恩師ボシュが監督に就任したドルトムントをはじめ、複数のクラブから熱視線が注がれているドルベア。はたして今夏のステップアップはあるのか。(C)Getty Images

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 2016-17シーズンのアヤックスは、エールディビジで最終節までフェイエノールトと熾烈な優勝争いを繰り広げ、ヨーロッパリーグではファイナル進出を果たすなど、就任1年目のペテル・ボシュ監督の下で堂々たるパフォーマンスを披露した。

 なにより驚くべきは、躍進を支えた選手の多くが20代前半、あるいは10代の若手有望株だったという事実だろう。そしていま、その“ヤング・アヤックス”の面々が移籍市場で注目を浴びている。

 キャプテンとしてチームを牽引してきた24歳の攻撃的MFダフィ・クラーセンは、すでに2700万ユーロ(約32億円)という高額の移籍金でエバートンと契約。チェルシーから借り受けていた21歳の快足FWベルトラン・トラオーレも、アヤックスでの活躍が認められ、リヨンに引き抜かれている。

 この2人に続いてステップアップを果たしてもおかしくない若き実力者が、キャスパー・ドルベア、アミン・ユーネス、ヤイロ・リーデバルト、ダビンソン・サンチェス、マタイス・デリフトの5人だ。

 19歳のCFドルベアは昨夏にトップチームに昇格するや、すぐさま定位置を確保。エレガントな動きでゴールを量産し、チーム最多の16得点(エールディビジ)と眩い輝きを放った。その才能を高く評価するクラブは少なくなく、移籍マーケットではすでに引く手あまた。恩師ボシュが新監督に就任したドルトムントをはじめ、インテル、ナポリ、トッテナムなど、名だたる有力クラブが熱視線を注ぐ。

 23歳のウインガー、アミン・ユーネスもこの1年で急成長を遂げた有望株のひとりだ。小回りの利いたドリブルを主武器に、崩しのキーパーソンとして前線左サイドで躍動した。6月にはドイツ代表初キャップを記録。着実にキャリアを重ねるウイングに絶えないのがドイツ復帰説で、ドルトムントやRBライプツィヒなどが注視しているという。

 本職のCBに加えてアンカー、左SBとマルチな能力を発揮してとくに守備面で多大な貢献を見せたのが、20歳のリーデバルトだ。オランダ代表歴もあるこの逸材DFの動向を追っていると言われているのが、チェルシーやヴォルフスブルクなどで、すでに1500万ユーロ(約18億円)の値が付いたとの報道もある。

 サンチェスとデリフトの両CBも、チームの守備を支えた上昇株。抜群の身体能力を備える21歳のサンチェスは足技にも優れ、ビルドアップの起点としても機能するポリバレントなタレントで、昨夏も獲得に動いたバルセロナに加え、チェルシーがリストアップする。一方、後半戦に一躍台頭し、17歳にしてオランダ代表に上り詰めたデリフトには、バイエルンなどが興味を示しているようだ。

 ほかにも、18歳のFWユスティン・クライファート(パトリック・クライファートの息子)や20歳のFWダビジ・ネーレス、21歳のDFケニー・テテなど、アヤックスには明るい未来を予感させる好素材が目白押し。売り時を慎重に見極めるクラブだけに、一斉放出はなさそうだが、アヤックスで育った有望株が欧州を席巻する。そんな時代が訪れても不思議はない!?

文:ワールドサッカーダイジェスト編集部