米国でイヌの「インフルエンザ」が大流行(depositphotos.com)

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 あのホットドッグ(hot dog)は「レッド・ホット・ダックスフンド・ソーセージ」がギュッと縮まって大いに流行ったもの。

 だが、熱に浮かされて元気をなくした「喪家の狗(そうかのいぬ)」が米国の愛犬家たちを大いに悩ませている。ダックスフンドがマスタードを塗られ、捨てられたワケではない。

 イヌたちが感染力が極めて強い「インフルエンザ・ウイルス」に捕まっているのだ。

米国でイヌのインフルエンザH3N2型が流行中!イヌからヒトには感染しない

 インフルエンザ・ウイルスの感染波は、シカゴから中西部をひと呑みし、フロリダ州からジョージア州、ノースカロライナ州、サウスカロライナ州、テキサス州まで、燎原の火さながらに蔓延している(「HealthDay News」2017年6月14日)。

 米コーネル大学獣医学部ウイルス学教授のColin Parrish氏は「鳥類からイヌに伝播したイヌインフルエンザH3N2型は、2005年にアジアで初めて確認された新株だ。2015年に韓国から持ち込まれたイヌによって感染が拡がった。だが、イヌからヒトに感染する恐れはない」と推測する。

 同大学ウイルス学教授のEdward Dubovi氏は「このウイルス株は、2004年に流行ったウイルス株よりも感染力が強い。アジアのイヌを救済しようする団体が、適切な検疫を受けずに米国にイヌを持ち込み続ければ、米国内でイヌのインフルエンザの発生が繰り返されるだろう」と警告する。米国獣医師会(AVMA)前会長のJoe Kinnarney氏によると、このウイルスに接触したイヌの約80%がインフルエンザを発症するという。

 イヌのインフルエンザは、保護施設、ドッグホテル、ドッグランなどイヌが集まる場所で感染が広がる。人間がウイルスに感染したイヌに触れた後、別のイヌに触れると、感染する場合もある。

ブルドッグやシェパードは重度の肺感染症を発症しやすい!ネコに感染するリスクも!

 症状はどうだろう? ヒトのインフルエンザのように、咳、発熱、体調の悪化などを伴う。症状は1週間ほど続くが、その後さらに1週間前後にわたって咳が残ることもある。治療薬はなく、水分補給、栄養補給、輸液などの対症療法しかない。

 Parrish氏は「60〜80%で予防効果が期待できるワクチンもあるので、接種すれば感染しても軽症で済む。だが、数週間の間隔をあけて2回接種しなければならない。ドッグショーや預かり施設などに連れて行くなら、感染リスクが高まるため、接種すべきだ」と強く勧める。

 なお、ヒトと同様に、イヌもインフルエンザによって死ぬことがある。特に高齢や幼齢のイヌ、他の疾患があるイヌはリスクが高い。Dubovi氏は「細菌性肺炎を併発すれば、特に重篤化しやすい。ブルドッグやシェパードなどは、重度の肺感染症を発症しやすいので、要注意だ」と話す。

 さらに、このウイルス株は、ネコに感染するという報告もある。愛犬家だけでなく、愛猫家も油断できない。わが家のワンニャンたちも、「対岸の火事だよ〜」と能天気に昼寝していられなくなるのだろうか?
(文=編集部)