呼ぶ方にも、呼ばれる方にもお作法があるホームパーティー。

人格やマナーが試される場でもあるが、その正解を知らぬ者も多い。

都内の様々な会に参加し、その累計回数は約100回にものぼる29歳の優子が、多角的な視点でホームパーティーを評論してゆく。

これまでに、正しい家主の振る舞いや、ゲストとして招く人の選抜方法を考えた。さて、今回は?




-優子、今週土曜何してる?無事に引っ越しが終了したから、皆で集まらない?

大学のゼミが一緒だった康平から連絡が入り、ゼミ仲間で彼の家に集まることになった。

康平から送られてきた住所とマンション名を見て、思わず溜息が出る。

外資のビジネスローファーム(法律事務所)勤めの康平は、同じ年なのに高給取りらしく、一人で赤坂にあるタワーマンションに住んでいるらしい。

帰国子女で学生時代から異彩を放っており、昔から女の気配が絶えない男だが妙に気が合い、康平とは社会人になっても、たまに飲みに行く仲だった。

ゼミ仲間とも今でも集まる機会はあるが、こうして誰かの家で、特に独身の男友達の家で集まるのは、卒業以来初めてのことかもしれない。

何を持って行こうか迷っていると、康平らしい気遣いのLINEが続けて入る。

-料理は、適当にこっちで用意するから何もいらないよ。お酒だけ持ってきて。

手土産のプレッシャーがないことにホッと胸を撫で下ろすと同時に、ふと引っかかった。

-あれ?康平って、料理できなかったはず...


手料理に自信のない家主の救世主現れる。ホームパーティーの新常識とは?!


料理ができない家主。そんな時に使える便利アプリ


-康平、彼女と一緒に住んでいるのかしら?

背も高く、涼し気で爽やかな笑顔を見せる康平の顔が浮かぶ。英語も堪能で、話も面白くてしかも外資系に進んだ康平は、何でもできるし昔からモテる。

しかし唯一“料理だけできない”と言っていた。

適当に用意すると本人が言っている以上、任せようと思うが、きっと誰か用意してくれる人がいるのだろう。

そう思い、当日は言われるがまま、康平や他のゼミ友達が好きな銘柄のビールとロゼのシャンパンを持参し、赤坂にあるタワーマンションのエントランスをくぐった。

「優子、久しぶり。相変わらず元気そうだね。」

部屋に入るとすでにゼミ友達は数名集まっていた。

今日の会は、男性5名の女性3名、計8名。仲が良いので、男女比のバランスなどは関係ない。

「康平、ビールとシャンパン買ってきたよ。冷蔵庫に冷やしておく?」
「そうだね、勝手に冷蔵庫開けていいから、入れといてもらっていいかな。」

買ってきたシャンパンとビールを冷蔵庫の中に入れる。

冷蔵庫の中身は、いかにも“男性の一人暮らしの冷蔵庫”という感じで、少しの調味料と、あとは飲料で埋め尽くされていた。

この冷蔵庫と閑散としたキッチンから、料理をしている気配は感じ取れない。また、ダイニングデーブルに目を向けても、料理らしきものは何もない。

そして彼女もいない。

「康平、私やっぱり何か持ってきた方が良かったかな...」

そう言いかけた時、康平はおもむろに携帯を取り出し、皆に問いかけた 。

「UberEATSでご飯頼もうと思うけど、みんな何食べたい?」




時代と共に移りゆくホームパーティー事情


-UberEATS ...

配車アプリでおなじみのUberが始めた、フードデリバリーサービスだ。

提携先のレストランから好きな物を注文でき、一品からでも自宅に届けてくれる非常に便利なサービスである。

仕事から疲れて帰宅し、何も作る気力がない時などよくお世話になっているが、ホームパーティーで使えるとは意外な新発見だった。

「何がいいかなぁ〜。私はサラダ系が食べたい。」
「やっぱりパーティーと言えばピザじゃない?」
「でもさ、せっかくワインがあるから生ハムとかも食べたいな。」

旧友ということもあり、皆口々に好き勝手な注文を言っている。無礼講が許されるのも、学生時代の仲間の特権だ。

「みんな好き嫌い多いなぁ。分かった、じゃあそれぞれ頼もうか。」


どんな注文にも答えてくれる、無敵のお抱えシェフ?!


家主もゲストも楽しめるのが、ホムパの極意


各々持ってきたシャンパンやワインを順番に空けていき、暫くダイニングテーブルを囲みながら談笑していると、続々とインターホンが鳴る。

デリバリーされた料理を皆で手際よくテーブルの上に並べると、一気に食卓が華やいだ。




オーダーしてから約1時間。キッチンは全く汚れておらず、片付けも簡単。

ホームパーティーでありがちな、家主が料理や配膳に追われ、皆の会話に入れないこともない。

せっかく楽しい会なのに、ひたすらそのような準備や片付けに追われているのでは意味がない。

家主とゲストが費やす労力のバランスが悪いと、双方落ち着かないことがある。しかしその点、UberEATSは労力を軽減できるため、呼ばれる方も呼ぶ方も気軽に楽しめる。

「ほら、ピザも来たよ。優子、辛いの食べれたっけ?」

ホストが手間ひまかけて作ってくれた料理の場合、お腹いっぱいでも残すわけにもいかない。

苦手な食材が出てきても、“食べられない”と言い出しにくい時もある。

その点、UberEATSならばホストに気をつかわず、オーダーする際に好き嫌いを率直に言える。その気遣いがなくなるだけで、参加している側は非常に気が楽だ。

「さすが、合理的な男ね。」

康平の人柄がよく表れた会だと思い、ひとりで密かに感心していた。



パーティーは昼過ぎから始まったにも関わらず、気がつけば辺りはすっかり暗くなっていた。

3名は、次の約束があるからと帰って行ったが、残っているメンバーは帰る気配がない。気がつけば、持ってきたお酒は底を突いている。

「夜ご飯、どうする?」
「引き続き、ここで飲みますか。」
「そしたら...酒もネットで注文しようか。」

康平がスマホを操作し、宅配サービスのある酒屋のWEBからオーダーする。

「お酒、1時間後に届けてくれるって。」

家主も、ゲストも動かなくて良い時代。

手料理が素晴らしいことは言うまでもないが、時間と労力を節約することも大事なポイントだと感じた1日だった。

▶NEXT:7月6日 火曜更新予定
「手土産は、地方の名産。」ホムパ慣れした人が行き着く、究極のグルメ会

【これまでのホムパのお作法】
Vol.1:会話を盛り上げるだけでは不十分。見られている、家主の品格
Vol.2:ビジネスは、ホムパで始まっている。ゲストを有機的に繋ぐ主催者の手腕とは
Vol.3:ホムパの手土産の「真の正解」を、ご存知ですか?