上地克明氏を当選に導いた 撮影:常井健一

 6月25日、自民党が総力を注ぐ首長選挙が行われた。小泉進次郎農林部会長(36)の地元・横須賀の市長選だ。

「自民党は5月からベテラン党職員を『54連泊』で張り付かせ、6月には2人増やし、国政選挙並みの応援態勢でした。公明党も、告示日に斉藤鉄夫選対委員長が来援するなど支援組織をフル回転してくれた」(自民党関係者)

 都議選の最中、一市長選に党本部が本腰を入れるのは、「無敗神話」を誇る人気弁士を守るため。

「当選2回の吉田雄人市長(41)は過去2度、小泉親子が推す候補と争い、政党の応援なしで2連勝。自民党員でさえ、『国政は小泉、市政は吉田』と棲み分け、市長選では小泉後援会が割れる状況が続いたのです。今回、進次郎氏の周辺では3度目の総裁選で勝利した純一郎氏にちなみ、『3度目の正直』が合言葉でした」(同前)

 吉田氏への刺客が非自民系市議に決まったのは、3月下旬。進次郎氏は候補者のシンボルカラーに合わせた橙色のネクタイを連日締め、過剰な露出は控えた。選挙戦の全7日間は街宣車に乗り込んだが、運動員と同じジャンパーを纏い、陣営内でも存在を気づかれない場面も。一方で、自ら携帯電話を握り、投票日当日も直電作戦を展開した。

 ただ、進次郎氏が総力を注いでも集会の動員力は衆院選の半分程度。内閣支持率低下も直撃した。首都圏の若手市長たちの来援で「若さ」と「改革派」のお株を奪おうとする現職と接戦が続いた。

 進次郎氏の後援者で自民党員の吉田陣営幹部は話す。

「改革派のイメージで喝采を浴びる彼が、なぜ地元では守旧派の味方になって、持論と矛盾する話をしながら同世代の市長を潰そうとするのか、市民にはわかりにくい」

 激戦の末、進次郎氏が推す新人は現職に1万票以上の差をつけ、完全勝利。だが、進次郎氏は謙虚に語った。

「再集計になるほどの僅差になると思っていたので、予想外の大差でした。でも、今回、党本部にはいっぱい借金しましたね。事務所の課題イコール自分の課題も見えた。この借りはいい授業料です」

 次の内閣改造では「入閣要請があれば、『借り』を返す意味でも拒否できないのでは」(別の自民党関係者)との見方も。本人に“返済方法”を問うと、こう煙に巻いた。

「お返しの仕方はいっぱいありますから」

(常井 健一)