高速ロードコースで行なわれるインディカー・シリーズ第10戦、ロード・アメリカで勝ったのは、ホンダエンジンのスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング・チームズ)だった。

 今シーズン初勝利だが、これで7回目のトップ5フィニッシュ。さすがの安定感でポイントランキングの首位を走っている。だが、残り7レースでポイントリードは34点。ウィナーの基本得点は50点だから、まだまだタイトルの行方はわからない。ましてや最終戦はダブルポイントだ。


ロード・アメリカでは19位に終わり、ランキングで3位から4位に後退した佐藤琢磨 ランキング2位はシボレー勢のシモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)。昨年のチャンピオンも今年はまだ1マイル・オーバルのフェニックスで1勝を挙げただけだが、トップ5フィニッシュは10戦で最多の8回もある。長丁場のチャンピオンシップでは安定感が重要だ。ディクソンとパジェノーにはそれがある。

 ポイント3位はエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)。42歳のベテランはロード・アメリカで今季3回目のポールポジション(通算50回目!)を手にしたが、勝利は2014年以来飾ることができていない。今年で20シーズン目となるカストロネベスだが、タイトル獲得は経験なし。今年も王座につく目は薄いように映る。

 ランキング4位につけているのは佐藤琢磨(アンドレッティ・オートスポート)だ。8シーズン目にして掴んだタイトル獲得のチャンスだが、インディ500優勝に続く目標を達成するには、最低あと1回は勝利が必要。さらに、パジェノーのように、コンスタントに上位フィニッシュを重ねていくことも求められる。
 
 5番手、6番手にはジョセフ・ニューガーデンとウィル・パワー(ともにチーム・ペンスキー)がつけている。ニューガーデンはアラバマのロードコースで、パワーはインディアナポリスのロードコースとテキサスの1.5マイル・オーバルで勝っている。

 そして、タイトル争いに加わると予想される最後のメンバーが、ランク7位につけているグレアム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)だ。デトロイトのダブルヘッダーを完全制覇。今季2勝を挙げている。

 今シーズンの残り7戦の内訳は、常設ロードコース3戦、ショートオーバル2戦、ストリート1戦、スーパースピードウェイ1戦だ。この中で1戦だけ、今年からの新しいレースがある。セントルイス郊外のゲイトウェイ・モーターポーツ・パーク(8月26日、1.25マイル・オーバル)だ。

 それ以外の6戦における昨シーズンの成績を見てみよう。

*アイオワ(7月9日)=優勝:ニューガーデン(ただしチームはエド・カーペンター・レーシング)、2位:パワー、3位:ディクソン

*トロント・ウィナー(7月16日)=優勝:パワー、2位:カストロネベス、3位:ジェームズ・ヒンチクリフ(シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)

*ミッド・オハイオ(7月30日)=優勝:パジェノー、2位:パワー、3位:カルロス・ムニョス(チームはアンドレッティ・オートスポート)

*ポコノ(8月20日)=優勝:パワー、2位:ミカイル・アレシン(シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)、3位:ライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)

*ワトキンス・グレン(9月3日)=優勝:ディクソン(ただしシボレーのエンジン&エアロ使用)、2位:ニューガーデン、3位:カストロネベス

*ソノマ(9月17日)=優勝:パジェノー、2位:レイホール、3位:ファン・パブロ・モントーヤ(チーム・ペンスキー)

 これを見ると、残りレースで強いのはパワーとパジェノーと言えそうだ。ただ、パワーは現時点でトップのディクソンと63点差。残りレースでは、たとえ勝てない場合でも上位でフィニッシュする粘り強さが必要になる。

 ニューガーデンとカストロネベスは、これら3人に続くセカンドグループ。ホンダ勢がショートオーバルを不得意としている点を考えると、ディクソンのアドバンテージは大きいとは言えず、ペンスキー勢、特にパジェノーの存在感が大きくなってくる。

 そして琢磨とレイホールは第3のグループ。彼らはまず、残るレースで1勝を挙げることが大きな目標になる。それが早いタイミングで達成されれば(例えばトロントにはチャンスあり)、一気に波に乗ってタイトル・コンテンダーとなり、最終戦に大逆転のチャンスを残すことができるかもしれない。

 残るレースでホンダ勢が強いのはポコノだ。昨年はパワーが勝ったが、超高速のオーバルでは、インディ500と同様にホンダ勢の方が速いはず。アンドレッティ・オートスポートも琢磨もポコノは得意としているので、好パフォーマンスに期待したい。レイホールも同様だ。

 ディクソンは今回のロード・アメリカで、ロードコースでも競争力があることを証明した。そしてミッド・オハイオ、ワトキンス・グレン、ソノマの3コースすべてで、実績を残している。ディクソンにとって重要になるのは、アイオワとゲートウェイでどれだけポイントのダメージを小さくできるか。フェニックスでのようにトップ5入りを果たせれば、5回目のチャンピオンシップ獲得の可能性は十分にある。残念ながら、ディクソン以外のホンダ勢はロード・アメリカでスピードが足りていなかった。

 最終戦のソノマは、レイホールも速いし、琢磨もここ2年ほどはスピードを見せている。しかし、やはり強いのはパジェノー、パワー、ディクソンの3人だろう。パジェノーは昨年。ここで優勝してタイトル獲得を決めたし、パワーは過去3勝、ディクソンも過去2勝。

 タイトル争いはこの3人が中心となり、最終戦ソノマで決着、となる公算が大きい。そこに琢磨が割って入ることができるか。最後までエキサイティングなバトルを堪能することができそうだ。

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