片寄涼太、恋も仕事も“不器用男子”――『兄こま』で演じた“ヤンキー系ツンデレお兄”の素顔

映画『兄に愛されすぎて困ってます』で、ケンカっ早くてちょっぴり強引ながらも、妹・橘せとか(土屋太鳳)を溺愛しすぎている兄・橘はるかを演じているのは、GENERATIONS from EXILE TRIBEの片寄涼太。「こんなお兄ちゃんいたらいいのに…♡」と、世の女性たちをキュンキュンさせている、“お兄”ことはるかは、妹に好意を寄せるイケメンたちとアツい恋のバトルを繰り広げている! しかし、片寄自身は、恋の勝負には弱気な様子で…? 自称“不器用男子”の素顔に迫る!

撮影/祭貴義道 取材・文/渡邉千智 制作/iD inc.

“兄”と“男”のはざまで揺れる、はるかの姿に注目して

映画『兄に愛されすぎて困ってます』(以下『兄こま』)では、4月12日から放送されていたドラマ(日本テレビほか)の続きが描かれます。恋に恋する女子高生・せとかを巡り、片寄さん演じるせとかの兄・はるか、芹川高嶺(千葉雄大)、美丘千秋(草川拓弥)ほか…と、イケメンたちが火花を散らせる展開となります。
せとかが、いろんなイケメンたちからモテるという物語の軸はドラマから変わらず、映画では、それぞれのキャラクターの心境の変化がより深く描かれます。衝撃の事実を知ったときや、男性からアプローチを受けたときのせとかの心境はもちろん、高嶺や千秋も、映画のなかでリアルに心境が変化していく様子が感じられると思います。
変化、という部分では、はるかもせとかへの恋心を明確にしますね。
はるかは、映画に続くドラマ最終話(5話)で、せとかとは血のつながった兄妹ではないと知るので、やっぱりそれまでは、「せとかへの愛情はあるけれど、それは兄妹としての愛」という部分の意識が強かったです。
映画では、ドラマまでの「お兄ちゃん」感より、「男」感が増しているなと感じました。
映画では、本当の妹ではないと知っている状態なので、兄と男のはざまで揺れる、はるかの姿を楽しんでもらえるんじゃないかなと思っています。
そういった、リアルな心境の変化を演じるのは大変でしたか?
いや、はるかの、せとかへの基本的な“愛情”は変わらないなと思ったのと、僕自身、兄妹としての愛と、好きな人を思う愛って、大きな“愛情”のなかでは遠くないと感じていて。そこまで苦労はしませんでした。
せとかとはるかの胸キュンシーンがたくさんありましたが、演じていて、女子がキュンキュンする気持ちはわかりましたか?
んー…わかったかな…? っていうところもあったんですけど、僕としてはマンガっぽいなっていうのが一番(笑)。まだまだ、勉強不足ですね(笑)。
せとかを巡って火花を散らす、はるか、高嶺、千秋のように、もし、片寄さんが意中の女性をほかの男性と取り合う立場になったとしたら…その女性を振り向かせる自信はありますか?
勝てる自信が全然ないです(笑)。
即答とは! …なぜですか?
勝負する男性たちも、それぞれ人としての魅力があると思うんです。近くでその魅力を感じたら「あっ、僕はダメだ」って心が折れちゃう気がします(笑)。映画内で、はるか、高嶺、千秋が、順番にせとかとお祭りを一緒に回る、“デート対決”のシーンがあるんですけど、そういう勝負でも勝てる自信はないですね…。
そういった勝負ナシで、片寄さんがもし女性とデートをするなら、どんなデートプランを立てますか?
お酒が好きな方だったら、おいしいお酒と食事ができるお店を探して、一緒に行きたいですね。
お酒といっても、和食だったら日本酒、洋食だったらワイン…などがありますが?
あっ、お酒の好みは女性にあらかじめ聞いておくかもしれないです。「お酒は何が好きなの?」って。僕は何でも飲めるからいいんですけど、女性が苦手なものだったら、一緒に行く意味がないですもん。
ジェントルマンですね。
単に僕が、お酒が好きなだけなんですよね(笑)。

「こだわりたいことは譲れない」自他ともに認める不器用さ

はるかは「ヤンキー系 ツンデレお兄」、高嶺は「セレブ系 ののしり王子」、千秋は「ホスト系 スウィートBOY」というキャッチがありますが、片寄さんは、ご自身で何系男子だと思いますか?
んー…何系だろ?(笑) 「スマート風 不器用男子」かな。
その心は?
僕は、「何でも器用にこなせそう」って思われていることが多いんですけど、実際は全然そんなことなくて。めちゃくちゃ負けず嫌いですし、自分がこだわりを持っていることに関しては、熱っぽくなってしまうこともあって、不器用なんです。
『兄こま』の現場で、キャストのみなさんから「不器用だね」って言われたことはありますか?
それはなかったですね。『兄こま』の現場では、いい意味でガサツというか、気を遣わずにいたというか…。映画というひとつの作品をみんなで作り上げる現場では、ひとりが固くなっちゃうとキャスト同士の距離があいて、いい作品を作れないんじゃないかと思っていて。
なるほど。
『兄こま』は、キャスト同士の年齢も近かったし、学園モノという物語の世界観もあったので、フランクに過ごしたほうがより作品らしさが出るんじゃないかなと感じていたんです。だからこそ、空き時間などはみんなといろんな話をしましたね。そのぶん、絆も深まったんじゃないかなと思います。GENERATIONSのメンバーからは、いつも「涼太は不器用だな〜」って言われていますよ(笑)。
そうなんですか?
去年のツアー(GENERATIONS LIVE TOUR 2016 “SPEEDSTER”)が終わったあとの打ち上げでも、メンバーからけっこう言われました。やっぱり、歌に関してはとても大事に思っているので、「俺はこうしたいんだ!」って強い思いが出てくるときがあって。そこは絶対に譲れないんです。そういう、自分がこだわりたいときはすごく不器用になっちゃうんですよね。メンバーも認める不器用さです(笑)。
メンバーのみなさんも、片寄さんの不器用さを理解されているんですね。
そのなかでも、たまに一歩引いて俯瞰で周りを見ているときもありますね。そういう僕の性格をメンバーのみんなは、僕のひとつの魅力につながっているって思ってくれているのかもしれないです。僕は、グループってバランスが大切だと考えていて。足りないものはみんなで補い合って、支え合いながらグループとして成り立っていく。だからこそ、今のGENERATIONSがあるなって感じています。

誰かを意識するより、自分の魅力を大切にしていきたい

片寄さんの俳優デビューは、2014年のドラマ『GTO』(フジテレビ系)。それから今回の『兄こま』で映画初出演を務められました。『兄こま』オファー時は、「自分でいいのかな?」と思ったそうですが、撮影を終えられて、当初の気持ちから変化はありましたか?
『GTO』のときは生徒のなかのひとりっていう役どころだったんですけど、『兄こま』は…タイトルも、『兄に愛されすぎて困ってます』ですし、僕の役がかなり重要になってくるっていう部分で、責任とプレッシャーを感じていました。でも、その責任感が、この作品を愛することにつながった部分でもあります。
なるほど。
スタッフの方々も、すごく“お兄”を愛してくれて、温かく迎えてくださっていたので、撮影が進むにつれて不安な気持ちから「作品を心から愛する気持ち」に変わっていきました。
ひとつの作品を作ることに対して、より深い愛を持って臨むことができた?
そうですね。『GTO』のときで言うと、「ああ、AKIRAさんは、主演としてこんな気持ちで撮影に臨んでいたんだろうな」っていうものが…僕が言うのもおこがましいんですけど、わかったような気がして。『GTO』のとき、AKIRAさんが一生懸命に周りを巻き込んで、エネルギー源となってやっている姿を見てきたので、僕も改めて身が引き締まったというか。だからこそ、今後、どんな役でも挑戦させていただけるのであれば、そういった気持ちは忘れずに臨んでいかなければと思っています。
同じ事務所には俳優として活躍されている方も多いですが、意識することはありますか?
僕はそんなに周りの人のことをガチガチに意識しているってわけじゃないんですよね。先輩からいただいた言葉や立ち振る舞いから感じとったことは今の自分に活かされていると感じますけど、「誰がこうだから、自分はこう」っていうふうには思わないですね。
ライバル心むき出しというより、いい影響を受けて、自分に反映させていこうっていう感じですか?
そうですね。やっぱり、ひとりひとり違う個性や魅力を持っていると思うので、僕はそういった部分を大切にしていきたいです。きっとそれはお芝居だけじゃなく、人としての現場での佇まいにも出てくるだろうし、年齢や経験、立場で変わってくるものでもあると思うので。
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