近大発なまず蒲焼。(写真:日本生活協同組合連合会発表資料より)

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 日本生活協同組合連合会(生協)は、一部地域の生協店舗において、日本なまず生産社が養殖する「近大発ナマズ」の取り扱いを開始すると発表した。近代発ナマズは、絶滅の危機に晒されているウナギの代替魚として、近畿大学が研究開発したもの。

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 ニホンウナギは、2014年に国際自然保護連合(IUCN)によって絶滅危惧種に指定された。だが、現状では、ウナギの漁獲を制限する国際条約などは存在せず、実質的に、野放しの状態となっている。

 漁獲高の減少に対抗するために稚魚を乱獲して市場に流通させるなど、事態は深刻の一途を極めている。

 この状況に対し、警鐘を鳴らす識者もいる。例えば、ウナギの生態研究の専門家である日本大学生物資源科学部の塚本勝巳教授は、「拝金主義によるウナギの乱獲は控えなければならない」と主張する。

 このような状況を受け、消費者の意識にも多少の変化が表れているのは確かだ。最近の話だが、東京都八王子市の鰻店「うなぎ高瀬」は、「今年以降、土用の丑の日は休業とする」旨の告知を行い、ネット上などで話題となった。

 さて。ただ食べるな食べるなとばかり言うのも詮のない話である。天然ウナギは絶滅に瀕していて、ウナギの完全養殖の実用化はいまだ光明すら見えない状況にあるが、似たような食べ物なら他にある。それが「ウナギ味のナマズ」である。

 近畿大学の研究チームが6年を費やして開発した、ウナギに似た味のするナマズは、現在、かねてから近畿大学とともに研究にあたってきた牧原養鰻が設立した日本なまず生産社のもとで産業的な安定生産が進められている。

 有名なスーパーマーケットチェーンで既に店頭にのぼっているほか、外食チェーンでもメニューへの採用を検討するところが現れるなど、徐々にではあるが普及の途上にある。

 そこに付け加えて、今回、生協がこれに参加したというわけである。

 いつか遠くない未来、土用の丑の日は、「かつてはウナギを食べる日であったが、現在はナマズを食べる日として知られている」と言われるようになるかもしれない。それは一面において寂しいことであるかもしれないが、また必要なことでもあるのではなかろうか。