この世の全ての中高年が恐らく一度は口にするであろう言葉、それが「子供の頃は苦手だったんだけど、大人になったら美味しく感じられるようになった」である。

ナスが苦手だったけど今では大好物になった、とか、あるいは、湯葉の美味しさがちっとも理解できなかったのに、いつの間にか虜になっていたとか。年齢を重ねるにつれ、嫌いなものが好物になってしまう現象って、大人になるとちょくちょく起こるものだ。

さて、嫌いが好きに変わるなら、その逆もあるはず。今回は、成長と共に好物が食べられなくなる現象について考えていきたい。(文:松本ミゾレ)

「マンゴー。大好きで食べ過ぎたせいかアレルギーになってしまいました」

毎度おなじみネタの宝庫「ガールズちゃんねる」に先日、「大人になって食べられなくなった物」なるトピックが登場した。トピ主は最近、魚を食べると気持ち悪くなってしまうという。

年を取ると脂っこい肉がダメになるとはよく聞くが、魚は、年齢を重ねても食べられる貴重な動物性たんぱく源という認識だったので、ちょっと驚いた。コメント欄を見ると、トピ主以外にも青魚がダメになった人が数人見つかる。

他にも「パフェとかケーキ」「揚げ物」みたいになんとなく分かるものから、「卵かけごはん」という意外な意見まで、幅広い食品が列挙されていた。

「桜でんぶ。わかりますか?あのピンクの甘いふりかけみたいなもの。幼稚園の時は大好きだったな?お弁当も華やかになって」

と、ノスタルジックな気持ちになる例のほか、

「マンゴー。大好きで食べ過ぎたせいかアレルギーになってしまいました」

のように、食べたくても食べられない状況になった人もいた。これは他人事ながら気の毒だ。

副菜にしか箸を伸ばさなかった祖父母の気持ちが、分かるようになってきた

僕はまだケーキも揚げ物も、ぎりぎり大丈夫だ。ただ、カップ焼きそばは本当に食べられなくなった。味はともかく、食感とその量が無理になりつつある。この間も3分の1程食べてギブアップしてしまった。あんなに、あんなに大好きだったのに。

人は時間の経過と共に変わっていく。恋愛も、仕事も、趣味もそう。好きだったはずの何かと相容れなくなってしまう。いつまでも、昔のままではいられない。

食べ物の好みだって、体が老化していく以上どうしたって止められるものではない。でも、「とうとう食べられなくなっちゃったかぁ」と老いを自覚するのは、なかなかショックである。

子供の頃、食卓に上がった和え物や汁物など、副菜にしか箸が伸びない祖父母を見て「なんでわざわざあんなものばかり食べるんだろう」と不思議だった。だけど自分自身、その気持ちが少しずつ分かりつつある。

さっきだって、なめこの味噌汁一杯でお腹が満たされてしまった。切ないなあ。