犬だってインフルエンザになるんです(写真はイメージ)

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米国で犬インフルエンザが流行しており、イリノイ州やオレゴン州、フロリダ州など少なくとも9州で感染した犬が確認されていると、複数の米メディアが大きく報じている。

米獣医医療協会(AVMA)なども2017年6月に入って、ウェブサイト上や広報担当による公式声明で繰り返し注意を呼びかけており、犬の飼い主の間では不安が広がっているようだ。

感染は広がっているが総感染数は不明

米疾病予防センター(CDC)によると犬インフルエンザは2004〜2005年ごろにアジアで確認された感染症で、人やブタが感染するA型インフルエンザから派生したウイルスがさらに変異したインフルエンザウイルスが原因となる。感染すると人と同じように咳や鼻水、発熱、食欲低下などの症状が2週間ほど続く。

今回、感染拡大が最初に確認されたのはフロリダ州。同州の保健当局が5月31日にウェブサイト上で「ドッグショーに参加した犬12匹が犬インフルエンザに感染していることを確認した」と発表、「フロリダ州内の犬は差し迫った脅威に直面している」と強い危機感を表した。地元テレビ局「WFTV」の6月23日付の報道では、さらに29匹の感染が疑われているという。

フロリダ州での発表を皮切りに全米各地で次々と感染確認の報告が相次いでいるものの、6月1日付の米誌「タイム」電子版の記事の中でシカゴ獣医師会の担当者は、

「犬インフルエンザの全国的な調査は行われておらず、把握できていない感染犬がどの地域にどれほど存在するかははっきりしていない」

とコメント。「このウイルスが人に感染した例はなく、感染の可能性もないと考えられる」とする一方、ドッグショーなど不特定多数の犬と接触する可能性がある場所に行くことを控えるよう指摘している。感染が確認されている州のひとつであるニューヨーク州在住の日本人女性はJ-CASTヘルスケアの取材に対し、

「ドッグパークやペットサロンで犬インフルエンザへの注意が貼りだされていたり、犬用マスクなんて商品も販売されていたりと、かなり関心が高いようです」

と話す。

犬インフルエンザ自体は米国では2015年ごろから感染が確認されていたが、現在流行しているウイルスは感染力が高く、AVMAは感染した犬と接触した犬の80%が発症するとして、ワクチン接種を強く推奨している。

ワクチンは最低でも2回、2〜3週間の間を空けて接種する必要があり、効果を発揮するまでは1か月以上かかるが、感染リスクを大幅に抑えることが可能だ。仮に感染しても適切な治療を受ければ2〜3週間で回復するが、一部の犬は肺炎を併発して死亡する可能性があり、稀ではあるが猫への感染も確認されているという。

無責任な保護、譲渡が「感染源」の指摘

なぜアジアで確認されていたインフルエンザウイルスが米国で流行しているのだろうか。タイム誌の取材の中で、コーネル大学獣医学部のエドワード・ドゥブビ教授は「無秩序な犬の保護と譲渡が原因ではないか」と指摘している。

ドゥブビ教授によると、米国内で初めて感染が確認されたのは、アジアで食用として飼育されていたところを、動物保護団体が「保護」し米国内に持ち帰った犬だったことがわかっており、

「動物保護団体がワクチン接種などを行うことなく無責任にアジアから米国に犬を連れ帰り、そのまま誰かに譲渡するような行為を続ける限り、犬インフルエンザは何度でも『再輸入』されるだろう」

と強い危機感を示している。