太陽。マレーシア・クアラルンプールで撮影(2015年9月27日撮影、資料写真)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】地球を保護するオゾン層は、オゾン破壊性ガスの使用を禁止した「モントリオール議定書(Montreal Protocol)」が採択された1987年より緩やかな回復傾向にあったが、近年また新たな危機に直面している恐れがあると警告する研究論文が27日、発表された。

 論文によると、オゾン層保護のための国際協定であるモントリオール議定書の規制対象外の化学物質「ジクロロメタン」の成層圏中の濃度が急速に上昇していることから、オゾン層の回復に遅れが生じることが懸念されているのだという。

 英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に発表された研究論文は、「現時点ではそれほど大きくないが、ジクロロメタンがオゾン層に及ぼす影響はこの数年で顕著に増大している」と述べ、また「ジクロロメタンの継続的な増加は、モントリオール議定書が達成した成果の一部を相殺し、地球のオゾン層回復を遅延させる」ものだとしている。

 地上から10〜50キロ上空の成層圏にあるオゾン層は、がんを引き起こしたり作物に被害を及ぼしたりする恐れのある有害な紫外線を吸収する。

 オゾン層に開いた穴(オゾンホール)の原因物質とされるクロロフルオロカーボン(CFC、フロン)類は、かつては冷蔵庫、エアロゾルスプレー缶、エアコンなどに用いられていたが、モントリオール議定書の下で製造が段階的に中止された。

 1990年代より代替フロンとして使用されているハイドロフルオロカーボン(HFC)類は、現在回復中のオゾン層にとっては安全だが、大気中の熱を捕捉する効率が非常に高いため、地球温暖化の一因となる。HFC削減に関する議定書の改正も最近採択されている。

 ジクロロメタンなどの「極短寿命物質(VSLS)」と呼ばれる人工化学物質がオゾン層に及ぼす潜在的影響については、過去の研究でも懸念が提起されていた。VSLSガスは通常、6か月足らずで分解する。

 今回の最新研究は、ジクロロメタンが及ぼす恐れのある悪影響を定量化することを目指した。ジクロロメタンは、塗料剥がしの溶剤やディグリーザー(脱脂剤)などとして用いられる他、コーヒーからカフェインを抜くためにも使われている。

 今回の研究では、ジクロロメタンの大気中濃度が2004年以降でほぼ倍増していることが分かった。

 ジクロロメタン濃度のさらなる上昇は、オゾンの減少が最も深刻な南極上空のオゾン層の回復を10年以上遅らせる恐れがあるという。

 また、大気中で検出されている他のVSLSについては、定量的な影響評価はまだ行われていないと、論文は指摘している。
【翻訳編集】AFPBB News