画像提供:マイナビニュース

写真拡大

●豊富なギミックが特徴、追加ソフトも開発中

コーエーテクモのグループ会社であるコーエーテクモウェーブが手掛けるVR筐体「VR センス」が完成した。ゲームセンターやショッピングセンターなどに向けて販売するもので、受注開始は2017年8月、納入は2017年末が目標だ。価格は320万円(税抜き)。この筐体が売れるかどうかも気になるが、コーエーテクモが見据えるもう1つの商機も見逃せない。

○戦場では硝煙の匂いが!

VR センスはプレイステーションVRの技術を用いた筐体で、特徴は豊富なギミックだ。ゲームの内容に合わせて、振動や傾きを再現する「多機能3Dシート」や「香り機能」などの6種の仕掛けを仕込んである。

操作方法については、開発当初はモーションコントローラーの「プレイステーションムーブ」を採用する方針だったが、コントローラーが筐体にぶつかったりして危険なので、最終的には一般的なプレイステーション4のコントローラーを使うことに決まったそうだ。

コーエーテクモが特にこだわっているのが香り機能だ。VR センスのプロジェクトマネージャーを務めるコーエーテクモウェーブの藤井久徳氏によると、ゲーム内で戦場に立つ時には「硝煙の香り」がしたり、競馬を体験する時には「草原の香り」がしたりと、シーンに合わせて10種類以上の香りが体験できるという。この機能は筐体に搭載する香りのカートリッジで実現している。

ソフトは現時点で5本が公開となっているが、現在もメジャーな作品を含め複数のタイトルを開発中だ。サードパーティーのIPを使った大型タイトルにも期待していいとのことだった。販売する筐体には3本のソフトを入れるが、筐体自体の容量としては5本までソフトを入れることが可能。ソフトは入れ替えることもできる。

○継続的に収益を得るビジネスモデル

筐体は320万円で販売し、プレイ代金に応じた従量課金制度も取り入れるという。コーエーテクモホールディングス代表取締役会長の襟川恵子氏は販売目標を「3年で1000台」としたが、コーエーテクモウェーブは現実的な路線として300〜500台という数字を挙げていた。筐体の価格として320万円が高いか安いか分からなかったのだが、コーエーテクモウェーブに聞いてみると、例えばレースゲームの筐体は1台あたり200万円程度とのことだった。

筐体を売って、従量課金で継続的に収入を得つつ、追加ソフトも販売していくというのが、VR センスを展開するコーエーテクモのビジネスモデルだ。だが、同社のVRビジネスにはもう1つの商機が見込める。

●VR センスと家庭用ゲームの相互送客は実現するか

○VRは敷居が高い?

VR センスの開発を始めた当時は、市場が見込めず苦労も多かったと振り返った襟川会長。2016年はVR元年とも呼ばれたが、現時点でVR市場がそこまで成長しているような感じもしない。そんな中で世に出るVR センスには、VRと世間のタッチポイントとなり、VRの敷居を下げる効果も期待されている。

襟川会長によると、VR センスのソフトはプレイステーションVR向けにも展開するそう。つまり、家庭用ゲームソフトとしてのVRタイトルを拡充していく方針なのだ。ゲームセンターでVR センスを体験して面白いと感じた人は、プレイステーションVRを家庭でプレイできる環境を整えようと動くかもしれない。あるいは家庭でVRソフトを体験済みの人が、更なる没入感を求めてゲームセンターに足を運ぶ可能性もある。この相互送客が2つ目の商機だ。

○VRプレイ環境の普及を後押しできるか

VRは体験しなければ面白さを感じにくいものなので、体験の敷居を下げる意味で、VR筐体を展開するのは重要な一手だと思える。VR センスがきっかけで家庭にVRソフトのプレイ環境が整えば、家庭用ゲーム向けにコーエーテクモが開発するVRソフトの売れ行きにもプラスの効果が見込める。

コーエーテクモ代表取締役社長のシブサワ・コウこと襟川陽一氏は先日、あるラジオ番組に出演した際、ゲーム業界で今後が楽しみな技術としてVRを挙げていた。まだまだアイディア段階のようだったが、コーエーテクモゲームスの人気タイトル「信長の野望」にVR活用の可能性があることも示唆した。VR技術を使った面白い家庭用ゲームソフトを販売する上で重要になるのは、プレイステーションVRのような家庭向け機器の普及率だろう。VR センスはVRを使ったゲーム体験自体を普及させるという重要な役目も担っている。