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 大日本住友製薬は、開発中の抗がん剤「ナパブカシン」について、胃がんについての臨床試験(治験)のデータに思わしい結果が出なかったことから、その販売計画に大幅な遅れが生じる見込みであると発表した。日経産業新聞が報じた。

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 患者を延命する効果について、日米で行われていた治験のデータの中間解析において、有意差が出る見込みが低いと勧告を受けていた。

 当初、2018年度の販売開始を予定していたが、当局への販売申請が早くとも2020年以降にずれ込む見通し。

 大日本住友製薬は2019年3月期に主力商品である精神病治療薬の「ラツーダ」が特許切れを迎えるため、確実な収益の落ち込みが予測されており、その穴を埋める存在としてナパブカシンが期待されていた。今回の一件で、大幅な長期経営計画の見直しを迫られることは必至だ。

 さて、ナパブカシンについて見てみよう。

 ナパブカシンは、世界初となる、「がんの親玉となる、がん幹細胞を攻撃することのできる薬品」として開発され、「ブロックバスター」と呼ばれる、重要な治療薬になることが期待されていた。

 ブロックバスターというのは、主に医薬品産業において用いられている用語である。厳密な定義があるわけではないが、売上額が莫大であり、また、ある疾患の治療体系が根底から変わってしまうような超大型薬がそのように呼ばれることが多い。

 かつては、製薬企業は相争ってブロックバスターの開発に明け暮れていた。だが、ブロックバスターとして大々的に売り出していた薬に重篤な副作用が発見されたために経営を傾ける製薬会社が現れたり、薬学の技術的な煮詰まりによって新しい大型薬が登場する余地が少なくなったりと言った事情があり、近年ではブロックバスターの開発競争は、往時に比べれば鎮静化している。

 ナパブカシンはもともと大腸がんの治療薬として研究されていたが、それがうまくいかなかったため、胃がんに対する治療薬として再度研究の俎上にあげられていた。今回の治験失敗を受け、しかし大日本住友製薬では、今後も研究を継続するとしている。