出し入り味噌は本当に安全か?(depositphotos.com)

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 味噌は大豆や米、麦などを蒸したものに食塩と麹をまぜて発酵させた調味料です。味噌汁は、味噌を使ったもっともポピュラーな存在で、日本の食卓には欠かせない定番と言ってもいいでしょう。
 
いま、その市場を席捲しているのが「だし入り味噌」です。メーカーによって種類はさまざまですが、実に多くの旨味素材が使われています。

 ある大手スーパーのPB(プライベートブランド)商品はこんな具合です。「かつおエキス」「かつお節粉末」「宗田かつお節粉末」「昆布エキス」、それだけでは足りずに化学調味料の「アミノ酸等」を添加しているのです。化学調味料は、それだけ"偉大な存在"ということなのでしょう。

 ただ、こんなおかしな話ではありません。大豆を麹の力で発酵させることで、大豆のタンパク質が消化しやすく分解されると同時に、旨味の元であるアミノ酸を産み出す―これが味噌だからです。この理屈で言えば、味噌にだしや、グルタミン酸ナトリウムやイノシン酸ナトリウム、グアニル酸ナトリウムなどの化学調味料は必要とされていないはずです。

本来、味噌には添加物など不要

 こうした現状に、だし入りを頑なに拒みながら味噌づくりを続けているメーカーの社長は、こう眉をひそめます。「味噌は麹の力で旨味を引き出した発酵調味料です。これにだし、ましてや化学調味料まで添加する必要はありません。だから我が家では、煮干しなどでだしもとりません。味噌だけで十分です」

「だし入り味噌」が登場したのは1982年。だしをとる手間を一掃し、味噌にだしが入ったことで地域を越えて好まれる味になったと言われ、多くのメーカーが追随したことは言うまでもありません。

 表示について業界ではこれを、「米味噌」と「麦味噌」などをブレンドさせた合わせ味噌と同一なものとみなし、「調合味噌」とすることを定めています。しかし、本来の味噌とは程遠いもの。その違いが消費者に分かりやすいように、「だし入り味噌」は「味噌加工品」と表示すべきです。

遺伝子組み換えトウモロコシの酒精とは

 また、前出の味噌メーカー社長が消費者に知ってほしいこととして挙げたのは、「酒精」(エチルアルコール)の原料のことでした。冒頭の大手スーパーのPB商品にもこれが表示されていたように、「だし入り」に限らず、多くの味噌に用いられている一般飲食物添加物です。

 味噌のなかの酵母は、発酵が進むとエチルアルコールを産み出し、これが過度の発酵を止めています。ところが、これには時間がかかるため、酵母の働きを止める目的でエチルアルコールが添加されます。炭酸ガスが発生して容器を破裂しないようにするためです。

 自然発生と添加物のどちらも物質としてはエチルアルコールで、目的も効果も同じですが、決定的な違いがあります。食品添加物のエチルアルコールは、原料に遺伝子組み換えトウモロコシが使われている可能性が非常に高いのです。これが社長の言いたかったことでした。

 このため、「発酵食品という性質から、生きている酵母の活動を抑えるような添加物は不要」「アルコール原料の多くは遺伝子組み換え作物である可能性が高い」などの理由から、無添加味噌を造っているというのです。

 遺伝子組み換えについては、多くの商品に「原料大豆は遺伝子組み換えではありません」などと自主的に表記されていますが、「酒精」まで考慮しているメーカーは多くありません。しかし、「酒精」の原料まで遺伝子組み換えか否かをスーパーなどで知ることはまず、不可能です。とすれば、「酒精」を使っていない味噌を買い求めるしかありません。購入の際には表示をよく見て、「酒精」が記載されているかどうかをよく確認することです。

 食品添加物と縁遠いと思われがちな味噌ですが、実はかなり添加物は使われています。品質保持のための保存料(ソルビン酸カリウム)、白い味噌を作るための漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)、さらには、着色目的のビタミンB2などです。

 ソルビン酸カリウムは動物実験で肝臓肥大、成長抑制、精巣の重量減少が見られたとの報告があります。また、発色剤として使われる亜硝酸塩と反応すると発がん物質が作られますので、ハム・ソーセージ、明太子など発色剤を添加した食品と保存料添加ダシ入り味噌の食べ合わせは最悪です。次亜塩素案ナトリウムは動物実験で多発性神経炎、骨髄委縮、催奇形性、代謝異常が見られていますので、原材料表示をよく見て確かめることです。

 原材料表示には大豆、米、食塩とだけ記載している味噌を購入するのが一番安全で安心できます。

シリーズ「子どもには絶対に使ってはいけない生活用品」バックナンバー

郡司和夫(ぐんじ・かずお)
フリージャーナリスト。1949年、東京都生れ。法政大学卒。食品汚染、環境問題の一線に立ち、雑誌の特集記事を中心に執筆活動を行っている。主な著書に『「赤ちゃん」が危ない』(情報センター出版局)、『食品のカラクリ』(宝島社)、『これを食べてはいけない』(三笠書房)、『生活用品の危険度調べました』(三才ブックス)、『シックハウス症候群』(東洋経済新報社)、『体をこわす添加物から身を守る本』(三笠書房・知的生き方文庫)など多数。