<極右も同じくらい暴力的で危険なのに、テロを企むのはイスラム過激派だけと考えるトランプに毒されたらしい>

ドナルド・トランプ大統領は昨年、暴力的な過激派のうちイスラム過激派だけを名指しする大統領選を展開し、その結果極右勢力を勢いづかせてしまった。トランプ政権のそうした姿勢が今、国土安全保障省(DHS)にまで及び始めたらしい。

国土安全保障省は6月23日、「暴力的過激主義対策(CVE)」プログラムの助成金、総額1000万ドルの給付対象となる団体のリストを発表した。給付対象はバラク・オバマ前大統領の退任直前に選定されていたが、トランプの大統領就任後、再検討の対象とされ、給付が凍結されていた。見直し後のリストでは一部の団体が給付の対象外となり、オバマ政権下で約束されていた助成金を受け取れなくなった。

これは、トランプ政権がイスラム過激派の摘発に注力するあまり、極右の暴力に甘くなっている新たな証拠だ。今回発表されたリストでは、極右主義者や白人優越主義者による暴力と戦うことに重点を置くいくつかの団体が、給付対象から外された。ヘイト団体の元メンバーの更生を支援する非営利組織「ライフ・アフター・ヘイト」もそのひとつだ。

2011年にライフ・アフター・ヘイトの創設を支援したアンジェラ・キングによれば、2016年以降、同団体に寄せられる支援要請は急増しているという。40万ドルのCVE助成金は、極端なイスラム主義と白人優越主義の両方を対象に、ネット上での過激化防止プログラムに使うはずだった。その資金不足を補うため、クラウドファンディングを開始するという。

「残念だ」と、キングは言うが、この事態は半ば予想していたという。今年年2月、新政権のCVE助成金に関し、反極右団体への給付は停止し、対象はイスラム過激主義と戦う団体だけになる、という報告書を目にしたのだ。

危険はイスラム過激主義だけじゃない

アメリカでは、イスラム過激主義による暴力事件は、極右による暴力事件よりメディアで大きく取り上げられる傾向がある。だが、米会計監査院(GAO)が2017年4月に発表した報告書によれば、9.11同時多発テロ以降、極右の暴力で死亡したアメリカ人の数は、イスラム主義に影響を受けた暴力事件の犠牲者とほぼ同じ数にのぼっているという。

今回の決定がもし、CVEの対象を意図的に狭めてイスラム過激派対策に限定するものだとしたら、「恥ずべきことだ」と、ワシントン中近東政策研究所のテロ対策プログラム担当ディレクターを務めるマシュー・レビットはフォーリン・ポリシーのインタビューに語った。「我々はさまざまな種類の暴力的イデオロギーの脅威に直面しており、政府としても社会としても等しく対策に力を注がなければならない」

(翻訳:ガリレオ)

From Foreign Policy Magazine

べサニー・アレン・イブラヒミアン