メガネスーパーの店舗(「Wikipedia」より)

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 メガネスーパーは業績悪化で苦しんでいた。2008年4月期から15年4月期まで最終損益は8期連続で赤字だった。売り上げが減少し、仕入れ代金や人件費などの経費が賄うことができず、本業のもうけを示す営業損益も8期連続で赤字だった。

 最終赤字が続いたことで自己資本が目減りし、11年4月期には債務超過に陥った。資本増強により翌期は債務超過が解消されたが、13年4月期に再度債務超過に陥った。14年4月期には債務超過が解消したものの、15年4月期に三たび債務超過に陥った。債務超過に陥っては資本を増強して解消するという繰り返しを余儀なくされていたのだ。

 1990年代後半から2000年代初頭にかけて、JINSなどの格安メガネ店が台頭したことがメガネスーパーの業績に影響を及ぼすようになった。格安メガネ店は、レンズとフレーム合わせて1万円以下という低価格と、料金体系の明瞭さで若者を中心に支持を得た。

 それでも、そのころのメガネスーパーの売上高は落ち込みを見せず、わずかではあるが向上していた。02年4月期の売上高は343億円だったが、その後は微増を続け、07年4月期は382億円だった。同時期、メガネ店「パリミキ」などを展開する三城ホールディングスの業績が悪化していったことに鑑みると健闘していたといえる。

 しかし、08年4月期の売上高は前年比7.8%減の353億円に落ち込んだ。サブプライムローン問題による世界的な金融不安などで景気が悪化したことなどが影響した。さらにリーマンショックが追い打ちをかけ、業績はさらに悪化していった。その結果、15年4月期には売上高が142億円にまで激減した。

 メガネスーパーは08年4月期に赤字に転落したため、利益を確保する必要に迫られた。前述したように、そこから8期連続で赤字だった。まずは不要な経費を削る作業にあたり、同社は不採算店舗を閉鎖することで収益性を高めるとともに賃料を削減した。さらに、余剰人員を整理するために希望退職者募集プログラムを実施して人件費を削減した。こうした施策は奏功し、08年4月期の販管費(経費)は249億円だったが、17年4月期には113億円にまで低下させることに成功した。

 続いて、プライベートブランド商品の比率を上げることで、粗利益の改善にも取り組んだ。15年4月期の比率は54%で、2年で倍になったという。16年5〜10月期では57.8%にまで上昇している。ほかにも、単価の高いレンズの比率を高めるなどして粗利益の確保に努めていった。

 さらに、イメージを刷新するためにロゴや看板を一新している。赤の下地の上にフクロウのロゴを添えた看板から、白の下地の上にブラウンとイエロー、ブルーの3色で構成された9つある正方形のロゴを添えた看板に変更を推し進めた。

●シニア・ミドル層の獲得に注力

 加えて、新たな販売戦略も打ち出した。メガネに起因する負担を解消するための「アイケア」重視のサービスを展開したのだ。メガネスーパーの主力顧客層は45歳以上のシニア・ミドル層だ。この層は国内人口では約半分だが、メガネ小売市場では約7割を占めるという。メガネスーパーにとっては重要顧客層で、この層の売り上げを確保する施策が求められていた。

 若者はメガネなどの商品そのものを重視する傾向がある。一方、シニア・ミドル層は商品そのものへのニーズももちろんあるが、メガネに起因する体の負担を解消したいというニーズも強いという特徴がある。しかし、アイケアに対して正しい認識をもたないシニア・ミドル層は9割にも上るという。そこで、検査やフィッティングをはじめとするアイケア重視のサービスを打ち出したのだ。

 アイケア商品・サービスの研究開発を行う研究所として「アイケア研究所」を立ち上げた。医療従事者や眼の権威、企業と連携し、アイケアの革新的な商品・サービスの提供を目指した。また、アイケア商品・サービスが充実した新業態「DOCK」や質の高いアイケアサービスを提供できる人材を育成する「MSアイケアスクール」を新たに展開している。アイケア商品・サービスを出張訪問で提供するサービスも強化している。

 メガネスーパーはアイケア重視の施策を中心に、さまざまな改革を行ってきた。また、短期的な収益改善だけでなく、中長期的に顧客満足度を高めることでリピーターの確保に努めてきた。こうしたことが功を奏し、業績がV字回復したのだ。

 売上高は15年4月期までは低下傾向を示していたが、16年4月期は前年比9.9%増の157億円に向上した。純利益は2億円(前年同期は14億円の赤字)を確保し、8期連続していた赤字から脱却することができた。17年4月期の売上高は178億円で増収を達成、純利益は1億円を確保し、連続で赤字を回避している。見事な復活劇といえよう。

 メガネスーパーの業績は確かに回復している。とはいえ、まだ黒字が2期続いただけともいえる。回復が本物かどうかを判断するには、もう少し時間が必要かもしれない。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)

●佐藤昌司 店舗経営コンサルタント。立教大学社会学部卒。12年間大手アパレル会社に従事。現在は株式会社クリエイションコンサルティング代表取締役社長。企業研修講師。セミナー講師。店舗型ビジネスの専門家。集客・売上拡大・人材育成のコンサルティング業務を提供。