高く評価され、服役中の10年10月、中国人として初めてノーベル平和賞の受賞が決定。国際社会は劉氏の早期釈放を要求したが、中国政府は「内政干渉」と反発し、劉氏の授賞式出席を認めなかった。

日本メディアなどによると、収監されていた劉氏は5月23日に末期の肝臓がんと診断を受けた後、仮釈放となり、遼寧省瀋陽の病院に入院した。遼寧省監獄管理局は「8人の有名な専門家が医療方針を定め、治療に当たっている」と説明しているが、病状はかなり進んでいるとみられる。

ノルウェーのノーベル委員会は26日、「中国政府の釈放理由が深刻な病だったことを非常に遺憾に思う」との声明を発表。国際人権NGOのアムネスティ・インターナショナルは「今すぐ劉さんが適切な医療を受け、家族と面会できるように措置を講じるべきである。また、劉さんをはじめとする、自らの人権を行使しただけで投獄されている人びとを全員、即時無条件で釈放すべきである」と中国政府を非難した。

AFPによると、米国のブランスタッド駐中国大使は28日、北京での着任の記者会見で劉氏について「助けになるならば、米国はどこか別の場所で治療を受ける機会を得られるよう望んでいる」と述べ、劉氏の海外での治療に前向きな姿勢を示した。台湾で対中政策を管轄する行政院大陸委員会の邱垂正副主任委員も「中国政府に対し、直ちに劉氏を解放し、本人が治療を受けたいと希望する場所を選ばせるよう求める。台湾を選んだ場合は歓迎し、できる限り最善の治療を提供する」と語った。

これに対し、中国外交部の陸慷報道局長は劉氏に関して「いかなる国も中国の内政に指図する権利はない」と不快感を表明。劉氏が海外で治療を受けることを認めるかどうかについては「中国政府は中国公民の出入国を法に基づいて管理している」として、国内での治療を継続する立場を強調した。(編集/日向)