©2014 Happy Elements K.K

写真拡大

『あんさんぶるスターズ!』はHappy Elements株式会社の提供する男子アイドル育成ゲーム。これまでに200万以上DLされている大ヒット作です。

歴代ユニットソングCDジャケットギャラリーはこちら

最近では2周年を記念して放送されたブルゾンちえみwith B出演のTVCMも記憶に新しいと思います。これまでにも小説や漫画、舞台化もされ、アニメ化も控えており、その世界はゲーム以外にも広がっています。

今回とりあげたいのは『あんさんぶるスターズ!』の音楽、「ユニットソング」です。

ゲームのキャラクターたちが実際にボーカルをとり、作品の世界やキャラクターの雰囲気を活かした楽曲は作品の世界をさらに広げてくれました。どのユニットのCDもオリコンチャート上位にランクインしています。

そんな「ヒット曲」を手がけているのはどんな人なんでしょう?

『あんさんぶるスターズ!』の音楽プロデュースを担当している、音楽制作チーム・Arte Refact(アルテリファクト)の桑原聖さんにお話を伺ってきました。

こんなゲームの音楽をやれたらいいなと思ったんです

――まずは桑原さんが『あんさんぶるスターズ!』の音楽に携わるようになったきっかけを教えてください。

桑原:最初に『あんさんぶるスターズ!』を知ったのは、事前登録キャンペーンをしていた頃で、「こういう作品がある」と、とあるプロデューサーに紹介されたんです。

まだ主題歌とユニットとキャラだけが公開されている状態で、そこで興味を持って2週間くらいで15曲作って乗り込み営業的に提案しに行ったんです。当時の制作チームの方に作った曲を聴いてもらって、そこからユニットソングを任せてもらうようになりました。

――Arte Refactや、桑原さん個人として、お仕事が決定するまえにデモ曲を作って提案するということはよくあるのでしょうか?

桑原:いや、かなり珍しいケースです。まだゲームは事前登録段階でしたが、公開されているヴィジュアルだとかロゴ、キャラクターを見て『あんさんぶるスターズ!』というものがすごくいいなと感じたんです。

いわゆる女性向けタイトル(のゲーム)って頭身が高かったり、もう少し線の細い感じのイラストが主流というか、多い印象を受けていました。その中で『あんスタ!』のキャラは男性でも受け入れやすいような頭身バランスで、魅力を感じたんです。こんなゲームの音楽をやれたらいいなと。

――なるほど。

桑原:他に魅力を感じたのは、Happy Elementsさんに所属するイラストレーターさんが全てのイラストを描いているんですよね。だから絵柄にゆらぎがない、そこにも惹かれました。

それに、『あんさんぶるスターズ!』の前からメインシナリオライターの日日日さんのことは好きだったので、日日日さんの作風、人間の内面、陽の部分だけではなく陰の部分もちゃんと描く方なので、そういう意味でも興味を惹かれました。

――さきほど、2週間で15曲のデモを持っていったと仰っていましたが、制作ペースは早いのでしょうか。

桑原:制作チームなので、その時々にもよるんですけど、『あんさんぶるスターズ!』に関しては「ヴィジョンが見えた」というか、「こういうことをやりたい」とどんどん作っていって。これは珍しい入り方だと思うんです。普通だったらもっと会社と打ち合わせをしてデモを作ったりすると思うんですけど、アポをとった時点でデモを作ったんですよね。「聴いてみてください」と。

――それだけ情熱があったということでしょうか。

桑原:そうですね、HPにある事前情報のみだったんですが、皆個性的なユニットなのでイメージしやすかったです。もちろん自分たちが予想していたものとは違うユニットもいたんですよ。たとえば、「Ra*bits」というユニット名に「bits」が入っているから「デジタル系かな?」と思ったら、先方から「うさぎです」と言われ「そのままですか」というやりとりもあったり(笑)。

――(笑)。

課金をしつつ、音楽制作をしつつ…

桑原:カップリング曲を作るにあたって考えたのは、『あんさんぶるスターズ!』には新規ストーリーを読めるイベントが月に2回、ストーリーの付いているガチャが2回あるんですが、カップリングには、そのイベントのストーリーコンセプトに合わせた曲を作ったら面白いんじゃないか、ファンの人が喜んでくれるんじゃないかと思ったんです。それでひたすらゲームのイベントを走ったこともありますね(笑)。

――えっ?

桑原:僕、最初の頃のイベントは常に100位くらいをキープしていました。スクショも撮ってますよ(笑)。リリースしたばかりのころはユーザーの皆さんも様子見だったので、最初の頃は100位くらいなら行けたんです。課金をしつつ、音楽制作をしつつ……(笑)。

――それはなかなかのペースですね。

桑原:それでいざ曲ができて、収録が始まるじゃないですか。スタジオに入る前は100位くらいでも、収録が終わって出てきたら500位くらいに落ちてるんですよ(苦笑)。それがつらくなって、制作を続けながらイベントを走るのは無理だと気づきました。

――そこに早く気がついてください!

桑原:(笑)。収集癖的なところがあるんですよね、「星5のカードを5枚重ねないと(※『あんさんぶるスターズ!』のカードは5枚取得するとそのカードのパラメータがMAXになります)」みたいな。

ユニットひとつひとつがアイドルとして成立するように作る

――不思議なのが、『あんさんぶるスターズ!』っていわゆる「音ゲー(ゲーム)」や「リズムゲー」ではないですよね、何ゲーっていうんですかね。

桑原:「ノベルゲー」でもありますよね。一番収まりがいいのは「キャラゲー」でしょうか。

――ですから、「キャラゲー」だからこそ「キャラクターソング」、「ユニットソング」が重要になるのかなと思うんですが、とはいえゲーム中に曲が聴けることが殆ど無いですよね。ゲームの中でも試聴コーナーがあるくらいで。

桑原:とくに最初の頃は「ゲーム内試聴」という概念も無かったので、ホーム画面のバナーから飛んでYouTubeに行くみたいな。第一弾のときは、どのくらい反響があるのかはわからなくて、試聴動画があがってすぐに100万再生くらいされていて、びっくりしました。

――たくさんの人に聴かれているんですね。

桑原:それはすごく嬉しいことです。『あんさんぶるスターズ!』はまだアニメ自体が放送されていない中で、高い注目を集めています。それは皆さんがキャラを愛してくれているからで、それだけ魅力的なコンテンツなんだと思います。自分もそこに魅力を感じてやらせてもらっています。

――桑原さん自身がゲームのことを好きだからこそ、音楽も良いものになるのでしょうか。

桑原:そうだと嬉しいですけど(笑)。第一弾のときは自分たちのチームのみでの制作だったんですけど、第二弾からHappy Elementsさんから「こういう方に頼んでみたい」という話も出てきて、極力かなえられるように、自分たち以外の外の作家さんも繋いでみたりもしました。

――「格式高く情熱的なユニット」とされるValkyrieの楽曲はALI PROJECT、「伝統芸能を重んじる和風ユニット」紅月には和楽器バンド、「戦隊ヒーローユニット」流星隊にはヒャダインさんの参加が話題になりました。

桑原:そういうレーベルの垣根を越えることができるのは、作品の力かなと思います。

――ジャニーズやAKB48も色々な最前線のクリエイターを迎えて楽曲を作っていますよね、そういう意味ではまさにアイドルというか。

桑原:最終的にキャストさん (声優)がキャラを愛してくれて、「キャラになっている」からこそ、どういう曲が来てもユニットの色を残せているのかな。

自分の感覚としては、Happy Elementsさんと「このユニットだったら次はこういう曲が作れるんじゃないか、盛り上がるんじゃないか」と話し合って提案していって、一緒に作っていく。ユニットひとつひとつがアイドルとして成立するように作る、というのを念頭においています。

――キャラクターの声を担当している方の中には、若手の声優さんや俳優さんもいらっしゃいますよね。

桑原:そうですね、このゲームの特徴としては様々な経歴の方々がキャストとして 参加されているので、「どなたがいるから気を遣って」とかではなくて、できるだけ皆さんに収録を楽しんでほしいと思っています。

自分も音楽をやる人間なので、初めての歌収録で気合い入れて臨んだのにけちょんけちょんにされたら悲しいですし、それだと次が怖いと思ってしまうから、それはやだなあと。キャラクター感はこっちでジャッジするんで、レコーディングは楽しんでもらえればと思っています。

歌に関しても、例えばもともとすごく歌のうまい声優さんでも、作中の時間の流れを考えて「この曲はこの時期だからもう少し幼く歌ってください」とか、「この時期ならもう少し自信を持って歌ってください」ということは考えてます。キャラクターの成長はすごく意識しています。

「気持ちの持っていき方」をすごく考える

――桑原さんの公式プロフィールには“「音楽はドラマ、メロディーには物語を」を合言葉に、楽曲制作を行っている”とありますね。

桑原:いやあ、バカっぽいこと書いてますよね(笑)。

――いえ、『あんさんぶるスターズ!』の曲は本当にそうだなと思います。物語とキャラクターがあってこその曲だということが伝わってきます。

桑原:例えば、普通のポップスはワンコーラスのなかにAメロ・Bメロ・サビがあって、そのあとの構成はいろいろあるけど、最後に大サビがあって……みたいな。そこでは基本的にサビのメロディは一緒のものが使われますよね。僕はその気持ちの持っていき方をすごく考えていて。

普通に上質な音楽を求めるなら、「より上手く歌えているテイク」をひたすら重ねていって、1番も2番も3番も同じくらいうまいものを作りたいのが通常の考え方なんですが。

僕のイメージとしては、1番の歌詞で歌われている心情を、2番を経て、最後落ちサビや大サビで、皆との絆が高まっていって……そうすると歌にもやっぱり感情が乗るんじゃないかと。同じメロディや歌詞なんだけど違うものを聴いているような感覚になる、みたいなことはすごく意識して作っています。

「キャラならではの音の見え方」を

――Arte Refactは同人音楽制作に携わっていた方が集まった制作チームと伺っています。キャラクターソングと親和性が高いのは、出身からの影響はあるのでしょうか?

桑原:もともとは普通にバンドマンだったんですが、バンドでのデビューを蹴って同人音楽の世界に入ったんです。当時は頭が悪かったので、「大人の食い物にされるくらいなら好きなことやりたい」と思ったんでしょうね(笑)。

もともとなぜ同人音楽にハマったかというと、「音楽の形ってもう少し自由で良いんじゃないか」という思いがあって。

J-POPというジャンルの中で、決まったコード進行やメロディがあって……という音楽制作よりも、もう少し違うやり方があるんじゃないかと感じていました。たとえばキャラクターの心情を歌うだとか、映像にあった音楽を作るということに興味があったんです。

――なぜそう思うようになったのでしょうか。

桑原:僕が音楽を始めた頃は90年代後半の、フジテレビの月9だったり日本テレビの土曜9時のドラマ全盛期で。僕もドラマが好きでよく観ていて、その中でもちろん内容に合った主題歌もあったんですけど、「もう少し内容と親和性がある曲がいいな」と感じていたんです。

――その時期のテレビドラマの場合はとくに、主演のアイドルの曲が起用されることも多かったですよね。

桑原:それはそれでもちろんすごく好きなんですけど、もっとリンクしたものが作れるんじゃないかなと感じていて、そんなときにアニメ音楽に出会ったんです。

アニメだと、登場するキャラクターの心情を乗せている曲に、そのキャラの映像や、キャラの心象風景のような映像が乗るじゃないですか。そこのシンクロに惹かれたんです。音楽だけじゃ伝わらないものがあるんだなと。

普通に音楽をやっているだけじゃなくて、キャラクター性、作品に触れるなにかを作りたいなと思って、同人音楽に足を踏み入れたという感じです。

――キャラクターが根幹にあるからこそできる表現に惹かれたということでしょうか。

桑原:そうですね。極論を言うと、音楽って音階だけだと12音階しかなくて表現できる幅が限られてしまうんですが、「キャラならではの音の見え方」があるというか。

例えば、明るさだったり暗さだったり、アンニュイだったり、ちょっとだけ見える影の感じ、そういうものをどう伝えていくのか。そういうことを考えて表現できるのがキャラクターソングというものだと思っています。

なので、できるだけキャラを理解した上で、作詞家さんとも綿密にやりとりするのが楽しいですし、原作ものなら原作者さんに監修してもらえるのが一番良いものになるんじゃないかと思っています。

――ちなみに桑原さん自身はアイドルソングをもともと聴いていましたか?

桑原:僕は生まれて初めて買ったCDが光GENJIの『パラダイス銀河』なんですよ。潜在的にアイドルが好きだったんですね。バンドをやるようになって少し離れましたが、今も普通に聴きますね。

ユニットの音楽の可能性を広げていける楽曲を作りたい

――実際のアイドルの潮流を意識して作ったりすることはありますか?

桑原:ありますね。逆にユニットの特性を活かすために、あえて一昔前の音作りをすることもあります。

4月のエイプリルフール企画で学院の教師のユニットを発表したのですが(佐賀美陣 & 椚章臣『Sentimental Liars』)、シナリオ担当の日日日さんとのお話の中で、「イメージとしては先生たちが短パンを履いてローラースケートを……」みたいなことを仰っていたので「なるほど! 一番知ってるやつです!」と(笑)、音作りも最新のものではなくて80年代末のアイドルを意識した音作りをしたり。

――たしかに試聴動画を見ると懐かしい感じがします(笑)。

桑原:たくさんユニットがいるので、このくらいやった方が差が出るかなというのもありますし。音楽シーンの時代の流れが早いので、追いついていくのも大変です。普通10組のアイドルユニットの面倒を同時に見るということは、あまりないですよね。手広く聴いてインプットしていかないとアウトプットできないですし、枯れてく一方なんで(笑)。

――引き出しをふやさないと、と。

桑原:ユニットの特性を活かしていく制作をしていきたいんです。言い方があれなんですが、あんまりお仕事と思ってやってなくて。

キャストの方ともプライベートでも仲良くさせていただいていて、皆で楽しみながら作っていこうという雰囲気があるので、それがファンの方にも届いていたらいいなと思います。あんまり凝り固まらずに自由にやらせてもらえているのが、すごくありがたいです。

――そして8月から来年1月にかけてリリースされるユニットソングの第三弾も発表されましたね。

桑原:今回は第三弾、つまり一番最初からいるユニットに関しては5、6曲目にあたります。

ユニットの音楽の可能性を広げていける楽曲を作りたいなと思っていて。

例えば、これまですごくデジタルな曲が多かったユニットには、デジタルだけどもう少し広い幅の楽曲をもたせたり、正統派アイドルのところに”タイアップミュージック”のような雰囲気をもたせたりと、リアルなアイドルに近づけるような楽曲をあえてつけてみたりしています。

――それはまさしく「アイドルグループのメジャーデビュー3枚目シングル」といった趣きですね。

桑原:そういうところは意識しました。だから、キャストさんたちからは「意外な曲がきました」「今までで一番難しい曲がきましたね!」という声もありました。ユニットごとの幅を広げて、今後アルバムを出して行けるような音楽展開をできるように、一辺倒にならないようにと考えています。

――それは今後の展開も楽しみですね。今日は本当にありがとうございました!

あんさんぶるスターズ!ユニットソングCD 3rdシリーズ

2017年8月9日(水) vol.1 流星隊/vol.2 Knights
2017年9月6日(水) vol.3 fine/vol.4 Valkyrie
2017年10月4日(水) vol.5 2wink/vol.6 UNDEAD
2017年11月8日(水) vol.7 Ra*bits/vol.8 紅月
2017年12月6日(水) vol.9 Switch/vol.10 Trickstar
2018年1月10日(水) vol.11 MaM

楽曲の最新情報は、あんさんぶるスターズ!ユニットソングCDシリーズ 商品情報サイトで更新中