ニトリ渋谷公園通り店

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 原宿から渋谷まで山手線に乗っていると、西側に巨大な「ニトリ」の看板が付いたビルを目にして驚いた人もいるであろう。

 この店舗は「ニトリ渋谷公園通り店」。都心への出店を続けるニトリ(札幌市)が満を持して出店するニトリ初の「東京都心旗艦店」だ。

◆ニトリの都心旗艦店、かつてのシダックス旗艦店跡に

 ニトリが出店するのは、渋谷区神南のファイヤー通り沿いにあるカラオケ店「シダックスビレッジクラブ」の跡。もともとこのビルは1991年3月にファッションビル・百貨店を運営する丸井(中野区)が同社の家具・インテリア館「マルイ・イン・ザ・ルーム渋谷」として建設したものであった。

 その後、インザルームは「マルイワン渋谷」に業態転換したのち2004年1月に閉店。同年にシダックスが建物を購入、カラオケ店とシダックス本社、イベントホールなどが入居する建物「シダックスビレッジクラブ」となり、シダックス旗艦店の1つとして親しまれてきた。

 シダックスは2013年4月に隣接する東京電力の企業資料館「渋谷電力館」を「シダックスカルチャービレッジ」としてオープンさせたが(建物内に変電所があるため建物は東電が継続して所有)、一方のシダックスビレッジクラブはシダックスの店舗網縮小にともない2016年8月に閉店。今回のニトリ出店で、ビルは久々にインテリア店として「先祖返り」を果たすことになった。

◆「人口の都心回帰」で都心攻勢かけるニトリ

 数年前まで東京都内ではあまり見かけなかったニトリであるが、近年は都心への出店攻勢をかけている。渋谷区では2016年3月に笹塚駅前、9月に東急百貨店東横店に小型店「ニトリデコホーム」を、そして12月にはタカシマヤタイムズスクエア南館に大型店を相次ぎ出店。この他にも都心ではここ2年ほどの間に東武百貨店池袋本店、上野マルイ、池袋サンシャインシティ、アトレ目黒などへと出店しているが、多くは商業ビルへのテナント出店であり、山手線沿線での単独店舗は2016年9月に開店した中目黒店(売場面積約2,000屐砲紡海い2店舗目となる。

 そのなかでも、今回開業する渋谷公園通り店は売場面積約5,000屐売場は1階から9階と、これまでの都心店舗よりもはるかに大きな規模だ。館内は、1階から5階まではクッション、ホームウェア、雑貨などのホームファニシング、6階から9階までは大型家具の売場になる。

 ニトリであれば都心の大手百貨店のように身構えて買い物をする必要もなく、また、家具の配送料も500〜1500円(18,426円(税別)以上購入なら無料)と格安であるため、仕事帰りに1人でふらっと来店して自分好みのインテリアを買い揃えていく、ということも楽しめる。

 こうしたニトリの都心出店攻勢の背景にあるのは、前回の記事「渋谷の真ん中に総合スーパー誕生! 仕掛け人は『ドン・キホーテ』」でも触れた「人口の都心回帰」であろう。

 例えば、ニトリ渋谷公園通り店が出店する渋谷区では都心の地価高騰などにより1990年代後半までは人口が減少傾向にあった。しかし、都心回帰が進む近年、人口は増加傾向に転じており、2000年10月の国勢調査時に約19万6000人であった人口は2017年5月には約22万8000人となっている。新たな転入者の多くが引越し後にまず家具を求めるのは当然のことであるが、これまで渋谷や新宿界隈にある家具・インテリア店は都心ゆえに狭小店舗が多く、大型家具を買うとなれば百貨店や大塚家具などの高級家具店、もしくは無印良品、ロフトなどの大型雑貨店を利用したり、わざわざ五反田(家具問屋街)やイケアなど郊外の大型家具店まで足を運ぶ人も多かったのだ。都心地域に店舗が多い大塚家具が近年「カジュアル路線」へと踏み切ったのも、消費者のデフレマインドに加えて都心回帰による「日常家具需要の増加」が一因であると言われる。