スペイン・バルセロナで取材に応じた、サルバドール・ダリの娘だと主張しているピラル・アベルさん(2017年6月26日撮影)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】スペインの巨匠画家、サルバドール・ダリ(Salvador Dali)の一人娘だと主張しているピラル・アベル(Pilar Abel)さん(61)が27日、自分の望みは遺産ではなく、身元を明らかにすることだと述べた。同国の裁判所は前日、DNA鑑定のためダリの遺骨を掘り起こすよう命じている。

 ダリが生まれたスペイン北東部カタルーニャ(Catalonia)州で長年、霊媒師として生計を立てていたアベルさん。この10年間、自分がダリの娘であることを証明しようとしてきたのだという。

 アベルさんは、自身の母親がカタルーニャ州カダケス(Cadaques)付近の小さな漁村、ポルトリガト(Port Lligat)でダリの友人たちの下で働いていた際にダリと関係を持ったという話をかたくなに信じている。カダケスはダリが長年暮らし、創作活動を行った場所だ。

 AFPの取材に応じたアベルさんは、ダリの遺骨の掘り起こしを命じた裁判所の判断について「大きな勝利」とした。しかしその一方で、決着がつくまでまだ先が長いということも認識している様子だった。ダリの遺産を管理するガラ・サルバドール・ダリ財団(Gala-Salvador Dali Foundation)は、控訴する意向を示している。

「ついにこれで、私が誰であるかが分かり、認められることになる」と話すアベルさん。「遺産が欲しいわけではない。そういうことになれば、それならそれで構わないけれど、自ら望んではいない。何よりも望んでいるのは自らのアイデンティティー」と話した。

 アベルさんは、7〜8歳のころに祖母からダリの娘だと初めて聞かされ、母親もずっと後になってこれが事実であることを認めたという。

 ダリと同じく、カタルーニャ州フィゲラス(Figueras)で生まれたアベルさんは、街でよくダリを見かけたと語る。そして「言葉を交わすことはなく、お互いにただ目をやるだけだった。でも、いちべつは千の言葉に値する」と続けた。

 アベルさんの主張については、ダリの伝記作家、イアン・ギブソン(Ian Gibson)氏がスペインの全国紙「エル・パイス(El Pais)」で疑問を呈するなど、信ぴょう性を疑う見方も出ている。

 ダリのセクシュアリティーについてはこれまで謎とされてきた。ギブソン氏は、ダリは長年のパートナー、ガラ夫人以外の人に体を触れられるのを嫌っていたと証言している。

 しかしアベルさんの代理人は、アベルさんの母親とダリが関係を持っていたことは「村の中では知られており、公証人の前で証言した人も何人かいる」と述べている。
【翻訳編集】AFPBB News